• 検索結果がありません。

I. 背景と目的

Ⅵ. 証拠のまとめ

70

71

4. CQ4.

発端者と近親者にサーベイランスを行うことにより、がん罹患率・がん死亡率・全死因死亡率を減 らせるか

CQ4_1. がんに対するサーベイランスの精度は測定できるか

⚫ サーベイランスの検査方法は全身MRI、脳MRI、乳房MRI、PET/CT、腹部超音波であった。

いずれかの方法によるサーベイランスの有効性を示す証拠はない[表35]

⚫ 全部位あるいは特定部位の進行がん罹患をアウトカムとしたサーベイランス評価研究は行わ れていなかった。断面的あるいは短期サーベイランスの結果として、がん発見数、要精検者 数を示した研究は、個別研究6件、メタアナリシス1件であった。

⚫ サーベイランス研究は主としてベースラインの報告に留まっている。全身MRIのベースライ ンのがん検出率はおおむね高く10%を上回る場合も多いが、検査陽性率にはばらつきがあり、

20~30%が最も多い。

5. CQ5.

発端者と近親者にサーベイランスによるによる不利益はあるか

⚫ サーベイランスの不利益には、偽陽性、過剰診断、鎮静による有害事象、心理的影響がある [表35]。

⚫ 偽陽性の代替指標である検査陽性率が高いことから、偽陽性を示す証拠は確実にある。

⚫ 全身MRI検査による陽性率はベースラインに限定すれば30%前後、継続しても20~30%の陽 性率となり、偽陽性率は無視できないほど大きい。

⚫ LFSサーベイランスには複数検査の同意時併用が行われているが、全身MRIをベースにとし て検査を増やしても、検査の増加に伴うがんの検出増加よりも低悪性度や良性の腫瘍の検出 が増加した。すなわち、複数検査の同時併用は、サーベイランスの不利益を増加させる。

⚫ 過剰診断についての検討はなかった。

⚫ 小児においてはMRI検査に伴い、鎮静が必要となる。文献レビューでは、300件以上の専門 病院を主体とした報告を取り上げたが、重篤な副作用はなかった。

⚫ 小児MRI検査には鎮静が必要となるが、鎮静による有害事象発症率は高く、呼吸停止、心停 止、死亡などの重篤な有害事象が含まれている。我が国では小児専門施設の25%で有害事象 の経験を報告しているが、個別レベルでの頻度は不明である。

⚫ サーベイランス受診者は受診に前向きであるが、負の感情が残っている。未受診者はサーベ イランスに関する誤解や負の感情が見られた。サーベイランスの心理的影響として、医療保 険などの金銭的な問題があった。

72 表35. LFSサーベイランスの利益と不利益

利益/不利益 多項目検査 全身MRI MRI 乳房MRI 腹部超音波 PET/CT 利益

全がん

死亡率減少効果 不明 不明 不明 不明 不明

(副腎腫瘍) 不明

進行がん

罹患率減少効果 不明 不明 不明 不明 不明

(副腎腫瘍) 不明

不利益

偽陽性 あり(最も大きい) あり あり あり 不明(あり) 不明(あり) 過剰診断 不明(あり) 不明(あり) 不明(あり) 不明(あり) 不明(あり) 不明(あり) 有害事象 被ばく なし なし なし なし なし あり

(MRI鎮静)成人

(MRI鎮静)小児 あり あり あり

心理的影響 あり あり あり あり あり 不明(あり)

6. CQ6.

放射線療法より、二次がん発症は増えるか。(AF上に記載なし)

⚫ LFS 有するがん患者に対しての放射線療法により、二次がんが増えるという根拠は明確では なかった。

73

関連したドキュメント