第 3 章 5 学期科目紹介 23
3.3 解析学 IV
担当:小澤 登高准教授
講義内容
ルベーグ積分論の授業です。
ルベーグ積分の特徴の1つを簡単に言えば、リーマン積分では扱えなかっ た「気持ち悪いもの」まで積分できることです。具体的には、
• 積分を考える空間はユークリッド空間でない一般の集合でよい
• 積分範囲は(可測集合とよばれる普通の)集合であれば何でもよい – 有理点全体
– 7進小数展開において1度も0が出てこない点全体
• 被積分関数は(可測関数とよばれる普通の)関数であって、∞ − ∞が 出てこないようなものなら何でもよい
– 有理数で1、無理数で0となる関数
– カントールの3進関数(ほとんど至るところで微分が0なのに0 から1まで値が単調増加する関数)
となります。
また、リーマン積分は極限と積分の交換に一様収束の議論が必要でした が、ルベーグ積分なら割と簡単な条件のもとで交換できます。
ここまで見ると「そんな積分があるなら早く教えてくれよ!」と思うかも 知れませんが、ルベーグ積分論は積分にたどり着くまでの準備(測度論)が 結構大変なのです。教養で教えないだけの内容的重さがあるので気をつけま しょう。もっとも最近はルベーグ測度の存在や一意性は後回しにして積分に 入ることが多いようで、講義もそのように行われました。
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参考書
参考書ですが、講義では準教科書として
•『ルベーグ積分入門』(吉田伸生,遊星社)
が指定されたのみです。世の中に出されているルベーグ積分論の本は、「内 容が薄い簡単な本」と「内容が濃い難解な本」に大別できると思いますが、
吉田先生の本は十分な内容を扱いながらも頑張れば読めるように書かれてい て、問題も豊富だったので個人的に気に入っています。
他の本としては
•『ルベーグ積分入門』(伊藤清三,裳華房) が有名な本です。去年度は上の2冊のほかに
•『ルベーグ積分講義』(新井仁之,日本評論社)
•『実解析入門』(猪狩惺,岩波書店)
•『ルベーグ積分と関数解析』(谷島賢二,朝倉書店) が参考書としてあげられたようです。
成績評価
講義の方が期末テストのみで、演習の方は講義の期末試験(50%)、小テス ト(30%)、発表の出来(20%)です。
備考
自分たちの代での解析学IV(小澤登高先生担当)について述べます。
講義については、かなりの進度で講義が進み、結局吉田先生の本は大体全 て終えました。フーリエ変換やラドン・ニコディムの定理や付録にあるリー スの表現定理などもやりましたし、Lp空間の時には関数解析のお話として ストーン・ワイエルシュトラスの定理もやりました。
また、演習は発表日と小テスト日の2種類あり、小テストは計5回行われ ました。発表は配られた問題の中から1人1題解くといったものでしたが、
演習問題・小テストともに問題は非常に難しく、演習の時間を半分以上残し ながら発表者が出ないという日があったぐらいです。
一応、終盤には簡単な問題がいくつか追加され、TAもヒントを出してく れたりしましたが、「時既に遅し」といった感じでした。ちなみに小澤先生 自身は「まあ演習問題は数問を除いて難しい問題ばかりですからね」「普通の 人には解けない問題も入れてありますから」といった名言を残しています。
最後に一言だけ言っておくと、測度論・ルベーグ積分論の習得には時間が かかると思われるので、余裕があれば、4学期や春休みのうちから勉強して おくことを勧めます。数学科の5学期はキツイですが、ルベーグ積分論が終 わっていれば相当楽になるでしょう。
(堀江 主起)