• 検索結果がありません。

第 7 章 反転確率による DMI の測定法 39

7.2 計算の安定性の調査

7.1では、熱揺らぎを加えた磁化反転シミュレータの妥当性をマクロスピンモデルにて調査し た。ここからはマイクロマグネティックモデルにて熱揺らぎを加えた磁化反転シミュレータを 用いる。磁化反転シミュレータに熱揺らぎの項を加えた場合、時間刻みと損失定数の組合せに より計算が不安定になる場合があるため、計算が安定する条件を見つける必要がある。ここで は、使用する損失定数に合った時間刻みを調べた。7.1の結果では、時間刻みが小さい場合に平 衡状態に到達しやすい結果となった。しかし、時間刻みを小さくしすぎた場合、計算時間を多 く要する。そのため、計算が安定する条件での最大の時間刻みを求める必要がある。

7.2.1 計算条件

計算の安定性の調査に用いた計算条件を以下に示す。

時間刻み: ∆t = 0.02,0.025,0.05 ps 損失定数:α= 1.0,0.1

温度:T = 300 K(室温)

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16

0 2 4 6 8 10

<θ>

t(ns)

sqrt(1/∆)

∆t=1 ps

∆t=0.1 ps

∆t=0.01 ps

(a) α= 1.0

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16

0 2 4 6 8 10

<θ>

t(ns)

sqrt(1/∆)

∆t=1 ps

∆t=0.1 ps

∆t=0.01 ps

(b)α= 0.1

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16

0 2 4 6 8 10

<θ>

t(ns)

sqrt(1/∆)

∆t=1 ps

∆t=0.1 ps

∆t=0.01 ps

(c) α= 0.01

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

<θ>

t(ns)

sqrt(1/∆)

∆t=1 ps

∆t=0.1 ps

∆t=0.01 ps

(d) α= 0.001

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

<θ>

t(ns)

sqrt(1/∆)

∆t=1 ps

∆t=0.1 ps

∆t=0.01 ps

(e) α= 0.0001

図 7.1: マクロスピンモデルでの磁化角度の時間変化

0.88 0.9 0.92 0.94 0.96 0.98 1

0 2 4 6 8 10

<mz>

t(ns)

∆t=0.02 ps

t=0.025 ps

∆t=0.05 ps

∆t=0.1 ps

∆t=0.5 ps

(a) α= 1.0

0.92 0.93 0.94 0.95 0.96 0.97 0.98

0 2 4 6 8 10

<mz>

t(ns)

∆t=0.02 ps

t=0.025 ps

∆t=0.05 ps

∆t=0.1 ps

(b)α= 0.1

図 7.2: D= 0.0 erg/cm2平均磁化の時間変化

0.92 0.925 0.93 0.935 0.94 0.945 0.95 0.955 0.96 0.965 0.97

0 2 4 6 8 10

<mz>

t(ns)

∆t=0.02 ps

∆t=0.025 ps

∆t=0.05 ps

∆t=0.1 ps

(a) α= 1.0

0.92 0.93 0.94 0.95 0.96 0.97 0.98 0.99

0 2 4 6 8 10

<mz>

t(ns)

∆t=0.02 ps

∆t=0.025 ps

∆t=0.05 ps

∆t=0.1 ps

(b)α= 0.1

図 7.3: D= 1.0 erg/cm2平均磁化の時間変化

7.2.2 計算結果

計算の安定性の調査の結果を図7.2示す。

まずD= 0.0 erg/cm2での計算の安定性について見る。α= 1.0の時、図7.2(a)より∆t≤0.1 ns で計算が安定する結果となった。また、α= 0.1の時、図7.2(b)より∆t ≤0.05 nsと∆t= 0.1 ns で平均磁化の収束する値が異なった。計算が安定していたとしても、収束値が異なるものは、

計算精度に問題があると考えられる。小さい時間刻みでの収束値が真値に近い値と言えるため、

D= 0.0 erg/cm2では∆t≤0.05 nsで計算が安定し、かつ収束値が正しいと考えられる。次に D= 1.0 erg/cm2での計算の安定性について見る。α = 1.0の時、図7.3(b)より∆t≤0.1 psで計 算が安定する結果となった。また、α= 0.1の時、図7.2(b)より∆t≤0.025 nsと∆≥0.05 nsで平 均磁化の収束する値が異なり、D= 0.0 erg/cm2と同様に、D= 1.0 erg/cm2では、∆t≤0.025 ps で計算が安定し、かつ収束値が正しいと考えられる。シミュレーションにより求めた結果を元

に、表7.2,7.3に熱揺らぎを考慮したマイクロマグネティックモデルでの損失定数と時間刻みに

よる計算の安定性を表す。

表 7.2: D= 0.0 erg/cm2での損失定数と時間刻 みによる計算の安定性

∆t\α 1.0 0.1 0.02 ps ○ ○ 0.025 ps ○ ○ 0.05 ps ○ ○ 0.1 ps ○ × 0.5 ps ×

-表 7.3: D= 1.0 erg/cm2での損失定数と時間刻 みによる計算の安定性

∆t\α 1.0 0.1 0.02 ps ○ ○ 0.025 ps ○ ○ 0.05 ps ○ × 0.1 ps ○ ×

熱揺らぎによる平衡状態を求める計算ではα= 1.0,∆t= 0.1 psを用い、磁化反転シミュレー ションではα= 0.1,∆t= 0.025 psを利用することにする。

関連したドキュメント