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(主成分1について)

ほとんど、全ての設問がプラスに働いている。筆者の思考意識形成の結果を問う後1 0を筆頭に、保護色やかく L,絵についての既有知識を問う問題(前4 ・前6) 、保啓色やかくし絵についての解釈を問う問題(後1ア・後6) それに結束構造に関する文法知識の問題が上位に来ている。これらは、筆者が文章で展開した思考意識を捉えるた めに必要とする力を問う設問であると考え、主成分1を「思考意識形成力」と命名したいo

(主成分2について)

主成分2のプラス部分には、読中テストの反応類型で参る「お(おどろいたこと) ・な(なっとくできたこと) ・ よ(予想がつきそうなこと) 」と、後5が上位に並んでいる。後5は、文の主語を補うことにより、テクストに即 した文法力を測る設問であるOまた、この部分は、 5文6文を受けた理由説明となっている。この段落をミニテク ストとみなすと、 「コノハチョウの羽」の様態が保護色の機能を持ち、その有効性が高いという、ひとまとまりの 構造的関係を示していることになる。したがって、この主語補充の能力臥後続する事象説明を読みとる際に関わ る、保護色理解についてのスキーマ形成にも関わっており、後5はこのスキーマ形成能力を測る設問ともなってい

る。

読中の反応である[お] [な]と後5との相関が高く、 [よ]とともに主成分2を形成するのは、このスキーマ の形成と「予想‑驚き‑納得」という反応とが大きく関わりを持つことを示している。これらはテクストから一貫 したひとまとまりの意味(結束性)を形成することに関与しているOそこで、この主成分2を「結束性形成力」と呼 ぶことにする。なお、省略された主語の補充と緯束性の形成とが関係することについては、難波(1990) 、テクスト への反応と認識の形成との関わりについては植山(1988)を参照0

‑方主成分2のマイナス部分には、後6 ・後7が並んでいるO これは予備的仮説で示した推論解釈を測る問題と して設定したものである。これらをひとまとまりにして「推論解釈力」とすることの妥当性が、統計的に裏付けら れたと言える。この「推論解釈力」と「結束性形成力」が反対方向のものとして現れたのは興味深い.読み手が自 分自身の意味のまとまり(結束性)を作ることと、筆者の意図に迫るために推論を行い推意を得ることは、確かに 逆方向という面がある。読み手方向か書き手方向かという違いである0

(主成分3について)

上位に、後3 (おもしろさ)後9 (家族に何を伝えるか)の他に、 「よ(予想がつきそうなこと」がきている。

[よ]を読み進めていく意欲と考え、主成分3を「意欲」と規定する0 (主成分4‑ 5 ‑ 7について)

上位に、 「後1ア・後1イ・後2・後4」の、予備的仮説で「コード解釈」を測る設問としたもの、さらに、前 3 (昆虫の敵についての既有知識を問う問題)が繰り返し出てきている。主成分4 ‑ 5 ‑ 7は「コード解釈力」を 3つの面から表したものと考える。

‑120‑

(主成分6について)

マイナスの部分に、前4 ・前6の話嚢的な既有知識を問う問題と後9がきている。この後9はどう考えていいか 今の所説明が付かないが、一応主成分6を「語柔的既有知識力」としておくo

m. 3. 5. 2. 「主成分‑読みの能力」の構造モデル

析出された主成分にあてはめた読みの能力(意欲)を図示したものが「 「主成分‑読みの能力」の構造モデル図」

であるO複数の能力にまたがる設問は、重ならせて図示している。この図を見ると分かるように、今回の調査の結 果を主成分分析して析出した能力モデルは、モジュール構造を成している。モジュール構造とはそれぞれが独自の 構成や機能を持つ要素が、互いに独自性を持ちながら、相互に密接な連携を行うことにより、様々な複雑な作用を 行うものであり、チョムスキーが言語能力の構造モデルとして提案したものであるoまた、脳がモジュール構造を なしていることは、ガザニガやフオーダーも指摘しているO この能力モデルは今回の調査のみから作られたものに 過ぎないが、これを仮説として本調査を実施することになる。

高橋(1993)や高橋(1996)も、読解はさまざまな要因が異なるレベルで働く多層的な処理過程であることを示 しているo また、発達段階によって関与する要因が変化するとも述べている。この要田が、本研究で提示しようと する、モジュールに当たるものであるo

次の図を見ると、思考意識形成力が説明的文章の読みの能力の中核を占めること、コード解釈力、推論解釈力、

語柔的既有知識力はそれぞれ独立しながら、思考意識形成力に関わること、結束性形成力は、思考意識形成力に直 接関わらず、意欲と関わること、また意欲も思考意識形成力に直接関わらず、語桑的既有知識力を通して関わるこ とが分かる。このように各モジュヤルはそれぞれが半ば独立しまた関係し合いながら、読みの過程に関わるのであ る。

m. 3. 5. 3. 「読みの能力」の発達状況

EL 3. 5. 2.で設定した、読みの能力の上位に来る設問の獲得点数を合算し、学年ごとの推移を見た。また、

ANOVAによる検定を行った。結果札表3‑8であるo以下に考察を行うo

(1)思考意識形成力については、全ての学年間に有意差が見られ、また、学年が上がるにつれ、上下の格差も 縮まっている。

(2)コード解釈力について臥学年が上がるにつれ、伸びが鈍化している0 3年‑4年の格差が大きいo (3)推論解釈力については、学年が上がるにつれ、伸び率が上がっている0 6年の伸びが大きいo (4)既有知識は、学年が上がるにつれ、少しづつ伸びているD

(5)意欲については、 4年が少し高uだけで、学年要因による有意差はない。このことから、学年が上がるに つれ、意欲が上がるわけではないことが分かる。

(6)結束性形成力は、 4年が有意に高いoこれ臥意欲と合わせて考えると、調査した4年のクラス特有の現 象かもしれないo

さらに、読中調査の発達状況から次のことがわかった。

(1) 3年生は文章の後半に反応が減り、また予想の反応が少ないことが分かったo [よ]が後3 (おもしろさ) と相関があることや「意欲」の一要素をなす事を考えると、読みの意欲が失われていることが分かるO (2) 4年生は反応数全体も多く、特に[お]や[よ]が多い。前半予想一後半驚きとなっており、この学年の

「意欲」 「結束性形成」の高さを裏付ける。

(3) 5年生は[よ]が多く、また前半に[あ] (あのことはこのことだったのか)が多いことから、保護色に っいてのスキーマが読む前からある程度できており(慨有知識力」の高さ参照) 、思考意識も一定の適 切さで形成できた。

(4)年生は、反応数が少ない。これ臥内容の新規さがないためだと考えられ、 「意欲」 「播束性形成力」

の低さからもこのことは窺える。テクスト解釈については順調に伸びていたが、後1 0の答え1が多数で なuことは、 「結束性形成力」の低さと関係があるかもしれない。

このように、読みの力の発達と言っても一様ではなく、それぞれの力の源泉であるモジュールが独自の発達の相 を示している。 4年生で急に伸びるもの、 ,6年で伸びるもの、学年ごとに伸びていくものさら̀に、学年の進行とは 余り関係しなuモジュールもあったo以上のことから、読みの力がモジュールを成すだけでなく、そのモジュール が独自の発達(変容)示すことがわかる。

以上のことをふまえ、次の調査のための仮説としての、言辞活動と発達のモデルを次節以降で述べることにするo (参考)

自然のかくし絵    矢島稔

‑122‑

木のみきにとまったはずのセミや、草のしげみに下りたはずのバッタを、ふと見失うことがありますoセミやバッ タは、木のみきや草の色と見分けにくい色をしていますO周りの色と見分けにくい体の色臥てきから身をかくす のに役立ちます。このように、身をかくすのに役立つ色のことをほご色といいますo

コノハチョウの羽は、表はあざやかな青と赤ですが、うらは、かれ葉のような色をしていますoそれに、羽をと じたときの形も木の葉そっくりです。ですから、木のえだにとまっていると、えだに残ったかれ葉と見分けがつき ません。このほかにも、ほご色によって上手に身をかくしているこん虫はたくさんいますOはご色は自然のかくし 絵ということができるでしょうo

こん虫を食べる鳥やトカゲなどが色を見分ける力は、人間と同じくらいですDですから、こん虫のはご色は、人 間の目をだますのと同じくらいに、これらのてきの目をだまして身をかくすのに役立っていると考えられますo

トノサマバッタは、自分の体の色がほど色になるような場所を、選んですんでいるようですoトノサマバッタに 臥緑色のものとかっ色のものがいます。野外で軍べてみると、緑色の草むらにいるの臥ほとんど緑色のバッタ で、かれ草や落ち葉の土にいるのは、ほとんどがかっ色です。

周りの色が変化するにつれて、体の色が変わっていくこん虫もいます。ゴマグラチョウのよう虫は、エノキの葉 を食べてそだちます。秋になって、エノキの葉が黄色くなるにつれて、この虫の体の色も、だんだん黄色に変わっ ていきます。

こん虫を観察してみると、一日のうちのきまった時間だけ活動し、ほかの時間はじっと休んでいます。多くのyL・

ん虫は、この長い時間休む場所の色に、にた色をしています。じっとしているかぎり、ほど.色臥身をかくすのに 役立ちます。

ところが、こん虫が自分の体の色と同じような色をした所にいたとしても、動いたときなどに臥鳥やトカゲに 食べられてしまうことがありますo鳥やトカゲなどは、ちょっとした動作を兄のがさない、するどい昌を持ってい るからです。

ほご色は、どんな場合でも役立つとはかぎりませんが、てきに囲まれながらこん虫が生き続けるのにずいぶん役 立っているのです。

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