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2.7.2.3.1 本剤の薬物動態

2.7.2.2.2.1 で 示 し た と お り 、 日 本 人 健 康 成 人 男 性 を 対 象 と し て 本 剤 0.1 、 0.2 及 び 0.3mmol/kg を単回投与後、血漿中 Gd 濃度は 2 相性の消失を示した。本剤静脈内投与後の Cmax及 び AUC は投与量に比例した増加を示し、t1/2、CL 及び Vssなどの他の薬物動態学的パラメータにお いても一定の値が得られており、検討した投与量範囲においてガドブトロールの薬物動態は線形 性を示すと考えられた。Vssは体重の約 20%であり、細胞外液量が体重の約 22%と見積もられる

3)ことからガドブトロールは主に細胞外液中に分布するものと考えられた。本剤静脈内投与後の 尿中への排泄は速やかで、投与 12 時間後にはほぼ完了することが示された。また、Gd の尿中排 泄率は高く、CL、CLR及び CLcrが同程度であったことから、ガドブトロールの主排泄経路は尿中 排泄であり、主に糸球体ろ過により未変化体として尿中に排泄されるものと考えられた(試験 310865)。

2.7.2.3.2 日本人と白人との薬物動態の類似性

2.7.2.3.2.1 Standard Two Stage 法による解析

本剤(試験 310865、97113 及び 307362)及び SH L562A(試験 93016 及び 92001)を用いた薬 物動態試験における被験者背景及び各製剤の薬物動態学的パラメータの日本人(国内試験)と外 国 人 ( 国 外 試 験 ) と の 比 較 を 、 そ れ ぞ れ 表 2.7.2.3.2.1-1 、 表 2.7.2.3.2.1-2 及 び 表 2.7.2.3.2.1-3に示す。

薬物動態試験に参加した日本人及び外国人の被験者背景を比較した場合、日本人に比較して外 国人の平均体重は約 20%~30%大きく、平均年齢も高かった。また、各被験者の血清クレアチ ニン、体重及び年齢を用いて計算した CLcr(mL/min)は、日本人及び外国人共に同程度であった。

本剤静脈内投与後の薬物動態学的パラメータの比較では、投与量 0.1mmol/kg で補正した AUC 及び Cmaxは日本人及び外国人共に投与量にかかわらず一定であったが、投与量補正後 AUC は日本 人では 0.1~0.3mmol/kg の投与量において 942~1034μmol·h/L(試験 310865)、外国人では 0.1~0.5mmol/kg の投与量において 1215~1271μmol·h/L(試験 97113 及び 307362)であり、静 脈内投与後の全身曝露(AUC)は外国人に比較して日本人で小さいことが示唆された。一方、投 与量補正後 Cmaxは日本人で 1258~1319μmol/L(試験 310865)、外国人で 830~936μmol/L(試 験 97113 及び 307362)であったが、日本人及び外国人共に被験者間でのばらつきが大きく(CV 値 31.5%~59.4%)、その範囲を比較すると重複する部分も多かった。また、t1/2、Vss及び CL の比較では、t1/2及び Vss(L/kg)に日本人と外国人との差はみられなかったが、CL は全身曝露が 日本人においてやや小さいことを反映し、外国人(1.39~1.43mL/min/kg)に比較して日本人

(1.64~1.79mL/min/kg)でいくぶん高かった。

なお、SH L562A 静脈内投与後の薬物動態学的パラメータの比較では、投与量 0.1mmol/kg で補 正した AUC は日本人及び外国人共に投与量にかかわらず一定であったが、日本人では 0.05~

0.4mmol/kg の投与量において 783~912μmol·h/L(試験 93016)、外国人では 0.04~0.4mmol/kg の投与量において 1073~1239μmol·h/L(試験 92001)であり、本剤投与時と同様に平均 AUC は

外国人に比較して日本人で小さいことが示唆された。t1/2については、日本人での値の変動が大 きかったが、外国人での値が本剤投与時と類似していることから差はないと考えられた。一方、

上述の本剤における結果と同様に、CL(mL/min/kg)は外国人に比較して日本人で高値を示した。

ガドブトロール静脈内投与後の主排泄経路は尿中であり、尿中排泄率に日本人と外国人との差は なかった。また、日本人及び外国人共に尿検体中に代謝物は認められなかった。

以上のように、本剤と SH L562A 共に同様な結果が得られたことから、両製剤間に薬物動態の 違いはないと考えられた。ガドブトロール静脈内投与後の薬物動態比較において、t1/2及び Vssに 差はなかった。日本人と外国人においてガドブトロールは代謝を受けないことが確認され、未変 化体として投与 12 時間後までにほぼ完全に尿中に排泄された。外国人に比較して日本人の AUC はやや低く、CL はやや大きかった。国外試験に参加した被験者の体重及び年齢は、国内試験に 参加した被験者に比べて高く、これら被験者背景因子がガドブトロールの AUC や CL に影響を及 ぼす可能性が示唆された。

表 2.7.2.3.2.1-1 ガドブトロールの薬物動態試験の被験者背景の比較

Study # 310865 97113 307362 93016 92001

Report # A39759 B000 A21381 AS29 9746

Product SH L562BB SH L562BB SH L562BB SH L562A SH L562A

# of subjectsa 32 6 61 23 24

Race 32 Japanese 5 Caucasian

1 other 22 Caucasian 33 AA 4 Asian 1 Hispanic

1 other

23 Japanese 24 Caucasian

Body weight (kg) 62.6±7.0 (47.9-77.0)

73.3±8.5 (64.0-86.0)

79.7±15.8 (49.5-115.0)

61.9±7.0 (46.5-81.5)

81.7±9.6 (66.0-101.4) Age (year) 24.1±3.0

(20-32) 28.8±4.3

(23-35) 34.4±9.4

(19-60) 22.7±3.3

(20-34) 30.5±5.3

(21-39) CLcr(mL/min)b 139±16

(100-172) 123±15

(107-147) 129±33

(83-244) 125±16

(95-151) 131±22

(99-179) Values represent Mean±SD with range in parentheses.

AA: African American

a: Number of subjects whose pharmacokinetics was evaluated.

b: Creatinine clearance values calculated according to the following Cockcroft-Gault equation;

for male : CLcr= (140 − age) × (body weight) / [72 × (serum creatinine)]

for female : CLcr= 0.85 × CLcr(male)

表 2.7.2.3.2.1-2 本剤単回静脈内投与後の日本人と外国人とのガドブトロールの 薬物動態学的パラメータの比較

Race

(Study #) Dose

(mmol/kg) AUC

(µmol·h/L) Cmax

(µmol/L) t1/2

(h) Vss

(L/kg) CL

(mL/min/kg) Japanese

(310865)

0.1 1033.9±137.7 (1034)a[13.3]b

1318.8±520.2 (1319)a[39.5]b

1.83±0.23 0.21±0.03 1.64±0.21 0.2 2020.5±233.7

(1010)a[11.6]b 2636.3±830.8

(1318)a[31.5]b 1.78±0.21 0.20±0.03 1.68±0.23 0.3 2826.4±318.2

(942)a[11.3]b 3775.0±1230.4

(1258)a[32.6]b 1.83±0.18 0.22±0.03 1.79±0.18 non-Japanese

(97113)

0.3 3644.7±422.7 (1215)a[11.6]b

2562.9±832.4 (854)a[32.5]b

2.01±0.23 0.194±0.017 1.39±0.14 non-Japanese

(307362)

0.1 1244±315

(1244)a[25.3]b

936±556 (936)a[59.4]b

1.84±0.38 0.201±0.055 1.43±0.34

0.3 3755±962

(1252)a[25.6]b

2491±849 (830)a[34.1]b

1.81±0.35 0.194±0.048 1.41±0.34

0.5 6357±1554

(1271)a[24.4]b 4437±1458

(887)a[32.9]b 1.83±0.36 0.194±0.050 1.40±0.33 Values represent Mean±SD analyzed by a non-compartment model.

Pharmacokinetic parameters in Japanese were quoted from Table 11 of the study report A39759, 5.3.3.1.1.

a: Values in parentheses ( ) represent mean values adjusted to a dose 0.1mmol/kg.

b: Values in parentheses [ ] represent coefficients of valiation (%).

表 2.7.2.3.2.1-3 SH L562A 単回静脈内投与後の日本人と外国人とのガドブトロールの 薬物動態学的パラメータの比較

Race

(Study #) Dose

(mmol/kg) AUC

(µmol·h/L) t1/2

(h) CL

(mL/min/kg) AE,ur

(%)a Japanese

(93016) 0.05 391.4±51.1

(783) 1.59±0.58 2.16b 99.6±12.1

0.1 861.4±88.9

(861) 2.30±2.10 1.91b 97.4±5.0

0.2 1690.2±205.1

(845) 1.32±0.39 2.00b 107.2±9.3

0.4 3648.0±544.8 (912)

1.19±0.14 1.86b 103.1±1.4 non-Japanese

(92001) 0.04 429±37.4

(1073) 1.87±0.12 1.56±0.13 94.4±3.40

0.1 1117±93.7

(1117) 1.88±0.19 1.50±0.13 100.3±2.60

0.4 4954±627

(1239) 1.69±0.20 1.37±0.17 99.5±4.62

Values represent Mean±SD.

Values in parentheses represent mean values adjusted to a dose 0.1mmol/kg.

Plasma pharmacokinetic parameters in Japanese were analyzed by a 2-compartment model.

Plasma pharmacokinetic parameters in non-Japanease were analyzed by a non-compartment model.

a: Amount of gadolinium excreted into urine from zero to 48 hours (Japanese) or 72 hours (non-Japanese), expressed as % of dose.

b: The mean value just represents with the unit converted from mL/h/kg in the report to mL/min/kg.

2.7.2.3.2.2 母集団薬物動態解析(試験 13226:報告書 A44213)

参照項目:5.3.3.5.1 A44213 表 2.7.2.1-1に示した国内外の第Ⅰ相試験 5 試験(試験 310865、93016、97113、307362、

92001)から得られた薬物動態データセットを用い、ガドブトロールの薬物動態に対する主要な 被験者背景(年齢、体重及び人種)の共変量効果を検討するため、母集団薬物動態解析を実施し た。全試験より得られた全薬物動態データに基づいて薬物動態の人種間比較を行うため、統合的 評価が可能な本解析方法を選択した。被験者のほとんどは白人又は日本人であったが、その他の 人種(黒人、ヒスパニック系及び日本人以外のアジア人)も含まれていた。人種の共変量効果を 検討するためには、全被験者をアジア人群(日本人及び日本人以外のアジア人)とその他の人種 からなる非アジア人群の 2 群に分類した。この解析では 146 例から得られた血漿/血清及び尿中 Gd 濃度、それぞれ 3639 及び 522 点のデータを用いた。

解析には混合効果モデルを使用した。基本モデルとして、2 コンパートメント及び 3 コンパー トメントモデルを使用し、濃度推移の適合性を検討した結果、3 コンパートメントモデルが最も 適切に血漿及び尿中濃度推移を反映することが明らかになり、3 コンパートメントモデルを使用 した最終モデルが、共変量効果を解析するのに適していると判断した。なお、血漿中濃度には比 例誤差モデルを、また、尿中濃度には混合誤差モデルを用いた。

最終モデルでは体重を CLR及び中央コンパートメントにおける分布容積(V1)並びに末梢コン パートメントにおける分布容積(V2、V3)に、年齢を CLRに、またアジア人を V1及び V2に影響を 及ぼす共変量とした。構築した最終モデルにおける母集団薬物動態学的パラメータ及び共変 量を表 2.7.2.3.2.2-1に示す。

データセットに含まれる被験者の人口統計学的分布の上端/下端と平均値を比較することによ り、これら各パラメータの影響の程度を推定した。使用したデータセットでは、体重が 46.5~

115kg、年齢が 19~60 歳であった。CLRは、平均値 6.4L/h と比較して、最低体重で 20.7%減少 し、最大体重で 27.4%増加した。また、最低年齢で 8.2%増加し、最高年齢で 18.5%減少した。

体重や年齢以外に、人種差のクリアランスに対する影響はみられなかった。分布容積(V1、V2、 V3)は体重幅を考慮した場合、V1、V2及び V3のそれぞれの平均値 9.19、5.38 及び 1.76L と比較 して、V1で-19.7%~26.0%(アジア人において最大 35.1%までの減少)、V2で-37.5%~49.5%

(アジア人で最大 33%までの増加)及び V3で-17.9%~23.6%の変動を示した。

表 2.7.2.3.2.2-1 最終モデルにおける母集団薬物動態学的パラメータ Parameter Mean population value / equation Standard

error 95% confidence interval limits

Lower Upper

PK parameters

CLR(L/h) 6.400 0.075 6.250 6.550

WGHT on CLR CLR*[1+0.00702*(WGHT-76.02)] 0.000825 0.005 0.009 AGE on CLR CLR*[1-0.00651*(AGE-31.54)] 0.00134 -0.009 -0.004

CLNR(L/h) 0.195 0.020 0.154 0.236

V1(L) 9.190 0.282 8.626 9.754

WGHT on V1 V1*[1+0.00667*(WGHT-76.02)] 0.00206 0.003 0.011

RACE=3 on V1 V1*0.649 0.0421 0.565 0.733

V2(L) 5.38 0.228 4.924 5.836

WGHT on V2 V2*[1+0.0127*(WGHT-76.02)] 0.00216 0.008 0.017

RACE=3 on V2 V2*1.33 0.0983 1.133 1.527

V3(L) 1.76 0.077 1.605 1.915

WGHT on V3 V3*[1+0.00606*(WGHT-76.02)] 0.00098 0.004 0.008

Q2(L/h) 20.8 1.23 18.340 23.260

Q3(L/h) 0.398 0.029 0.339 0.457

Inter-individual variability

CLR 0.0377 (19.4%) 0.00418 17.129% 21.462%

V1 0.124 (35.2%) 0.0197 29.086% 40.423%

OMEGA BLOCK CLR-V1 0.0344 (18.5%) 0.00557 15.251% 21.340%

V2 0.110 (33.2%) 0.0218 25.768% 39.192%

V3 0.0308 (17.5%) 0.00613 13.616% 20.751%

Q2 0.135 (36.7%) 0.129 -

-Residual error

Plasma/CV error model 0.0266 (16.3%) 0.00287 14.443% 17.983%

Urine/CV error model 0.0373 (19.3%) 0.00758 14.880% 22.904%

Urine/Additional error model 79.400 12.500 54.400 104.400

Q2: Intercompartment clearance between compartments of V1 and V2. Q3: Intercompartment clearance between compartments of V1 and V3. WGHT: Body weight; AGE: Age; RACE=3: Asian.

(Source: Table 12-4 in page 28 of the study report A44213, 5.3.3.5.1)

最終モデルより得られた体重の共変量効果を補正したモデルデータでは、V1及び V2において日 本人、日本人以外のアジア人と非アジア人の間にわずかな差が検出された(図 2.7.2.3.2.2-1)。

V1の中央値は他の人種と比較して、アジア人(日本人及び非日本人)で小さかった。試験間の V1

の中央値の差異に対して、試験内における変動ははるかに大きかった。日本人(試験 93016 及び 310865)で V2が大きい傾向が認められたが、日本人以外のアジア人(試験 307362)ではその傾 向はみられなかった。ガドブトロールの初期分布相に関連が大きいパラメータである V1及び V2

について更に検討するため、投与 5 分及び 10 分後の血漿中 Gd 濃度の実測データを試験間比較し た(図 2.7.2.3.2.2-2)。日本人以外のアジア人を含む国外試験(試験 307362)では、この時点 での採血・測定を実施しなかったため、本評価には含めなかった。これら濃度データの中央値及 び分布は国内試験と国外試験の間で同程度であり、日本人と外国人との類似性が確認され、初期 分布相において人種間で曝露に差はないことが示唆された。

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