それぞれの要素のゲイン・位相を折れ線で近似し,最後に加算する。計 算のポイントは,定常状態での位相をチェックして図が正しいか検算でき る。この例題では,定常状態で分子1次で90deg,分母2次で−180deg より定常状態で位相は−90degとなる。また,ゲインは定常で次数の差
−20[dB/dec]となる。
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図 9.10: ベクトル線図
[1]ゲイン余裕:位相が−180[deg]の時,ゲインが1になるまでのゲイン [2]位相余裕:ゲイン 1 の時,位相が−180[deg]となるまでの位相の余裕 が計測できる。
図9.11に安定の例,不安定の例を示す。図の場合,位相が−180[deg]の
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0dB
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図 9.11: ボード線図での安定性
時ゲインが1未満(0[dB]未満:矢印上向き)でゲイン1(0[dB])の時位
相が−180[deg]未満(遅れていない:矢印上向き)の場合安定である。逆
G(s)の安定性は,位相とゲインで記述でき,
[1]−180[deg]の時ゲインが1
[2]ゲイン1(0[dB])の時位相が−180[deg]未満 であれば,系は安定と言えた。
簡単に解説すると,「−180[deg]の時ゲインが1以上」であると,フィー ドバックで信号が増幅されどんどん信号が大きくなる。あるいは,「ゲイ ン1(0[dB])の時に位相が−180[deg]以上」ずれると,ループを一巡した 際に,その偏差r−yは明らかに360度で増幅され,制御系は発散するこ とがわかる。これらの安定度として,先に示したゲイン余裕,位相余裕 で数値化できる。
一般に対象とする系は,「データがとれる」のを仮定してるので「系は 安定である」と考えてよい。さらに,制御により振動を小さくしたり応 答を早くしたりするのが実用的な設計であろう。ここで扱う制御系は開 ループ(あるいは一巡伝達関数フィードバックループを切ったもの)であ るが,信号が増幅されているかあるいは遅れているかを分析し,フィー ドバック系をつなぐと安全に制御できることが「事前に」わかるのがこ の手法の特徴である。
第 10 回 制御系設計手法の基礎
この章から,具体的な制御系の設計を行う。制御系の設計において,「振 動がないようにゲインを調整したい」,「偏差なく追従したい」といった 具体的な要望がある。コントローラの設計においてまず明らかにすべき ことは,「どのような構造のコントローラで達成できるか」という点をま ず明らかにして,その後具体的な調整法について議論すればよい。
本章では,特に制御系設計の基礎として,定常状態の性能として制御 系の型を学び,定常偏差が最後にどれくらい残るかを計算する。次に,コ ントローラの極の配置について示し,フィードバックゲインを大きくす ると極がどの様に変化するかを調べる根軌跡法を示す。なお,エバンス による根軌跡法は1952 年に確立されている。
10.1 制御系の仕様
制御系の制御目的は,
[1]目標値に追従する
[2]外乱が入ったときには,その影響を打ち消し制御量を目標値に一致さ せる
ことである。さらに具体的な仕様としては,
[1]定常偏差をなくす [2]即応性を改善する [3]安定度を改善する
といったことが設計の際に注意すべきものであり,例えば図10.1は系の 配置によりどのような仕様が与えられるかを図示したものである。図に 示すように,極配置によりシステムは振動したり,振動しなかったりす
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図 10.1: 極の位置
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図 10.2: 系の設計指標
行き過ぎ量),整定時間,定常偏差などがある。ほかの包括的な数学的 指標として,応答波形を意図的に評価したものとして誤差面積の量の積 分量を評価する方法などもある。ここでは,例として2つの指標を示す。
[1]ISE(積分二乗誤差:integral of squared error) I =
∫ ∞
0
e(t)2 dt
(10.1)
[2]ITSE(積分時間二乗誤差:integral of time multiplied by squared error)
I =
∫ ∞
0
te(t)2 dt
(10.2)
例えば,ISEでは誤差が小さいほどよい評価となり,振動が少ない波形と なる。ITSEでは時間がさらに評価される。ほかにも積分絶対値誤差など もある。