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○認知症ケアの基本

近年、高齢者に対する虐待が大きな問題となっているが、調査結果に よれば、虐待を受けている高齢者の実に8割が認知症の症状を呈してい る。今後、認知症高齢者が増加するのに伴い、この問題はますます深刻 化するおそれがあり、社会全体において高齢者の権利をいかに擁護して いくかが重要な課題となっている。

また、高齢者虐待防止法の施行に伴い、養介護施設従事者等による虐 待が頻繁に取り上げられるようになっている。認知症高齢者は、記憶障 害が進行することに伴う不安や焦燥感から徘徊などの行動障害に陥りや すく、また、環境変化に対する適応が難しいことから、環境要因によっ て症状が悪化しやすい特性を有している。このため、本人の不安や環境 変化への対応の困難さに配慮し、なじみの人間関係や環境の下で、高齢 者が自分自身のペースでゆったりと安心して過ごすことができるよう、

個々人の生活そのものを組み立てていくケアが必要となる。

その意味でも、施設従事者等においては、認知症高齢者の状態を的確 に把握し、本人のみならず家族も支えることができるような、専門性の 高い資質が求められる。

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-認知症高齢者ケアの基本 認知症高齢者ケアの基本

~ ~ 高齢者の尊厳を支えるケアの確立 高齢者の尊厳を支えるケア の確立 ~ ~

・記憶障害の進行と感情

・記憶障害の進行と感情 等の残存等の残存

・不安・焦燥感

・不安・焦燥感

⇒行動障害の引き金

⇒行動障害の引き金

・環境適応能力の低下

・環境適応能力の低下

(環境変化に脆弱

(環境変化に脆弱

・環境の変化を避け、生活の

・環境の変化を避け、生活の 継続性を尊重

継続性を尊重

・高齢者のペースでゆっくりと

・高齢者のペースでゆっくりと 安心感を大事に

安心感を大事に

・心身の力を最大限に引き出

・心身の力を最大限に引き出 して充実感のある暮らしを して充実感のある暮らしを 構築

構築

認知症高齢者の特性

認知症高齢者の特性 生活そのものを

ケアとして組み立てる

地域でのくらし

地域でのくらしがキーワード 生命力を萎ませないケア

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-・グループホーム

・グループホーム

・小規模・多機能ケア

・小規模・多機能ケア

・施設機能の地域展開

・施設機能の地域展開

・ユニットケアの普及

・ユニットケアの普及

(認知症認知症対応型ケアの普遍化)対応型ケアの普遍化)

☆事業者・従事者の専門性・資質の

☆事業者・従事者の専門性・資質の 確保向上確保向上

日常の生活圏域を基本とした 日常の生活圏域を基本とした

サービス体系 サービス体系

・小規模な居住空間

・小規模な居住空間

・家庭的な雰囲気

・家庭的な雰囲気

・なじみのある安定的な

・なじみのある安定的な 人間関係人間関係

・住み慣れた地域での生活

・住み慣れた地域での生活 の継続の継続

ターミナルを視野に入れた ターミナルを視野に入れた

生活に配慮した医療サービス 生活に配慮した医療サービス

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-認知症の中核症状と周辺症状

-増悪をまねく多様な要因の関与-

認知症の中核症状

認知症の中核症状 周辺症状周辺症状

1.生きる機能の障害 意欲、自発性、気力 2.人間らしく生きる機能

の障害

1)認知機能の障害 記憶障害

見当識障害(時、場、人)

実行機能の障害など 2)感情機能の障害

感情の多様性・安定性・

適切性の障害

3.自分らしく生きる機能 の障害

自己決定、人格

①精神症状

不安、焦燥、抑鬱、

心気、不機嫌、興奮、

攻撃的、幻覚、妄想

②機能不全行動

多動、繰り返し、

徘徊、

異食、過食、 拒食、

引きこもり

身体的要因

身体的要因 :水・電解質の異常、便秘、発熱、薬の副作用等:水・電解質の異常、便秘、発熱、薬の副作用等

心理-社会的要因:不安、孤独、過度のストレス、無為、プライドの失墜等 心理-社会的要因:不安、孤独、過度のストレス、無為、プライドの失墜等 環境的要因

環境的要因 :不適切な環境刺激(音、光、陰、風、空間の広がりや圧迫):不適切な環境刺激(音、光、陰、風、空間の広がりや圧迫)

不穏、せん妄、

大声、乱暴、破 壊的行為、

自傷行為

破局反応:パニック 破局反応:パニック

(参考)

(参考)2015年の高齢者介護より抜粋

(痴呆性高齢者の特性とケアの基本)

痴呆性高齢者は、記憶障害が進行していく一方で、感情やプライドは 残存しているため、外界に対して強い不安を抱くと同時に、周りの対 応によっては、焦燥感、喪失感、怒り等を覚えることもある。徘徊、

せん妄、攻撃的言動など痴呆の行動障害の多くは、こうした不安、失 望、怒り等から惹き起こされるものであり、また、自分の人格が周囲 から認められなくなっていくという最もつらい思いをしているのは、

本人自身である。こうしたことを踏まえれば、むしろ痴呆性高齢者こ そ、本人なりの生活の仕方や潜在する力を周囲が大切にし、その人の 人格を尊重してその人らしさを支えることが必要であり、「尊厳の保 持」をケアの基本としなければならない。

痴呆性高齢者ケアは、高齢者のそれまでの生活や個性を尊重しつつ、

高齢者自身のペースでゆったりと安心して過ごしながら、心身の力を 最大限に発揮した充実した暮らしを送ってもらうことができるよう、

生活そのものをケアとして組み立てていくものである。いわゆるリロ ケーションダメージ(転院などで生活の場が変わることによる悪影 響)など環境の変化に適応することがことさら難しい痴呆性高齢者に 配慮し、生活の継続性が尊重されるよう、日常の生活圏域を基本とし た介護サービスの体系整備を進める必要がある。さらに、痴呆の症状 や進行に対応できる個別の介護サービスのあり方や安心感を与える ような周囲のかかわり方を明らかにして、本人の不安を取り除き、生 活の安定と家族の負担の軽減を図っていかなければならない。

(痴呆性高齢者のケアの普遍化)

コミュニケーションが困難で、環境の影響を受けやすい痴呆性高齢者 のケアにおいては、環境を重視しながら、徹底して本人主体のアプロ ーチを追求することが求められる。このことは、本来、痴呆性高齢者 のみならず、すべての高齢者のケアに通じるものである。痴呆性高齢 者グループホームが近年実践してきている、「小規模な居住空間、な じみの人間関係、家庭的な雰囲気の中で、住み慣れた地域での生活を 継続しながら、一人一人の生活のあり方を支援していく」という方法 論は、グループホーム以外でも展開されるべきである。

要介護高齢者の中で、今後、痴呆性高齢者がますます多数を占めるこ とも合わせて考えれば、これからの高齢者介護においては、身体ケア のみではなく、痴呆性高齢者に対応したケアを標準として位置付けて

いくことが必要である。

2.(生活の継続性を維持するための、新しい介護サービス体系)で 述べた「小規模・多機能サービス拠点」、「施設機能の地域展開」、「ユ ニットケアの普及」といった動きは、まさに痴呆性高齢者に対応した ケアを求めるという観点から産み出されてきた方法論であり、これら の方策の前進がさらに求められるゆえんは、このように痴呆性高齢者 対応のケアの確立が必要であるからである。

また、介護サービスを担うすべての事業者及びその従業者に対し、研 修等を通じて痴呆に関する十分な知識と理解の習得を促し、専門性と 資質の確保・向上を図ることが必要である。

「痴呆」から「認知症」へ

本資料は平成15年6月に取りまとめられた資料を原文のまま抜粋したものであるため、

「痴呆」という言葉で掲載されている。

なお、「痴呆」という言葉について、「認知症」を使用する旨の通知(老健局長通知)は、

平成16年12月24日付で発出している。