第 3 章 平行導体板型 TM 01δ モード誘電体共振器法の研究
3.4 実験結果
3.4.2 周波数応答
3.4.1の測定装置を用いて、H=4 mmにて、D=7.50 mm、11.25 mm、15.00 mmの 誘電体試料を2 GHz~5 GHzで測定した周波数応答を図14に示す。
2 GHz~5 GHzの周波数領域において、D=7.50 mmの誘電体試料では共振ピー
クは1つであるが、D=11.25 mm、15.00 mmの誘電体試料では複数の共振ピーク
11.25 mm
((
((A))))
7.50 mm15.00 mm
((
((B)))) D
E Field [oz]
10×105 9×105 8×105 7×105 6×105 5×105 4×105 3×105 2×105 1×105 0
図15 各共振ピークにおける電磁界分布
2 3 4 5
Frequency (GHz) S21 (dB)
D=7.50mm D=11.25mm D=15.00mm (B)
(A) (A) (B)
(A)
図14 周波数応答測定結果
が存在している。このため、測定に用いる共振モードのピーク位置について検討 した。
共振ピークのモード判別を目的とし、HFSS を用いて各共振ピークの電界分布 を求めた結果を図15に示す。図よりD=15.00 mmの誘電体試料では、低周波側の 共振ピーク(A)が目的のTMモードであり高周波側のそれ(B)はTEモードである。
D=11.25 mmの誘電体試料では、高周波側(A)が測定に用いるTMモードであり低
周波側(B)はTEモードである。
3.4.3 TM
01δδδδモード誘電体共振器の測定 モード誘電体共振器の測定 モード誘電体共振器の測定 モード誘電体共振器の測定
これまでの検討結果より得られた測定条件に基づき、εr≒80、D=7.50 mm、11.25
mm、15.00 mm、長さがℓ =30 mmの誘電体試料について、f0、Qu値を測定した。
各Dに対し、Hを2 mm、4 mm、6 mmとし、∆Hとf0、Qu値の関係を測定し た結果を図16~図18に示す。
Qu値は∆Hに対して最大値を持ち、Qu値が最大となる∆Hの値は∆H=0.002~ 0.7の正の値を取る。この傾向は図8に示される解析結果と一致している。∆Hに 対するQu値の変化量は、DとHに依存しており、Dが小さくHが高い場合に変 化量は大きくなる。
図16に示すD=7.50 mmの誘電体試料において導体板の間隔の変化に対するf0、
Qu値の変化量が大きいのは、電磁界エネルギーの誘電体試料への集中が弱く、上
−0.8 −0.4 0 0.4 0.8
1500 4500 7500
ΔH (mm)
Qu
H=2mm H=4mm H=6mm
図16 D=7.50 mmの測定結果
下導体板の近傍にまで電磁界エネルギーが存在するため、僅かに導体板間隔が変 化しても、電磁界分布に変化が生じるためと考えられる。
また、図18に示すD=15.00 mmの誘電体試料では、H=6 mmのQu値がH=4 mm
の Qu 値より低くなる結果であった。実測では、支持台により導体板間の電磁界 分布が僅かに乱れ、放射が生じたことが原因と考えられる。
3.3.1.3で述べたように、本研究ではh/λ≒0.25とならないようにHを低くした。
−0.8 −0.4 0 0.4 0.8
3500 4500 5500
ΔH (mm)
Qu
H=2mm H=4mm
H=6mm
図18 D=15.00 mmの測定結果
−0.8 −0.4 0 0.4 0.8
2500 4500 6500
ΔH (mm)
Qu
H=2mm H=4mm H=6mm
図17 D=11.25 mmの測定結果
3.4.4 径の異なる円柱状試料に対する測定結果 径の異なる円柱状試料に対する測定結果 径の異なる円柱状試料に対する測定結果 径の異なる円柱状試料に対する測定結果
本法では、誘電体試料を3回繰り返し測定したf0、Qu値から、HFSSを用いてεr とtanδを計算した(表4参照)。
誘電体試料の容易な取替えが可能な簡易測定を実現するためには、導体板間隔 が広いほうが良い。導体板間隔が広くなると電磁界エネルギーが放射し易くなる ため、測定に影響を及ぼす電磁界エネルギーの放射は、表2に示される、L=100 mm、 α<0.20°、h/λ<0.25を適用することで抑制している。本研究では支持台高さHを 2 mm、4 mm、6 mmとする事で導体板間隔について検討した。ここで、Dに対す るεr、Q・f値の関係を図19、図20に示す。Q・f値は以下の式から得られる。
Q・f = f0/tanδ (GHz) (4)
図の∆εrと ∆Q・fは Dの異なる誘電体試料の誘電特性の差(%)であり、以下の 式で表される。
∆εr = (εr_D-εr_D’)/εr_D×100 (%) (5)
∆Q・f = (Q・f-Q・f’)/Q・f×100 (%) (6)
図19より、導体板の間隔に対し直径の大きいD=15.00 mmの誘電体試料から算 出したεrの値は導体板間隔に依存しない。これは、電磁界エネルギーが誘電体試 料に強く集中するため、測定への導体板の影響が少ないからである(図7参照)。 これに対し、D=7.50 mmの誘電体試料ではεrが低く見積もられ、導体板間隔が増 加 す る と そ の 傾 向 が 顕 著 に な り 、D=15.00 mm と D=7.50 mm と の εr の 差 は
∆εr=1.0%である。図20よりQ・f値はDが大きくなるに伴い低く見積もられ、そ の差は∆Q・f=16%である。
表4 誘電体試料の測定結果
D (mm) 7.51
±0.00 ± 3.16×10-5 ± 67 ± 0.01 ± 0.06 11.26
±0.00 ± 1.18×10-4 ± 63 ± 0.01 ± 0.03 15.01
±0.00 ± 6.34×10-5 ± 146 ± 0.00 ± 0.05
3.8315 5645 78.72 4.07
f0 (GHz) Qu εr tanδ (10-4)
3.36 2.90 3.1241 5210 79.20
2.5487 4827 79.34
D≧10.56 mm であれば、誘電体試料の εrと他の D の誘電体試料の εrの差 ∆εrは 0.30%より小さくなり、導体板間隔に関係なく高精度な評価が可能である。
導体板間隔が狭い場合(H=2 mm)、誘電体試料に電磁界エネルギーが集中する
ため、D≧7.50 mmの誘電体試料の∆εrも0.3%より小さくなる。
7.50 11.25 15.00 8000
10000 12000
D (mm)
Q・f (GHz)
H=2mm H=2mm H=4mm H=6mm
⊿Q・f=16%
⊿Q・f=10%
図20 Dに対するQ・fの測定結果 7.50 11.25 15.00 78
79 80
D (mm)
r
H=2mm H=2mm H=4mm H=6mm
⊿ r=1.0%
⊿ r=0.3%
ε
ε ε
図19 Dに対するεrの測定結果