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7-2 Fitting 範囲の検討
質量減弱係数を線形回帰分析して濃度を導出する際、使用するエネルギー範 囲を22.13 [keV]から99.67 [keV]とした。これには20 [keV] 以下と100 [keV]
以上のエネルギー帯のデータの精度があまり良くなく解析に用いるには適して いないと考えたため99.67 [keV]までのデータを解析に使用した。そこでこのエ ネルギー範囲を変え狭めることでさらに精度の良いエネルギー範囲があるか検 討してみた。水・エタノール混合溶液のエネルギー範囲の終点を99.67 [keV]に 固定し始点のエネルギーを変え、このときの回帰分析結果の仕込み値との差を プロットしたグラフを次の図7-2に記す。Eがそのデータ点のみを使用した解 析結果であり、Eiが変更するエネルギー範囲の始点を表している。このとき、60
[keV]以上の点では100 [wt%]近くも仕込み値からずれるのに対し、20から30
[keV]近傍では仕込み値との差が 10 [wt%]以下の精度で濃度を求めることがで
きていることが分かる。このことから、X線質量減弱係数を回帰分析する際の分 析精度はエネルギー範囲の特に低エネルギー側に依存することが考えられる。
図 7-2 Fitting 範囲の始点を変化させたときの精度 1
10 100 1000 10000
20 30 40 50 60 70 80 90 100
理論値との差[wt%]
エネルギー[keV]
E Ei to 99.66 [keV]
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次に、エネルギー範囲の始点と終点の両方を変えた場合を考える。この時のグ ラフを図 7-3 に記す。このときのエネルギー範囲の始点を Eiとし、終点を Efと した。
図 7-3 Fitting 範囲ごとの精度の変化
図 7-3 より、エネルギー範囲を狭め使用するデータ数減らせば減らすほど分 析精度は悪くなり、エネルギー範囲が最も広いものが最も測定精度が良いとい うことが分かった。
7-3 試料調製誤差の検討
今回試料で使用した水・エタノール混合溶液、水・酢酸混合溶液は 4-1 章で も述べたように試料調製は自ら手作業で行った。本来の文献値の濃度と調製し た試料の濃度との間に多少なりとも差があると考えられることから検討を行っ た。
まず始めに水・エタノール混合溶液の測定した密度とその文献値との差を一 覧表にした。このときの表を次の表 7-2 とする。また、文献値には次の表 7-1 を使用した。5)
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表7-1 エタノール水溶液の容量%と比重及び重量%等の関係
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表 7-2 水・エタノール混合溶液のエタノール濃度 [wt%]ごとの密度
エタノール濃度 [wt%]
密度 実測値と理論値
の差 [%]
文献値 [g/cm3] 実測値 [g/cm3]
0 0.9991 0.996 -0.27 10 0.9824 0.979 -0.36 30 0.9571 0.943 -1.45 50 0.9173 0.903 -1.58 70 0.8716 0.858 -1.62 90 0.8195 0.814 -0.62 100 0.7935 0.793 -0.01
次に同様の濃度の試料の調製を2回行い、調製誤差の検討を行った。水・エタ ノール混合溶液のエタノール濃度 50 [wt%]を試料に使用した。このときの表を 次の表 7-3 にまとめた。
表 7-3 エタノール濃度 50 [wt%]の水・エタノール混合溶液の密度 試料作製日時 2020/1/25 2020/10/5
密度 [g/cm3] 0.908 0.903
表 7-2 より試料の調製精度を求めたところ文献値に対し±1.06%となった。
また、表 7-3 より、同一の試料を別日に調製しようが密度が大きく変わること は無く、その差は 0.06%であった。したがって、調整における試料の濃度誤差 はおおよそ 1%程度であり、分析結果に対する影響は大きくはないと考えられる。
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7-4 実験の測定精度の検討
実験における測定精度を検討するため、測定条件や測定試料を同じにした測 定を複数回行いその結果を比較することにした。試料は水・エタノール混合溶液 のエタノール濃度 50 [wt%]を使用し、測定条件は四章と同様にして一時間の測 定を三回連続で行った。測定できた質量減弱係数のグラフを次の図 7-4 に記す。
図 7-4 エタノール濃度 50 [wt%]の水・エタノール混合溶液の質量減弱係数
質量減弱係数の精度について検討していく。三回分のエタノール濃度 50 [wt%]の水・エタノール混合溶液の質量減弱係数の標準偏差をとり、これを質 量減弱係数の平均で割ることでエネルギーごとの分散を求めた。このときのグ ラフを次の図 7-5 に記す。
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
0 20 40 60 80 100 120 140 160
質量減弱係数[g/cm2]
エネルギー [keV]
XCOM 1st 2nd 3rd
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図 7-5 エタノール濃度 50 [wt%]の水・エタノール混合溶液の質量減弱係数の分散
図 7-5 より、分散が小さいものは 0.1%未満のものから大きいもので 3%近 いエネルギーもあった。これらの平均をとったところ、1.12%となり、エタノ ール濃度 50 [wt%]の水・エタノール混合溶液の質量減弱係数の全体の分散は 1.12 %という結果になった。したがって、質量減弱係数の精度は解析結果に 比べ悪くはないことが分かった。
ここで得られた三回分の質量減弱係数、線減弱係数を用いて線形回帰分析、実 効原子番号を用いた解析を行った。回帰分析を行ったものの表を表 7-3、実効 原子番号を用いた解析を行ったものを表 7-4 に記す。
表 7-3 エタノール濃度 50 [wt%]の水・エタノール混合溶液の回帰分析結果 回帰分析結果 [wt%] 仕込み値との差 [%]
1 回目 60.2 10.2
2 回目 53.8 3.8
3 回目 40.6 -9.4
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5
0 20 40 60 80 100 120
分散[%]
エネルギー [keV]
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表 7-4 エタノール濃度 50 [wt%]の水・エタノール混合溶液の 実効原子番号を用いた解析結果
分析結果 [wt%] 仕込み値との差 [wt%]
1 回目 59.8 9.8
2 回目 52.6 2.6
3 回目 39.6 -10.4
表 7-3 の三回の結果の平均値を求めたところ 51.5 [wt%]、標準偏差を求め たところ 8.2 [wt%]という結果になった。表 7-3、7-4 を比較すると回帰分析 と実効原子番号を用いた解析もほとんど同じ結果となった。解析方法が異なる のに対し同じような結果になることから質量減弱係数の精度が重要になってく ると考えられる。
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