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被取得企業の株式に基づく報酬の置換え

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注:

6.2  企業結合の一部ではない取引の修正

6.2.5 被取得企業の株式に基づく報酬の置換え

被取得企業の既存の株式に基づく報酬が取得企業によって置き換えられる企業結合において、移 転された対価及び結合後の費用の両方を決定する際には特に注意する必要があります。被取得企 業の報酬はしばしば、例えば以下の事項を行うために置き換えられます。

・ 被取得企業における取得企業の所有が将来希薄化することを回避する。

・ 取得企業の株式が結合後に被取得企業の株式と比べてより流動性がある場合に、より効果的な従 業員のインセンティブが生まれる。

・ 拡大されたグループ内で報酬契約を合理化する。

IFRS第3号では、企業結合に関連した株式に基づく報酬の交換は、IFRS第2号に基づいて株式に基 づく報酬の条件変更として会計処理されます(IFRS第3号B56項)。

取得企業が被取得企業の株式に基づく報酬(もともとの報酬)を自社の報酬(代替報酬)と置き換える 債務を負っている6場合には、その代替報酬の価値の全部又は一部は移転された対価の構成要素と なります(IFRS第3号B56項)。取得企業が被取得企業の報酬を自発的に置き換える場合には、同じガ イダンスが適用されます。取得企業が被取得企業の報酬を置き換えないことを選択する場合のガイダ ンスについては、セクションB.6.2.6をご覧ください。

注:2010年5月、IASBはIFRSの年次改善(2010年版)を公表した。本改訂では、取得企業が自発的に置き換える被取 得企業の株式報酬取引は、取得企業が置き換える債務を負っている報酬と同様に会計処理しなければならないことが 明確にされた。また、改訂では、取得企業が置き換えないことを選択する被取得企業の報酬に関する会計処理を明確 にした。本改訂は、2010年7月1日以降に開始する年度に対して適用されている。

6 取得契約の条件、株式報酬契約自体、又は適用される法令又は規制のいずれかによって要求されている場合に は、取得企業は被取得企業の株式報酬を置き換えることを義務づけられている(IFRS第3号B56項)。

Q社は、S社をベンダーVからCU2,000万で取得した。取得契約では、ベンダーVが法律、

デュー・デリジェンス及びその他の専門家の報酬などの取引に関連するすべての費用を支払うこ とを規定している。Q社はこれらの費用を補填する必要がない。

Q社の代わりにベンダーVが支払った取得関連費用は、合計でCU50万であった。ベンダーV は、当該取引に関連する自社の弁護士費用に関して追加のCU10万を負担した。

分析:

この場合、Q社が支払ったCU2,000万には実質的に、取得関連費用に対する補填が含まれてい ます。Q社は、当該費用を即時費用として企業結合とは区別して会計処理しなければなりませ ん。

企業結合の会計処理において、移転された対価はCU1,950万(契約上の取得価格からQ社の代 わりに支払われた取得費用のみを減額したもの)であると算定され、これは取得した事業と交換 に支払った金額を表しています。

代替報酬の会計処理におけるIFRS第3号の目的は、その価値を以下に帰属する金額に配分すること にあります。

・ 結合前の勤務(移転された対価の一部として処理する)

・ 結合後の勤務(報酬費用として結合後の財務諸表で会計処理する)

IFRS第3号では、配分をどのように決定するのかについて特定のガイダンスが提供されています。本 ガイダンスでは、代替報酬及び被取得企業の報酬の両方を、取得日に(IFRS第2号に基づいて)市場 ベースの測定値を用いて測定するよう取得企業に対して要求しています。これは、セクションB.4.3.1 で説明したIFRS第3号の測定に対する例外の一つです(IFRS第2号の市場ベースの測定値は公正価 値と完全には一致しないため)。

代替報酬の価値の配分に関するIFRS第3号のガイダンスは、以下の通りです。

・代替報酬の価値と結合前の勤務に配分される金額との差額。

・被取得企業の報酬に対する代替報酬の価値の超過額は実質的 に、従業員報酬費用として結合後の損益で会計処理される。

・結合後の報酬費用は、結合後の勤務が要求される場合には(被 取得企業の報酬が取得日にすでに権利確定している場合でも)、

権利確定期間にわたって認識される。

・さらなる勤務が要求されない場合には、即時に費用として認識さ れる。

・代替報酬の結合前の部分と結合後の部分の配分には、権利確定 が見込まれる代替報酬の数についての最善の見積りを反映させ なければならない。

・権利確定の見積りの変更はすべて、移転された対価の修正では なく、結合後の損益として認識される。

・同様に、企業結合後に生じた他の事象(すなわち、業績条件の 結果の修正又は見積りの改訂)の影響は、結合後の損益として 認識される。

・代替報酬がIFRS第2号に基づいて現金決済型又は持分決済型 として分類されるかどうかにかかわらず、同じ要求事項が適用さ れる。

・現金決済型として分類される場合には、代替報酬の価値の取得 日後におけるすべての変動及び関連する法人所得税効果は、結 合後の損益として認識される。

・企業結合により失効することになる報酬を取得企業が置き換え る場合には、その代替報酬の価値は結合後の費用として処理さ れる。価値は移転された対価に配分されない。

・代替報酬の法人所得税効果は、IAS第12号に基づいて認識され る。

結合後の勤務:

算定(IFRS第3号B59項)

会計処理(IFRS第3号B59項)

その他:

権利確定が見込まれる代替報酬の見積り(IFRS第3号B60項)

株式報酬の分類の影響(IFRS第3号B61項)

企業結合の結果として失効する株式報酬(IFRS第3号B56項)

法人所得税効果(IFRS第3号B62項)

要素

・被取得企業の当初の報酬の価値に、以下の項目のいずれか大き い方に対する取得日に完了した権利確定期間の比率を乗じたも のを用いて算定される。

-既存の報酬の当初権利確定期間 -権利確定期間合計(変更が行われた場合)

・移転された対価に含まれる。

結合前の勤務:

算定(IFRS第3号B58項)

会計処理(IFRS第3号B57項)

IFRS第3号のガイダンス

結合前の勤務に関連する代替報酬の表示

結合前の勤務に関連する代替株式報酬の価値は移転された対価に含まれており、そのため、のれん の金額が増加します。持分決済型の株式に基づく報酬については、それに対応する金額を資本に貸 方計上します。以下のように、どの企業が権利行使時に株式を発行するかに応じて、こうした金額を 非支配持分又は支配持分の資本として計上します。

・ 被取得企業の株式が発行される場合には、当該金額は非支配持分の一部である。

・ 取得企業の株式が発行される場合には、当該金額は支配持分の資本の一部である。

以下の例では、株式に基づく報酬の置換えに関する会計処理について説明しています。

例B.35-被取得企業の株式に基づく報酬の置換え

P社は、S社を取得する。S社は既存の持分決済型の株式に基づく報酬(当初の報酬)を有してお り、将来の取得企業が少なくとも同等の価値の報酬と置き換えることを要求する条項が盛り込ま れている。当初の報酬では、4年の権利確定期間を定めている。取得日に、S社の従業員は2年 の勤務をすでに提供していた。

要求に応じて、P社は当初の報酬を自社の株式に基づく報酬(代替報酬)に置き換えた。本代替 報酬では、権利確定期間は(取得日から)1年に短縮されている。

取得日における当該報酬の価値(市場ベースの測定値)は以下の通りである。

・ 当初の報酬:CU100

・ 代替報酬:CU110

取得日時点で、すべての報酬は権利確定することが見込まれている。

分析:

代替報酬の価値は、移転された対価と結合後の報酬費用に配分されます。

結合前の勤務に帰属する部分はCU50(CU100×2/4年)であり、移転された対価の一部に含ま れます。これは、当初の報酬(CU100)の価値に、権利確定期間全体(3年)又は当初の権利確 定期間(4年)の大きい方に対して、結合前の勤務期間(2年)の比率を乗じて算定されます。本 金額は親会社の資本に貸方計上されます。

残りのCU60(CU110-CU50)は、従業員の将来の勤務に対する報酬に帰属します。これは、1 年(代替報酬の権利確定期間)の残存勤務期間にわたって報酬費用として結合後の損益で認 識されます。

*取得日時点で従業員がすでに提供していた2年及び代替報酬における1年の権利確定期間

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