プ1 グルー プ2
4.2 表情認知特性 に優れたフェース グラフ の設計
4.2.1 線画を用いた表情解析
フェース グラフ では識別や分類などの処 理が人間の知覚 判断 に依存しているために その認知特性の定量的な把握 が重 要である.犬飼 らは顔図形を用いて表情間 の知覚 判 断による距 離関 係やそ の個 人差を求めてお り[犬飼771. また心理学 の分 野に於 いて も表 情 に 関 す る研 究 は 古 く か ら 行 わ れ て き た[Abelson G2][ 大 脇71]「 吉 田76」.
Woodworth は表情を6 つ のカテ ゴリー に分け ,そ れを直線 上に配置して表 情間の距 離関係を示し た( 図4.2.1(a)参照)[Woodworth 38]. 引き続いて, Schlosberg は 図4.2.
l(a)の「 愛・ 幸福」 と「 軽蔑」 のカテ ゴリー 間に混同 がある ことを示し ,6 つ の 表情は図4.2.1(b)のよ うに円環状に配置さ れることを明らかにした[Schlosbei・g 52,.5非
軽 蔑
嫌 悪
怒 り・ 決 意 恐 れ・ 苦し み
驚 き
愛・ 楽 し さ・ 幸 福
(a) Woodworth の 尺 度
(b)Schlosberg の尺度
図4.2.1 表情によ る感 情の尺度No. 2
No. 44
●
・
ふー
No
只︶1
No. 70
・吠 ゛:;;
?`、f心
図4.2.2 表 情 解析 に 用い た 線 画サン プル の一 部
No. 23
N O。92
本章では線雨を川いて表情解析を行い,上記の6 つの表情力テ ゴリー と□,目,眉 などの表情要素の勁きとの関係を抽出する[杉本78a,b][ 本多8O]・ 表情解析に用いた 顔線画のサン プル は全部でIOO 個であるが,その一部を図4.2.2に示す.これらは漫 雨雑誌から任意に抽出したものである.表情解析は2 段階の披験者実験からなり,
そ
(| ) 表 情 の 分類
本 実 験 の 目的 は, 100 個 の線 画サン プル を6 つ の表 情カテ ゴリー に 分類し , 各サン
プル が示す表情の強さを測定することである.表情カテ ゴリー は基本的には図4.2.la))
で示し たSchlosborg のものを川いたが,ここではそ れを一 部変更している.「愛・ 楽 しさ・ 幸福」 を「 楽しさ・ 幸 福」 に「 怒り・ 決意」 を「 怒 り」 と簡略化し,「恐 れ・
苦しみ」 を「 恐れ・ 悲し み」 と変更して いる.し かし, これらは 表情解析上で 本質的 な相違とは成らな い.
実験で は100 個 の線画サン プル を1 つずつ 被験 者へ提示し , 各サン プル が属 する 表情カテ ゴリー を判断させる. また,そ のサン プル の表情の強さを1 から3 の3 段 階の点 数(1 =弱い,2 = 中間,3 = 強い)で評定したとき,そ れがど の段階 に該当し ているかを回答させ る.なお ,被験者が一つのサン プル に対し て,複数の表情が 重畳 していると判断した 場合は,複数の表情カテ ゴリー の回 答を与えることを認めてい る.
また,ど の表情カテ ゴリー に も属さない と判断 された場 合,そ のサン プル に点 数0 を与える.
各線画サン プル の点 数を全被験者について 集計し,そのスコア を算出 する. 全サン プル の中で最大スコア を持つ ものを1 として 各サン プル のスコア を最大スコア で 割 って規 格化し,この規格化した値を持ってサン プル が帰属する表情カテ ゴリー の表情 の強さ とする.そし て,各表情サン プル をそ の表情 の強さが大き い表情カテ ゴリー へ それぞ れ分類するのである.なお,本実験の被験者は男子大学生17 名であっ た.
各表情サン プル は表情の強さが0.2 以上の値を持つ表情カテ ゴリー に属するも のと し,全て の表情カテ ゴリー について0.2 未満の値し か持だないサン プル は どこにも属 さないものとして,新たに「 平常」 という表情カテ ゴリー を設けて,そ こへ分類し た.
各表情カテ ゴリー を更 に表情の強い グルー プと弱い グルー プへ分割する.強い グルー プは点数が1.0 〜0.60, 弱い グルー プは0.50 〜0.20 である.この実験の結果 から 各線 画サン プル の帰属する表情カテ ゴリー ,な らび にその表情の強さが得られた.
( H)表 情要 素 の 変 化 特 性
本実験では 各表情カテ ゴリー に対応して,そこに属する表情サン プル の目,眉, 口 等 の表情要素が,ど のように変化してそ の表情を表出しているかを測定する.測定方 法はGoldstein ら の方法とほぼ同じ方 法を用いる[Goldstein 7 1,72].表 情要 素は5 段 階 に変化するも のとして,「平常」 の表情の表情要素を中位,すな わち3 段階目とす る.表 情要素は12 個である.被験者 には図4.2.2 に示し たような線画サン プル を1 つ ずつ提示し , 各サン プル ごとに表情要素がどのよ うな変化 と判断されるか,アンケート
用紙 に記入させ る.このようにして 得ら れた各線画サン プル の表情 要素の変化 の 評定値 を,そ のサン プル が属し ている表情カテ ゴリー ごと に集計する.そして ,そ の 平均 値をもって 表情要素の変化とする.
1 両 眉 の 距 離
2
Lf︶ CO i‑<IT! CO r‑1
/ 三
‑二ここらiニこ゜゛j.. 匹眉 の 形
3 日 の 大 きさ
LO CO 1‑I
4 両 目 の 距 離
Lr> CO ≫‑・
平常 弱表情 強表情
心 , 5
5
3 狭 い 1
つ り上 がり65
3 垂 れ下 が り 1
目 の 形
● ・ ‑
●●〃
、
●〃
〃 ・ ●〃
 ̄'"゛t む 心 7
こ `こ`= ここ‑=‑こ
目 と眉 と の 距離
7 小 鼻 の 大 き さ
見開 い て い る 5
細 い
広 い
狭・ ,
ro I︱I
8 鼻 先 の向 きi
n CO ^
一ミQ;iiii Ξ 匹、、/._ べ
●●
9 下 唇 の開 き つ り 目 LO
CO
下 がり 目 1
ふ
狭 い
拡 大
縮 小
上 向 き
下向 き
/ ]
.●〃`゛=二一一一10 上 饗 の 開 き
U.O CO ■︱I
11
12
平常 弱表悄 強表情
楽しさ・ こ4L̲。‑。‑。 一 恐れ・ 悲しみ
一一乗 −` − 一 一 一 一 驚 き 怒 り
口 端 の 形
tn oo . ︱I
心 匹 へ`へ
婿 の形rD りJ I
, 心 三五こ 一一‑
/
平常 弱表情 強表情
開 い て い る
平 常
開 い て い る
平 常
上 がっi い る
下 がっ1 い る
丸 い
紀l
実 験 の 結果 を図4.2.3 に 示 す . こ の図 には , 表 情 の強 さ に 対 す る12 の表 情 要 素 の 変化 が 示 さ れて い る .「 軽 蔑」 と「 嫌悪」 のカテ ゴリー につ い て は , こ れ に 属 す る 線 画サン プル が 少な か っ た た め , データ を統 計 的 に 処 理で き な か っ た ので 図 には 表し て いな い . こ の横 軸 の 左端 は「 平 常」 , 中 間点 は「 弱 い 表 情」 , 右 端 は「 強 い表 情」 で あ る . 例 え ば ,「 楽し さ・ 幸 福」 の表 情 が 強く 成 る に従 っ て , 両 目, 両 眉 の距 離 が 広 く な り, 目 が 細 く 垂 れ 下 る . 一 方 ,「 怒 り」 の 表 情 が 強 く 成 る に 従 っ て , 眉 が つ り 上 が り,目 が大 き く 見 開 か れ,か つ 吊 り 上 る こ とが 解 る .こ こで ,口 に 関 す る9. 10, 11, 並 び に 頬 の 形12 の4 つ の表 情 要 素 以 外 は ,「 楽し さ・ 幸 福」 と「 怒 り」 で ほ ぼ逆 の 変化 を 示 す こ と が 解 る .ロ に関 す る3 つ の表 情 要素 で も,
「 楽し さ・ 幸福」 = 上唇 が 少し 開き , 下唇 が 大き く 開く
↓
「 平 常」 = 一 直繰 に 結ぶ
↓
「怒 り」 = 上唇 が大 き く 開 き, 下 層 が 少し 開 く
と 集 約し て 表 せ ば,同 様 な 関 係 にあ る と いえ よ う .また ,頬 の形 も「 怒 り」 と「 平 常」
で 殆ど 変 化 が な く , や は り 上 の関 係 か らそ れ 程外 れて いな い . こ のよ う に「 平 常」 を 中 間 と し て 挟 み ,「 楽し さ・ 幸 福」 と「 怒 り」 の 両 表 情 で , 表 情 要 素 が 対 称 的 に 変 化 す る こ とが 解 る . 実 際 の人 間 の顔 で は , 鼻 先 の向 き や 頬 の 形 は, 表 情 の変 化 に よ って 殆 ど変 化 し な い が, 図4.2.3 の 結果 で は こ れ ら に変 化 が 見 ら れ る . こ れ は線 画 を 描 く
場合 に 表 情 を豊 か に表 現 す る た め の一 種 のテクニック と 見 る こ と がで きよ う . こ れ ら の 結果 を まと め て 表4.2.1 に示 す. また , 測定 し た データ か ら12 個 の 表 情 要 素間 の相 関 係 数 を求 める と , 表4.2.2 のよ う に成 る . こ の中 で 相 関 係 数 が 大 き い の は以 下 のとお りで あ る.
(1 )眉 の 形 と 目 の形 −0.758 図4.2.3 表 情 要 素 の変 化 特 性
(2 ) 両眉 の距離と両目の距離−0.666
(3 ) 上唇 の開きと下唇の開き−0.653
(4 ) 口端の形と類の形−0.635
これらの表情要素はそ れぞ れ近い位置にあり,動きに関連が深いことが 解る. これ以 外のものは相関 係数が 比較的小さく, 表情要 素の変化 は全体的に見て かなり自 由度が 高いといえよう.
表4.2.1 感 情 と 表 情 要 素 の特 徴
眉 目 鼻 □ 頬
楽しさ 幸 福
両眉の距離が広い 垂れ下がり
目との距離が広い
細い,下がり目 両目の距離が広い
小鼻は平常 鼻先が上を向いて いる
下唇が大きく開き 上唇はほぽ水平 端がつり上がり
丸みをおびて いる
驚 き
両眉の距離が広い つり上がり
目との距離がやや広い
大きく開いている つり上がり
両目の距離は平常
小鼻,鼻先の向き
ともに平常 上唇が開く
下唇は平常
平常
恐 れ 悲しみ
而眉の距離が広い 垂れ下がり
目との距離がやや広い
少し閉じ気味 下がり目
両目の距離が広い
小鼻は縮小 鼻先やや下向き
上唇が少し開き 下唇は水平 端が下がる
多少細い
怒 り
両眉の距離が狭い つり上がり
目との距離が狭い
大きく開いている つり上がり
両目の距離か狭い
小鼻は拡大 鼻は下向き
下唇, 上唇ともに 開く
端はほぼ平常
平常
表4.2.2 表 情 要 素 間 の 相 関 係数
4.2.2 フェース グラフ 作成
フェース グラフ で使用する顔図形は, 様々な形態・ 様式 が可能であ る.し かし,既 存の顔図形をみると,その形態・ 様式 にはほぼ2 つ の方向があると考えら れる. 1つ は実際の人間の顔との類似性には余り重きを置かな いで,造作を単純化 する一方,そ の動きを大きく するものである.し たがって,こ の方式では表現さ れる データ の変 化 が,顔図形 の幾何学的な 形態変化として かなり明 確に表現できるが,表 情として はか なり不自 然なも のも出現する 可能性があ る.もう一つは実際の人間 の顔 へ類以 させ,
表情要素の変化 も実際 の動き に近づけることで, 自然な表情を表出しよう とするもの である[江副75 ]. こ の方式 では自 然な 表情を扱 うことから, 表情に関し て 人間 が備
えた種々の知識や能力を,そ の顔図 形の処理に活用することがで きる.
Chernoff のフェース グラフ で はし 各表 情要 素はm 数系で与え られ,そ れに基づ い て顔が描 かれるよう に成っている.しかし,実際の人間に近い顔を描く には,関 数系 を用いる方法で は表情要素が単純化してし まうので,本フェース グラフ では表 情要素 を離散的な パターン で 与える方 法を用いた.表情要素は4.2.1 で扱っ た12 個から以 下の7 個を選択し た.
(1 )眉 の形
(2 )両眉 の距離
(3 )眉と目 の距離
(4 ) 目の形
(5 )両目の距離
(6 )鼻の形
(7 ) 口の形
これらは12 個の表情要素の中から.
目の形 十目の大きさ ⇒ 目 の形,
5 6 7 8 9 10 11 12
! )両眉の距離2
)眉 の 形3) 目の大きさ4
)両目の距離
8) 鼻 先 の 向 き9) 下 唇 の 開 き10
) 上 唇 の 開 き11
) 口 端 の 形12
) 頬 の 形
1 2 3 4
一 一 一 一 一 一
1.000
‑‑0.522 1.000
−0.009 0.384 1.000
0.666 −0. 532 0.097 1.000
一 一
5) 目 の 形 −0. 403 0.758 0.502 −0.446 1.000
6)目と眉との距離 0.404 −0. 339 −0. 236 0. 176 −0.232 1.000
7)小鼻の大きさ −0. 297 0.503 0.075 −0.335 0.338 0.106 1.000
0.282 −0.262 −0.066 0. 305 −0.149 0.470 0.313 1.000
0.059 0.281 0.096 −0. 092 0.084 0.225 0.520 0.275 1.000
−0. 052 0.345 0.271 −0. 221 0.276 0.084 0.439 0.196 0.653 1.000
−0. 195 0.092 −0.184 −0.195 −0.009 0.290 0.492 0.376 0.593 0.200 1.000
0.206 −0. 162 −0. 162 0.152 −0.122 0.473 0.381 0. 569 0.412 0.019 0.635 1.000