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誤差要因の検討

ドキュメント内 TMモードを用いた誘電体共振器に関する研究 (ページ 102-107)

第 4 章 カットオフ導波管型 TM 01δ モード誘電体共振器法の研究

4.4 誤差要因の検討

4.4.1 共振器構造による誤差要 共振器構造による誤差要因 共振器構造による誤差要 共振器構造による誤差要 因 因 因

4.4.1.1 誘電体の長さの影響 誘電体の長さの影響 誘電体の長さの影響 誘電体の長さの影響

本研究では、測定にカットオフ導波管を用いることで、導波管内で電磁界を急 峻に減衰させ、導波管外への電磁界エネルギーの放射を抑制している。このとき、

電磁界エネルギーを確実に減衰させるため導波管には十分な長さが必要になるが、

導波管のカットオフ周波数、及び1.3.1.2 で述べたようにTE01pモードと他の共振 モードとが干渉しないように設計すると、導波管の寸法は制限される。このため、

測定する誘電体の長さと導波管の長さとの差が小さくなる場合は導波管内で電磁 界エネルギーを十分に減衰させることが困難になる。よって、本研究で用いる導 波管において電磁界エネルギーの放射を確実に抑制することができる誘電体の寸 法について検討した。

図9に誘電体の寸法に対するTM01δモード誘電体共振器のQu値をHFSSにより 計算した結果を示す。この計算では、εr=80を持つ誘電体のDを7.50、11.25、15.00 mmとし、これらのDに対し誘電体のℓを 15mm~40mmの間で変化させている。

図からD=11.25、15.00 mmの誘電体を装荷した共振器のQu値はℓの増加とと

もに高くなることがわかる。これに対し、D=7.50 mm の誘電体を装荷した共振

器のQu値はℓ<35 mmではℓの増加に伴いQu値は高くなるが、ℓ>35 mmではℓ

の増加に伴いQu値は低下する傾向であることがわかる。

D=7.50 mm の誘電体は体積が小さいため、誘電体内に蓄積される電磁界エネ

ルギーは少なくなり、導波管内の空間に存在する電磁界エネルギーは多くなる。

この時、ℓが長くなると誘電体端部から導波管端部までの距離、言い換えれば電磁 界エネルギーを減衰させるために必要な距離が短くなるため、導波管内で十分に 減衰されなかった電磁界エネルギーが導波管の端部から放射し Qu 値は低下した と推察できる。

本研究では、測定に用いる誘電体のℓ =30mmであるため、D>7.5 mmであれば

電磁界エネルギーは導波管内のカットオフ領域にて急峻に減衰すると推察でき、

電磁界エネルギーの放射によるQu値の低下は生じないといえる。

4.4.1.2 測定系の誤差 測定系の誤差 測定系の誤差 測定系の誤差

本研究で用いたカットオフ導波管型誘電体共振器法のεrと tanδの測定誤差は次 式より求めた。

2 2

2 2

2 2

_ 0

0 HFSS

rs f f

D

r ε ε ε ε ε

ε =∆ +∆ +∆ ε +∆ +∆

λ (8)

2 2

2

tan tan tan

tan

tan 2 s Qu

r δ

δ δ

δ = δ + σ +

∆ (9)

ただし、∆εD、∆ε

、∆εεrs、∆εf0、∆εf0_HFSSはそれぞれ、誘電体の D、ℓ、支持体の

εrs、測定したf0、及びHFSSにより計算したf0によるεr誤差である。∆tanδσr、∆tanδtanδs

∆tanδQuはそれぞれ、導波管のσr、支持体のtanδs、及び測定したQu値によるtanδ の誤差である。

表3に(8)(9)式を用いて算出したεr、tanδの測定誤差及び(7)(8)式の各項の値を示

す。誘電率の誤差の主要な要因は誘電体の寸法の誤差である。これは、共振器の 電界エネルギーが誘電体に集中しているため、誘電体の寸法の精度が誘電率の測 定値に大きく影響を与えることを示している。一方、tanδ誤差の主な要因として は支持体のtanδsの測定誤差、及び誘電体共振器のQu値の測定の誤差である。こ

15 20 25 30 35 40

3000 5000 7000 9000

Qu

11.257.50 15.00 D[mm]

[mm]

9 誘電体長さℓに対するQu値の関係 導波管:d=22.5mm,H=76.7mm

こで、tanδsの算出にも(6)式で示すように Qu 値が用いられており、tanδの誤差の 低減にもQu値の測定精度が重要であることを示している。

表から本研究における誘電率の∆εrは0.09%以内、誘電損失の∆tanδは0.65%以 内に収まることがわかる。

4.4.2 励振による誤差要因 励振による誤差要因 励振による誤差要因 励振による誤差要因

4.4.2.1 アンテナ設置箇所の影響 アンテナ設置箇所の影響 アンテナ設置箇所の影響 アンテナ設置箇所の影響

本研究で用いる TM01δモードは誘電体の中央での電界強度が強く、このモード を電界結合により励振するためには、導波管の中央にモノポールアンテナを設置 することになる。しかし、導波管の中央に設置したアンテナを共振電磁界に近づ けると、同軸線路が形成され電磁界エネルギーは導波管外へ伝搬することが懸念 される。ここで、図10に示すTM01δモードの電磁界分布に着目すると、このモー ドの電気力線は導波管の中心だけでなく導波管の内壁面の近傍にも存在している ことがわかる。これにより、モノポールアンテナを導波管の内壁面へ近づければ TM01δモードの励振が期待できる。

図11 は、TM01δモード誘電体共振器を構成する導波管の中心にモノポールアン テナが位置する場合(以後、antennaAと記載)と導波管の内壁面にモノポールア ンテナが接地している場合(以後、antennaBと記載)の実測した周波数特性を示 す。図から、antenna Aでは導波管が同軸線路として機能しており、測定周波数帯 において電磁界エネルギーが伝搬していることがわかる。このため、測定に用い るTM01δモードの共振ピークは伝搬モードに埋もれ、f0及びQu値を測定すること

3 εrtanδの測定誤差

D(mm) Δεr ΔD Δℓ Δf

0 Δf

0_HFSS

7.50 0.07 0.02 0.00 0.01 0.07

11.25 0.05 0.03 0.01 0.00 0.03

15.00 0.09 0.04 0.08 0.00 0.02

D(mm) Δtanδ Δσr

Δtanδ_base

ΔQu

7.50 0.64 0.06 0.49 0.42

11.25 0.34 0.03 0.17 0.30 15.00 0.37 0.12 0.08 0.36

は困難である。これに対し、antenna Bでは同一の周波数域において電磁界エネル ギーは伝搬しておらず、antenna Aと比較してTM01δモードの共振ピークは明瞭で あることからf0及びQu値の測定が可能である。

また、antenna Bとすることでアンテナ位置を変えることなく試料を取替えるこ

とができ、本法は簡便な評価法として機能することが期待できる。

本研究では、測定周波数帯において TM01δモードの共振ピークを不明瞭にする

3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

Frequency [GHz]

S21[dB]

antennaA

antennaB ΤΜ01δ

11 アンテナ位置に対する周波数特性

導波管:d=22.5mm,H=76.7mm 誘電体:D=7.50mm、ℓ=30.0mm 電界

電界 電界 電界 磁界磁界 磁界磁界

10 TM01δモードの電磁界分布

電磁界エネルギーの伝搬モードを抑制するため、モノポールアンテナを導波管の 内壁面へ接地させて測定する。

4.4.2.2 結合量の誤差 結合量の誤差 結合量の誤差 結合量の誤差

誘電体とアンテナとの結合状態は挿入損失 I.L.で表され、これはアンテナの先 端と誘電体との距離に依存する。一般的にはI.L.を20dB以上とすれば、共振電磁 界とアンテナの干渉が最少となり、高い測定精度が得られることが報告されてい る

2)

。しかし、I.L.は共振器のQu値やアンテナの寸法・形状等に依存するため

9)

、 本研究に用いる共振器においてf0とQu値への影響が最少となるI.L.の値を検討し た。

図12にI.L とf0,Qu 値の関係を示す。図より、I.L.が35~40dB ではf0,Qu 共に 一定値に近づく。I.L.<35dBでは金属であるアンテナが誘電体に接近し摂動により f0値の変化量が大きくなり、I.L.>40dBになると測定装置の雑音により Qu値が大 きく測定される。

本研究では、I.L.に対するQu値の測定精度が1.5%以下になるようにI.L.≒40 dB とした。

10 20 30 40 50

3.1334 3.1338 3.1342 3.1346

4500 4900 5300 5700

I.L.[dB]

f0[GHz] Qu

12 I.Lf0,Qu値の関係

導波管:d=22.5mm,H=76.7mm 誘電体:D=15.0mm、ℓ=30.0mm

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