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表面観察

ドキュメント内 卒 業 研 究 報 告 (ページ 49-53)

第5章  酸化亜鉛透明導電膜の評価および考察

5.1  はじめに

5.3.4 表面観察

  ガラス基板上に形成された酸化亜鉛透明導電膜の表面形状を観察するために、原子間力 顕微鏡(Atomic Force Microscope: AFM)を使用した。装置はJSPM-4210(JEOL:日本 電子株式会社)である。図(5.7 ~ 5.11)にAFMによって得られた表面形状の様子を示す。

5.3.4.1  結晶の大きさの違いによる粒界散乱の有無

基板上のそれぞれの位置の結晶の大きさを表(5.2)に示す。

結晶の大きさは中心に向かうにつれて、次第に小さくなっている。さらに、前述したキ ャリア密度との関係を考えたとき、d ~ g位置で比較すると結晶が小さくなるに伴いキャリ ア密度は高くなり移動度が小さくなる傾向にあり、逆に結晶が大きくなるに伴いキャリア 密度が低く移動度は大きくなる傾向にある。

ここで、結晶の大きさで割合の多いものについて見ると、端に行くほど結晶は大きくな るが、段階的に大きくなるわけではなく中心から端に向かって大きさが波のように大きく なったり小さくなったりしていることが分かる。その大きさは、端の結晶ほど大きなもの ではなく小さいものと大きいものの中間ほどの大きさになっている。

基板上の位置 結晶の大きさ (nm) 割合の多い結晶の大きさ(nm)

d位置 40 ~ 100 55 ~ 70

e位置 20 ~ 60 30 ~ 40

g位置 30 ~ 60 40 ~ 50

k位置 20 ~ 55 20 ~ 30

s位置 40 ~ 90 60 ~ 70

表5.2 : AFMより得た表面の結晶の大きさ

結晶の大きさに対する移動度の関係を見ると、結晶が一番小さい中心のk位置と結晶の 大きい端のd位置の移動度が高い。そして、この二点よりも移動度の小さい e 位置の結晶 の大きさはk位置と同じく小さいものの割合が多い。これは、結晶の大きさによって移動 度が変化するわけではないことを意味している。

  移動度の減少には、一般に粒界散乱という結晶と結晶の境目で生じる散乱によるものが あるといわれている。これは、結晶の粒が小さく密集しているほどキャリアが粒界を移動 する率が多くなるため移動度が小さくなるということである。

  しかし、この説には当てはまらない結果が得られたことになる。つまり、結晶が小さく 密集しているほど移動度は散乱の影響を受け移動度が小さくなり、大きいほど影響を受け にくいという理論には当てはまらないということである。結晶の大きさとそれによって生 じる粒界散乱は電気特性には寄与しないという結論である。

現在、粒界散乱は電気特性には寄与しないという理論が発表されている。今回の研究の 結果はこの理論を証明したことになる。

5.3.4.2 電気特性に寄与するもの

電気特性には粒界散乱に依存するものではなく、もっと別な原因が存在していると考え られる。では、何が電気特性を左右しているのかということになる。

図(5.7 ~ 5.11)を見ると、基板上に形成された酸化亜鉛透明導電膜の中心部分(k位置)

では結晶が基板面に対して垂直方向に形成されている。しかし、その他の位置では結晶が 斜めになり全体的に流れているような表面形状が得られた。特に基板の端に近くなるに伴 い流れているような形状が強く現れている。これは、(4.2.2)節に記述したが、成膜時に基 板を動かしながら成膜していることによるものだと考えられる。

  この結晶成長の仕方が違うことに注目する。結晶がまっすぐ成長しているものと斜めに 成長しているものの違いによって移動度が違うと考えられる。結晶の大きさのによる粒界 散乱が移動度の減少には寄与しないと考えているため、粒界の形状によるものではないと 考えられる。他に電気特性に寄与する原因は結晶内部の構造が違うことによるものではな いかと考えられる。つまり、ドーピングしているGaの含有量が違っている可能性や、その 他結晶の欠陥によるものであると考えることができる。しかし、この段階での原因の究明 には至らない。含有量については、各種元素の割合を変えて成膜を行い薄膜の形成位置に よる特性とを比較することで関係を見出し、含有量の違いとその違いによる特性の変化が 一枚の基板上に成膜された薄膜に存在するのかを確かめていくことが必要だと考える。

図5.7 : d位置での表面形状

図5.8 : e位置での表面形状

図5.9 : g位置での表面形状

図5.10 : k位置での表面形状

図5.11 : s位置での表面形状

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