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第 6 章 提案システムの評価

6.1 シミュレーション及び研究室内実験

6.1.3 評価結果

図6.1.2(a)(b)(c)(d)に各ビットレート、DASH映像配信時の高スループットエリア滞在時

間、図6.1.3(a)(b)にビットレート20、30 Mbps映像配信時の再生中断時間、図6.1.4(a)(b)(c)

(d)に各ビットレート、DASH映像配信時の消費電力、図6.1.5にDASH配信時の平均ビッ

トレートを示す。実機実験では、DASH-JSの制約によりB’maxはRが10Mbpsの時、最大

400sまで、Rが20Mbpsの時、最大250sまで、Rが30Mbps及びDASH配信の時、最大

200sまでの計測とする。

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(a) ビットレート10 Mbpsの場合

(b) ビットレート20 Mbpsの場合

(c) ビットレート30 Mbpsの場合

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(d) DASH配信の場合

図6.1.2 高スループットエリア滞在時間評価結果

(a) ビットレート20 Mbpsの場合

(b) ビットレート30 Mbpsの場合

図6.1.3再生中断時間評価結果

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(a) ビットレート10 Mbpsの場合

(b) ビットレート20 Mbpsの場合

(c) ビットレート30 Mbpsの場合

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(a) DASH配信の場合

図6.1.4 消費電力量評価結果

図6.1.5 平均ビットレート評価結果

本評価に関する考察を固定レート配信時とDASH配信時に分けて行う。

① 固定レート配信時

図6.1.2から、高スループットエリアで先読みするセグメント数が増大する程、滞在時間

は増大することがわかる。本提案システムをより有効的に利用するためには、視聴したい 映像のビットレートと先読みする映像の時間により増大する移動時間が変動するので、こ れらを考慮した品質の高スループットエリアを選択する必要がある。実機実験では、帯域 を十分に利用した通信を想定するシミュレーションと比較して、スループットが十分に得 られないため、滞在時間は長くなる。

再生中断に関して、コンテンツビットレートが10Mbpsの場合は、配信される動画のビ ットレートが通信品質のキャパシティ以下であるので発生しない。図6.1.3から、提案シス テムの再生中断時間抑制効果は高スループットエリアが移動の前半に近い程、また、当エ

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リアで拡張したバッファ容量が大きい程、大きいことが確認される。また、バッファが枯 渇する時間と高スループットエリアに到達する時間により、抑制できる再生中断時間が決 定することから、高スループットエリアで拡張されるバッファ容量が同じ場合でも、シミ ュレーション、実機実験における4シナリオの結果が異なる。さらに、実機実験において コンテンツビットレート20 Mbpsの映像を配信した場合、高スループットエリアで拡張す るバッファ容量を250sとした時、約43s、30 Mbpsの映像を配信した場合、高スループッ トエリアで拡張するバッファ容量を200sとした時、約80sの再生中断が抑制されることを 確認した。

消費電力に関して、図6.1.4より、高スループットエリアで拡張されるバッファ容量が大 きい程、消費電力は抑制されることがわかる。但し、高スループットエリア以降の移動時 間が200sの時に400s分の映像を先読みする等の、高スループットエリアにおける先読み を冗長に行うと消費電力は増大する。さらに、実機実験ではコンテンツビットレートが

10Mbpsの動画を視聴する際、拡張されるバッファ容量を400sとすると約155mW、20Mbps

の動画を視聴する際、拡張されるバッファ容量を250sとすると約162mW、30Mbpsの動 画を視聴する際、拡張されるバッファ容量を200sとすると約64mWの消費電力が抑制さ れることを確認した。シミュレーション結果と実験結果との差異は、前述の通りWi-Fi環 境ではTail電力が見られないこと、また通信時の電力がLTE環境と比較して小さいことが 影響していると考えられる。

② DASH配信時

DASH配信時のシミュレーション評価では、通常の通信速度(20Mbps)の経路上を移動し ている際は、20Mbps(キャパシティ=ビットレートであるので、OFF phaseにならない。よ って常に通信状態となる)のビットレートを選択する。一方で、実機実験評価では、20Mbps のキャパシティを設けた場合でも、実際のスループットがそれを下回るので、一つ下の

10Mbpsのビットレートを選択する。但し、高スループットエリア(50Mbps)では、シミュ

レーション評価、実機実験評価共に最高レートである30Mbpsに対し十分なキャパシティ があるので、30Mbpsのレートを選択する。

図6.1.2より、高スループットエリア滞在時間は、先読みするコンテンツ量が増大する程

増大することがわかる。高スループットエリアで選択される映像のビットレートは30Mbps であるので、30Mbps固定レートの映像配信時の結果と同様の結果が得られている。

図6.1.4より、シミュレーション(理論)では、高スループットエリアで先読みするコンテ

ンツ量が増大する程、消費電力は抑えられることがわかった。一方で、実機実験では、先 読みするコンテンツ量が増大する程、消費電力は増大する結果となった。シミュレーショ ン評価と実機実験評価の差異を引き起こした要因として、高スループットエリア以外で配 信された映像のビットレートがシミュレーションでは20 Mbps、実機実験では10 Mbpsと 異なっていたことが挙げられる。これに対し、式(5.7.4)を用いて、シナリオFormerにおい

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てサーバ側に用意するコンテンツのレートを最高30Mbps、40Mbpsとし、DASH配信し た時の消費電力を算出する。但し、高スループットエリアでは、最高のビットレートを選 択することを想定する。その結果を図6.1.6に示す。

図6.1.6(a) 最高レート30Mbpsの場合の推定消費電力

図6.1.6(b) 最高レート40Mbpsの場合の推定消費電力

図6.1.6(a)より、高スループットエリアにおいて選択されるビットレートが30Mbpsと

なる場合、高スループットエリア以外で選択されるビットレートは、12~20Mbps以上の

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値でなければ消費電力は増大してしまうことがわかる。したがってコンテンツ配信サーバ 側で用意するビットレートは、高スループットエリア以外で12Mbps以上のものが選択さ れるよう用意しなければ、省電力効果は望めない。

図6.1.6(b)も同様に、高スループットエリアにおいて選択されるビットレートが40Mbps

となる場合、高スループットエリア以外で選択されるビットレートは、19~20Mbps以上 の値でなければ消費電力は増大してしまうことがわかる。したがってコンテンツ配信サー バ側で用意するビットレートは、高スループットエリア以外で19Mbps以上のものが選択 されるよう用意しなければ、省電力効果は望めない。

以上の結果から、今回のDASH配信評価で、シミュレーション結果と実機実験評価によ り結果が異なった要因は、選択されたビットレートであることが確認された。

最後に選択される平均レートに関して、図6.1.5より、先読みするコンテンツ量が増大す る程増大することがわかる。高スループットエリアで拡大するバッファ容量を200sとした 時、従来手法と比較して平均レートが約12 Mbps増大することが確認された。

以上の結果から、経路の通信速度変動と映像のビットレートを考慮し、コンテンツ先読 みによる移動時間の増大を許容することにより、本提案システムは、従来の映像配信と比 較して省電力加えて高信頼な映像配信を実現することが確認された。

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