第 3 章 充填性に優れた間隙充填モルタルの条件解明に関
3.2 レオロジー性能に関する検討
3.2.4 試験結果
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(1)降伏値と塑性粘度
塑性粘度と降伏値の関係を図-3.13 に示す。3.1 材料構成に関する検討と同様 に、塑性粘度が大きくなるほど降伏値も大きくなるという傾向が僅かながら認 められる。また、降伏値10Pa以下の試料の作製も成功することができた。過去 の本研究室の検討も踏まえ、本章における検討では、各試料の塑性粘度、降伏値 双方に着目して試験結果を考察していくこととする。
(2)充填率とレオロジー定数
図-3.14に二重円筒式間隙充填試験における充填率とレオロジー定数の関係を 示す。充填率と塑性粘度の関係は、3.1材料構成に関する検討と同様の結果とな り、間隙幅 5mmではいずれの試料もこの基準を満たす。間隙幅 3mm に関して も、概ねこの基準を満たす。
また、充填率と降伏値の関係でも相関関係が見られるようになった。これは、
10Pa 以下の降伏値の試料を製作することが出来たためであると考えられる。降 伏値が大きい際には現れなかった、充填性に影響を及ぼす特性を確認すること が出来た。
図-3.13 降伏値と塑性粘度の関係
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図-3.14 充填率とレオロジー定数の関係
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(3)到達時間とレオロジー定数
図-3.15に到達時間とレオロジー定数の関係を示す。到達時間と塑性粘度の関
係を見ると、3.1材料構成に関する検討の結果と比べ相関関係は認められなかっ た。これは、3 章の検討の塑性粘度帯は約 2~5Pa・s と幅が広かったのに対し、
本章の検討では1~1.5Pa・sであるため相関関係が見えにくいことが原因として 考えられる。
到達時間と降伏値の関係では、降伏値10Pa以下の試料に関しては、若干では あるが降伏値が大きくなるほど到達時間が長くなる傾向が見られた。
図-3.15 到達時間とレオロジー定数の関係
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(4)到達時間と充填率
図-3.16に充填率と到達時間の関係を示す。3章の結果と同様に、間隙幅3mm、
5mmともに充填率が100%に近い試料は到達時間が5s以内であるが、到達時間 と充填率の間に明確な相関があるとは言えない。
(5)含有骨材とレオロジー定数
図-3.17に含有大粒径骨材率とレオロジー定数の関係を示す。含有大粒径骨材 率と塑性粘度の関係を見ると、明瞭な相関は見られないものの、塑性粘度が大き くなりにつれ含有大粒径骨材率は高くなり、塑性粘度が1.5~2.0Pa・s周辺をピ ークにまた含有大粒径骨材率が低くなるような挙動を示している。
一方、含有小粒径骨材率と降伏値の関係を見ると、降伏値が大きくなるにつれ て大粒径含有率が高くなる傾向がある。特に、降伏値が4Paを下回る試料(No.8、
10、11) では、含有大粒径骨材率が低く記録された。これは、ペーストと骨材が 一体化できるだけの粘性を担保出来ていないため、練り終わりから既に材料分 離が生じ、間隙充填性試験器内や間隙内で細骨材が沈降・滞留することで間隙を 通過できた細骨材量が減ったと考えられる。そのため、材料分離抵抗性を有する ためには、この3試料(No.8、10、11)よりも降伏値が大きくあることが必要であ る。また、その時の大粒径含有率は概ね70%以上である。
図-3.16 到達時間と充填率の関係
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図-3.17含有大粒径骨材率とレオロジー定数の関係
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図-3.18に含有小粒径骨材率とレオロジー定数の関係を示す。含有小粒径骨材
率と塑性粘度、降伏値それぞれの関係を見ても相関は認められない。ほとんどの 試料で含有小粒径骨材率 60%~80%以内で収まっている。これは、大粒径骨材 に比べて、粒径が細かく流動時の差異が出にくかったからであると考えられる。
また、含有骨材率は大粒径、小粒径ともに洗い分析により算出しているため洗い 流した可能性についても捨てきれない。
図-3.18 含有小粒径骨材率とレオロジー定数の関係
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(6)含有率差とレオロジー定数
図-3.19に含有率差とレオロジー定数の関係を示す。特に含有率差と降伏値の
関係について言及する。含有率差 10%を境に、試料を 2 グループに分ける。含 有率差が10%以上であるものをグループ1(試料No.2、4、11)、含有率差が10% 未満であるものをグループ2(No.1,3,5~9)にとした。
グループ 1 では含有率差が比較的大きくなっているが、これは間隙通過後のモ ルタル中の骨材が大粒径細骨材または小粒径細骨材のどちらかに偏っているた め健全な試料であるとは言えない。
一方、含有率差が比較的小さいグループ 2 は、間隙通過後のモルタル中に大 粒径細骨材と小粒径細骨材が同程度の割合で含まれており、健全な試料である と言える。この時の試料の降伏値は3Pa以上である。上限に関しては、3章の検 討も踏まえ、今後の検討課題とする。
しかし、含有率差が10%以内でも4.2.5含有骨材率とレオロジー定数で言及し た材料分離を引き起こした試料が含まれている。そのため、「材料分離を起こし ていない且つ含有率差が低い試料である」ためには、降伏値が 4Pa 以上である ことが最低条件である。
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図-3.19 含有率差とレオロジー定数の関係
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