最後に合成方法を示す。
G(s) = K
s(1 +sT) = K
s × 1
1 +sT =G1(s)G2(s) (6.9) さてこの合成関数の全体の挙動を考える。
G(jω) = K
jω(1 +jωT) (6.10) 複素数の乗数計算において
|G(jω)| = |G1(jω)| × |G2(jω)| (6.11)
̸ G(jω) = ̸ G1(jω) +̸ G2(jω) (6.12) の関係を使う。
ωが小さいと1 +jωT →1となり,伝達関数は G(jω →0)≈ K
jω (6.13)
と近似される。ゲインと位相は,
|G(jω →0)| ≈ K
|ω| =∞ (6.14)
̸ G(jω→0)≈ −90 + 0 =−90deg (6.15)
より,ゲインと位相が次のようになり,
|G(jω → ∞)| ≈ K
|ω2|T = 0 (6.17)
̸ G(jω → ∞)| ≈ −90 + (−90) =−180deg (6.18) ω→ ∞で2重積分(∞で−180degに漸近)に近似できる。
よって,ω → ∞の位相角は伝達関数の次数の差となる。
G(s) = K
s(1 +sT) (6.19)
では,次数差2次−90×n(n=2)で−180となる。
以上より,0≤ω ≤ ∞の概要がわかったので,合成関数が描画できる。
Im
Re 0
図 6.8: 合成
実験でデータをとるとベクトル線図が得られるが,実際はそれらを近 似することで制御対象の数式を得ることができる。
代表的なベクトル線図を図6.91に示す。また,この章ではベクトル線 図の記法を示したが,次章ではこれらの結果を用いた,ナイキストの安 定判別法を示す。
図 6.9: 代表的ベクトル線図(1)
第 7 回 ナイキストの安定判別
周波数ごとに周波数応答のゲイン・位相が決まり,周波数ごとにそれ をつなげることである関数の分析が可能となる。第6章では,ゲイン・位 相を記述する手法としてベクトル軌跡があり,伝達関数が与えられる場 合は周波数毎にプロットできることを示した。
制御系設計では閉ループは代表的で非常に有効な手法であり,安定に するには試行錯誤で調整しなければならなかった。そこで,ベクトル軌 跡を安定性の尺度に利用したナイキストの安定理論が1932年(昭和7年) に提案された。本章では,フィードバック制御系の安定性を判定できるナ イキストの安定判別法を示す。また,ナイキストの安定判別は系が安定 かどうかの判定だけではなく安定の度合いを示すため有用である。
7.1 開ループ伝達関数
伝達関数のゲイン・位相を一点に表現できるベクトル線図の書き方を 前章にて学んだ。このベクトル線図を使って,系の安定性を判定する方 法を考える。
いま,図7.1に閉ループ系の伝達関数を示す。
Y(s) = G1(s)G2(s)
1 +G1(s)G2(s)R(s) + G2(s)
1 +G1(s)G2(s)D(s) (7.1)
G
1(s)
r + y
- G
2(s)
d + +
図 7.1: ブロック図
図7.1において,G1(s)G2(s)はループを一巡した伝達関数の積で一巡 伝達関数あるいは開ループ伝達関数と呼ぶ。丁度,フィードバックルー
プを「カット」すると一巡で増える(または減る)値を示す。フィード バックで「負帰還」すると一定値に落ち着く(一巡で一未満に信号が減 る)と設計したフィードバック系が安定になる。
そこで,信号路を切った開ループG1(s)G2(s)を評価すれば,構成され るフィードバック系が安定かどうか判定できるので,その考え方を利用 したナイキストの方法を紹介する。