(9)
高粘性及び浮遊性の難分解性貨物の貨物残渣及びタンク洗浄水の排出に関する
MARPOL附 属書
II改正
高粘性物質、凝固性物質等をリストアップした英国提案(ESPH 22/10)の検討が行われ、
次の事項が確認された。
リストには検討対象ではない沈降性物質も含まれているが、今後検討が必要かもしれ ない。
予備洗浄対象物質の変更による船舶及び輸送量への影響は大きく、陸上受け入れ施設
の不足も懸念される。
第
13及び
16規則に基づく予備洗浄の代替措置を実施する場合にはサーベアーの承認 及び貨物記録簿へのその旨の記載が要求されるが、サーベアーの数が不足している。
第
13規則及び
P&Aマニュアルの改正が必要かもしれない。
融点と海水温度を考慮した予備洗浄対象物質の指定も可能ではあるが、規制の執行
(enforcement)が困難である。
影響を抑えるため対象物質を段階的に拡大していく方法が考えられるが、初期対象物 質の選定法を決定する必要がある。
これら検討結果をうけ、各国に対し
PPR 4へ提案を行うよう要請があった。
なお、マレーシアから提出された植物油の生分解性に関する調査研究(ESPH 22/10/1)に ついては、まだ試験が終了しておらず、試験終了後に再度検討を行うこととなった。
* * *
付録
1.5 第4回汚染防止・対応小委員会(PPR 4)審議概要報告
(議題
3関連:化学物質の安全及び汚染危険度評価、
議題
4関連:高粘性及び浮遊性の難分解性貨物の残渣及びタンク洗浄を考慮した
MARPOL附属書
IIの見直し 及び
議題
5関連:OSV による有害なばら積み液体危険物の限定的輸送に係るコードの作成)
1
会合の概要
(1) 平成29
年
1月
16日~20 日(ロンドン:IMO 本部)
(2) 参加国又は機関
アルジェリア、アルゼンチン、豪、バハマ、バングラディシュ、ベルギー、ベリーズ、
ボ リ ビ ア 、 ブ ラ ジ ル 、 カ ナ ダ 、 チ リ 、 中 国 、 コ ロ ン ビ ア 、 ク ッ ク 諸 島 、 コ ー ト ジ ボ ア ー ル 、 キ ュ ー バ 、 キ プ ロ ス 、 北 朝 鮮 、 デ ン マ ー ク 、 エ ク ア ド ル 、 エ ジ プ ト 、 赤 道 ギ ニ ア 、 エ ス ト ニ ア 、 フ ィ ジ ー 、 フ ィ ン ラ ン ド 、 仏 、 独 、 ガ ー ナ 、 ギリシャ、インド、インドネシア、イラン、アイルランド、イタリア、日本、ケニア、
ク エ ー ト 、 ラ ト ビ ア 、 リ ベ リ ア 、 リ ビ ア 、 マ レ ー シ ア 、 マ ル タ 、 マ ー シ ャ ル 諸 島 、 メ キ シ コ 、 モ ナ コ 、 モ ロ ッ コ 、 ナ ミ ビ ア 、 オ ラ ン ダ 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 、 ナ イ ジ ェ リ ア 、 ノ ル ウ ェ ー 、 パ ラ オ 、 パ ナ マ 、 ペ ル ー 、 フ ィ リ ピ ン 、 ポ ー ラ ン ド 、 韓 国 、 ロ シ ア 、 セ ン ト キ ッ ズ ・ ネ ー ビ ス 、 シ ン ガ ポ ー ル 、 南 ア フ リ カ 、 ス ペ イ ン 、 ス ウ ェ ー デ ン 、 タ イ 、 ト ル コ 、 ツ バ ル 、 ウ ク ラ イ ナ 、 英 国 、 米 国 、 ウ ル グ ア イ 、 ベネズエラ、バヌアツ、香港、
NOWPAP、
UNEP、
EC、
IOPC Funds、
ICS、
ISO、
IUMI、
BIMCO、
IACS、
OCIMF、
IMPA、
FOEI、
ICOMIA、
IFSMA、
ISU、
CESA、
INTERTANKO、
ITOPF、
IUCN、
SIGTTO、
DGAC、
CLIA、
INTERCARGO、
EUROMOT、
IPIECA、
IMarEST、
InterManager、
IPTA、
IMCA、
IHMA、
RINA、
INTERFERRY、
IBIA、
ITF、ISCO、WSC、The Nautical Institute、CSC及び
SYBAss(3) 議長等
議 長:Mr. S. Oftedal(ノルウェー)
副議長:Dr. F. Fernandes(ブラジル)
2
審議概況
2.1
議題
3関連:化学物質の安全及び汚染危険度評価及び改正の準備
(1)プレナリーでの審議
① 第
22回
ESPH WGの報告(PPR 4/3:ESPH 22)
小委員会は、2016 年
10月に開催された第
22回
ESPH WGの報告書を承認し、同
WGに対し今回会合に提出された提案文書の検討を行うとともに、作業計画に沿って引き続 き検討作業を行うよう指示した。
②
MARPOL附 属 書
I又 は
IIの 適 用 に 関 す る ガ イ ダ ン ス の 策 定 (
PPR 4/3/3及 び
PPR 4/3/4:フィンランド)
ノルウェー、マルタ及びオランダがガイダンスの作成を支持した。また、ノルウェー、
クック諸島及びオランダから、ガイダンスの主な使用者(
ESPHグループか,荷送人
か)を明確にする必要がある、「高エネルギー燃料」はバイオ燃料と混合されることも
あり、そういったケースの扱いについても検討する必要がある、ガイダンスを作成する に当たっては未だ不明確な点が残されており、最終化するには更なる作業が必要である、
MEPC.1/Circ.512
の改正案は今次会合で最終化される予定であり、このガイダンスが最
終化される前に
PPR 4/3/4のフローチャートを同回章に掲載するのは時期尚早である等 の指摘があった。小委員会は、これら意見を考慮の上、詳細な検討を行うよう
WGに指 示した。
③ その他の提案文書(
PPR 4/3/1:リベリア他及び
PPR 4/3/2:ノルウェー)
これら提案文書の検討は行われず、
WGで直接検討を行うように指示された。
(2) WG
での審議
Mr. David MacRae(英国)を議長とするWGが設置され、小委員会からの付託事項に基
づき審議が行われた。審議結果の概要は次のとおりである。
① 新規タンク洗浄剤の評価
政府代表者のみからなるグループにより
14種類の新規タンク洗浄剤の評価が行われ、
12
種類の新規タンク洗浄剤が承認された。2 種類の新規タンク洗浄剤については、タン ク洗浄剤として使用されないこと又は
IBC17章に記載されている物質であり洗浄剤とし て承認する必要がないことを理由に承認されなかった。WG は、タンク洗浄剤の評価に 当たり、SDS の提出が奨励されることを再確認した。
② MEPC.2 サーキュラーの見直し
MEPC.2/Circ.22
に記載された三国間合意製品の内、41 の製品の有効期限が
2017年
12月
31日に切れることが確認された(日本製品は無い。)。引き続き輸送を行うためには
ESPH 23で 正 式 査 定 を 受 け る 必 要 が あ り 、 ハ ザ ー ド プ ロ フ ァ イ ル 策 定 の た め
GESAMP EHS WG(
2017年
5月
23~
27日)にデータを提出する場合、その提出期限は
2017年
4月
7日である。
③
IBCコード第
21章の見直し(
PPR 4/3/1:リベリア他)
フィンランド、オランダ、イラン及び米国が提案を支持したが、ドイツ及びベルギー は、
GHSとの整合性を考慮すると吸入曝露のみによる特定標的臓器毒性に基づいて特定 の要件を設定することは望ましくないとして提案に反対した。
これに関連し、
GESAMP-EHS議長から次の説明があった。
・
GESAMPハザードプロファイル(「
GHP」)の
D3欄の評価を行う際には、有害性
(ハザード)のみに基づいて評価を行っており、曝露経路(吸入
/経口
/経皮)は考慮 していない。
・ メタノールは、視神経への毒性を根拠として
D3=Tとされているが、これは長期的 な曝露による影響ではなく、短期的に高濃度のメタノールに曝露することによって 生じる影響である。
・
D3欄のレーティングは、長期間曝露することによって生じる影響ではなく、長期間 にわたって生じる健康影響に関して設定されている。
・ メタノールの
GHPを見直した場合、PPR5 までには結論が得られないと考えられる。
オランダは、IBC コード第
21章の基準を修正するよりも、メタノールには
IBCコー ドの一部の要件を適用しないとする方が望ましいと述べ、ノルウェー及び
DGACがこれ を支持した。また、マーシャル諸島は、メタノール以外の
D3=Tとされている物質(塩 化アリル、ジエタノールアミン、ナトリウムメトキシド)については、現時点で特段懸 念が示されているわけではないことから、
IBCコード第
21章の基準に従って要件を設定 することが望ましいと述べた。
英国は、今後同じような物質が出てきた場合には
GESAMP-EHSにおいて個別に検討 する必要があるかについて確認を求めたが、
GESAMP-EHS議長は、輸送要件の設定を 行うのは
ESPH WGであり、
GHPを変更するのでなければ
GESAMP-EHSで作業を行う 必要はないとの見解を示した。
これら議論の結果、
WGは次のとおり合意した。
・ メタノールについては、特別要件
15.12を適用しないことが妥当であると考えられる。
・
IBCコード第
21章については修正を行わないこととし、PPR 4/WP.3, Annex 2 を第
21章改正案の最終稿とする。
・ メタノールについては、今後
IBCコード第
17章の物質リストを確認する段階におい て
ESPH作業部会による専門家判断として特別要件
15.12を適用しないこととする。
・ 専門家判断を行う際には根拠が必要であるため、関係国等に対し
ESPH作業部会に 根拠を提出することを求める。
④ MEPC.1/Circ.512 の見直し(PPR 4/3/2:ノルウェー)
PPR 4/3/2
を基に混合物に関する船型要件の評価方法について審議を行った。ドイツは、
提案の趣旨は理解できるが
PPR 4/3/2パラグラフ
13で提案されている
MEPC.1/Circ.512の 修 正 案 は 誤 解 を 生 む 可 能 性 が あ る と 指 摘 し 、 当 該 箇 所 に つ い て は 現 行
MEPC.1/Circ.512
の以下の記述を残す方が良いと主張し、オランダがこれを支持した。
“6.3 A tentative Ship Type, for pollution prevention purposes only, is then calculated, as shown in paragraph 5.4
6.4 The Administration should then provisionally assess the safety hazards of the mixture and assign carriage requirements. The minimum carriage requirements of each column in the Code is determined by selecting the most stringent requirement of the components present in the mixture,
(以下略)
”上記意見を踏まえて
2015年
1月時点の改正案に基づき修正案の検討が行われたが、時 間的制約のため結論には至らず、英国が、会期外に他の関係国等の意見を考慮し船型要 件の評価方法を明確にするため回章の見直し作業を行い、改正案を
ESPH 23に提出する こ と と な っ た 。
MEPC.1/Circ.512の 改 正 案 は
ESPH 23で 最 終 化 さ れ 、
PPR 5及 び
MEPC 72
で承認されることが見込まれている。
⑤ OSV で輸送される汚染されたばら積み液体輸送のために最低要件の策定
PPR 4/3