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表 3-1 S帯・L帯補正方式に共通な開発項目と評価実験
分類 開発項目 内容
補 正 情 報 の 生成
電離層補正情報生 成時の電子基準点 使用数の変更
補正情報生成にほぼ全ての電子基準点を使用する。
領域とサブネットワーク、グリッド領域を調整する。
測位 電離層補正情報の 適用方法の調整
補正情報の更新頻度を低くした場合に対応できる電離 層遅延補正情報の内挿方法の開発を行う。
補 正 情 報 の 配信
フォーマットの 見直し
補正情報の読み書きを簡易化するため、補正情報フォ ーマットの見直しを行う。
シ ス テ ム 構 築
プロトタイプのシ ステム構築
構築した方法に基づいて補正情報の生成・配信および 受信測位をリアルタイムで行うシステムのプロトタイ プを構築する。また、リアルタイム予備実験を行い、
設定の確認、および構築したプロトタイプシステムが 要求される動作・性能を満たしうるものであることの 確認を行う。
評価実験 リアルタイム測位 実験
関東・沖縄の2地域において、プロトタイプシステム を用いて測位実験を行い、プロトタイプシステムが実 地の観測において要求される動作・性能を満たしうる ものであることを確認する。
表 3-2 L帯補正方式のための開発項目
分類 開発項目 内容
補 正 情 報 の 生成
電離層領域形状の 変更
配信データ量削減のため、電離層補正情報領域の形状を 矩形から領域の形状に合わせた多角形面に変更する。
補 正 情 報 の 配信
フォーマットの 見直し
配信データ量削減のため、補正情報フォーマットの一部の 見直しを行う。
データ圧縮 配信データ量削減の選択肢として、補正情報の配信にデ ータ圧縮処理を導入する。
3.2.
測位補正技術の改良フェーズ1で課題として残された電離層遅延補正の精度向上に取り組むと共に、伝送 容量制約の遵守と要求精度の実現における有効性の観点から、補正情報の内容・フォー マットの見直しを行うことにより、フェーズ1で構築した測位補正技術の改良を行った。
38 3.2.1. 電離層遅延補正の精度向上
電離層遅延補正の精度を向上させるために、補正情報生成時に使用する電子基準点の 空間密度向上、および、測位処理において電離層遅延補正を適用する際の時間内挿手法 の導入という、2種類の改良を行った。
3.2.1.1. 電離層補正情報生成における観測点密度の向上
フェーズ1において電離層補正の精度が不十分だった原因の一つは、電離層補正情報 の生成のためにごく一部の電子基準点を用いており、用いられる電子基準点の配点密度 が小さかったことが考えられる。そこで、リアルタイムに配信されている電子基準点を ほぼ全点使用することにより、生成する電離層補正情報の精度向上を図る。
ほぼ全点の電子基準点を対象に電離層遅延の即時的推定を行うためには、膨大な計算 を複数のタスクに分散し処理する仕組みが必要である。そのため、まず、領域分割の単 位を見直し、フェーズ1で設定した5領域から12領域に細分化した。さらに、各領域を ネットワークモードでのリアルタイムで処理が可能な単位(以後この単位を「サブネッ トワーク」と呼ぶ)に分割し、サブネットワークごとに推定処理を行い、グリッド化処 理の際に、領域ごとにバイアスの調整を行いながら再統合する仕組みに改良した。電離 層遅延量推定処理および電離層グリッド生成処理の実装のイメージを図 3-1に示す。多 数からなる電離層遅延量推定装置のそれぞれ1台では、4つのサブネットワークの電離層 遅延量の推定を行う。推定された結果は、当該領域の電離層グリッド生成装置に送られ、
領域ごとの電離層グリッドを生成する。DD2INXは、各サブネットワークの電離層推定 結果から1 つの領域の電離層グリッドを生成するソフトウェアである。
電離層遅延量推定装置(RTNet/ION)
領域1 サブネット1RTNet CPU25%メモリ25%
領域1 サブネット2RTNet CPU25%メモリ25%
領域1 サブネット3RTNet CPU25%メモリ25%
領域1 サブネット4RTNet CPU25%メモリ25%
電離層遅延量推定装置(RTNet/ION)
領域1 サブネット5RTNet CPU25%メモリ25%
領域1 サブネット6RTNet CPU25%メモリ25%
領域2 サブネット1RTNet CPU25%メモリ25%
領域2 サブネット2RTNet CPU25%メモリ25%
電離層グリッド生成装置(DD2INX)
領域1DD2INX
領域2DD2INX
領域3DD2INX
図 3-1 電離層遅延量推定および電離層グリッド生成のイメージ
39
3.2.1.2. 電離層遅延補正情報の適用における内挿方法の改良
フェーズ1では、電離層遅延補正情報の適用において、時間変化について線形内挿な どの処理は行わず、単純に、新たな電離層遅延補正情報を取得するまでは、既に取得さ れている電離層遅延補正情報をそのまま使用する処理を用いていた。電離層遅延量は、
電離層の電子密度の分布自体の時間変化や観測点と衛星を結ぶ視線の移動に伴い時間・
空間的に変化するが、フェーズ1の手法ではこの変化が十分に考慮されていなかった可 能性がある。
そこで、観測時刻を挟む 2 時点で得られた電離層遅延補正情報を、観測時刻において 時間的に線形内挿する方式に改良した。この場合、観測時点以後に新たな電離層遅延補 正情報を受信するまで、内挿処理を行うことができない点に注意が必要である。図 3-2 に、観測時間間隔を10秒、電離層遅延補正情報の間隔を30秒、最大内挿時間を30秒と した場合の時間内挿処理の経時的流れのイメージを示す。フェーズ1の処理では、測位 解析時に取得済みの電離層遅延補正量をそのまま使用していたため、補正情報が更新さ れるまでの間は同じ遅延量を適用して即座に解析を行っていた(図 3-2 の上段)。改良 後は、測位解析時刻の前後 2 時点における補正情報を基に時間内挿処理を行うため、新 たな補正情報が得られた時点で、時間を遡って電離層時間内挿値を算出・適用して測位 解析処理を行う(図 3-2の下段)。
改良されたアルゴリズムをもとに作成した時間内挿処理コードを、補正情報受信・測 位装置における電離層遅延補正情報適用処理に追加し、リアルタイムでの測位処理を行 った。その結果、S帯補正方式においては参照基準点観測情報の更新頻度10秒に対して 電離層遅延補正情報の更新頻度を30秒に、L帯補正方式においては同30秒に対して120 秒に設定した場合においても、L1一周波測位が実行可能なことを確認した。
40
0:00 0:10 0:20 0:30 0:40 0:50 1:00
1 2 3 4 5 6 7
解析実行 観測データ 電離層遅延
補正取得 補正取得 補正取得
1 2 3 4 5 6 7
そのまま適用 そのまま適用
《改 良 前
》
0:00 0:10 0:20 0:30 0:40 0:50 1:00 1
4 3 2
7 6 解析実行 5
観測データ 電離層遅延
補正取得 補正取得 補正取得
1 2 3 4 5 6 7
内挿処理 内挿処理
《改 良 後
》
4の補正取得後、
2,3の内挿処理をして、
2,3,4の解析を実行
図 3-2 電離層遅延補正情報の時間内挿処理イメージ(S帯補正方式の例)
3.2.2. LEX 仕様への適合を考慮した補正情報の仕様変更
L 帯補正方式において LEX 仕様の伝送速度(1,695bps)に収まるように補正情報の仕 様を検討する必要がある。そのため、測位精度を確保しつつ補正情報の配信容量を削減 する改良を行った。S帯補正方式については配信容量に削減の必要はないが、処理方式や フォーマットはなるべく L 帯補正方式と共通になるように設計し、測位精度を確保でき る範囲で削減可能なものについては削除を行う。特に、電離層遅延補正情報については 領域の数や形状・グリッドサイズを変更することにより、データ量を削減する。
3.2.2.1. 電離層領域形状の変更
電離層遅延量の推定において全ての電子基準点を使用するために、電離層遅延推定領 域を細分化した。さらに、測位の対象域をカバーするために必要かつ最小限の範囲のみ を配信するため、領域の形状を矩形から多角形に変更することで、余分な領域を削除し た。多角形領域の例を図 3-3に示す。赤点が参照基準点(電子基準点つくば3;960627)、
赤線は電離層領域の境界、青数字は領域番号、4桁の数字はその位置に置かれている電子 基準点のIDである。なお、実際の配信領域は、上空に設定された電離層面上に配置され
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るので、この図の表示は、衛星が天頂方向にあるとした場合の電離層面上のグリッド領 域のイメージである。実際には、補正情報の領域は、衛星の位置に応じて移動するもの である点を注意する。
図 3-3 新しい領域形状の区分(関東領域)
3.2.2.2. データの圧縮
配信する補正情報のデータ量を削減するための選択肢として、データ圧縮を行う機能 を追加した。圧縮方法には、標準的な圧縮方式であるzipを用いる。
3.2.2.3. 補正情報フォーマットの見直し
補正情報の配信については、L帯補正方式の伝送速度を考慮してデータ数を削減するた め、各種補正情報の内容とフォーマットの見直しを行った。S帯補正方式については、補 正情報のフォーマットはL帯補正方式と同一とし、内容についても、補正情報の分解能 等を除き、基本仕様はほぼ同じものとした。表 3-3に、フェーズ1で設定したフォーマ ット(表 2-19)と、ここで見直したフォーマット(表 3-4)との変更点とデータの増減