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薬価基準は、健康保険法に基づき厚生労働大臣が定めている。保険医療に用いることができる医薬品の品目と価格(薬価)

が記載(薬価収載、ジェネリックの場合は追補収載)されている。先発品メーカーもジェネリックメーカーも薬価で取引 しているわけではない。薬価を上限として、メーカー、医薬品卸、医療機関・薬局の間で、自由価格による流通を行う構 造となっている。

医療機関及び調剤薬局では、仕入れ価格の上昇は患者負担に転嫁できないため、利益喪失に直結する構造となっている。

したがって、医療機関や調剤薬局では、ほとんどの場合、医薬品卸から薬価基準を下回る価格で医療用医薬品を購入して 薬価で請求している。厚生労働省は、実際の取引価格を薬価基準に反映させるために、市場価格を調査(薬価調査)し、

概ね2年に1回の頻度で薬価基準を改定している。

薬価基準には3種類の算定方法がある。

▷新薬の薬価算定

▷既収載医薬品の薬価算定

▷新規収載ジェネリックの薬価算定 薬剤価格と各事業主体の関係

出所:厚生労働省資料および同社への取材よりSR社作成 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90

メーカー 医薬品卸 医療機関・薬局

営業利益

販管費・研究開発費

薬価差

仕入原価

(最終原価)

販管費

納入価格 仕切価格

営業利益

売上原価

薬価 保険

請求額 割戻金・リベート・

アローアンス

▲売値差

この範囲で 利益と経費が 配分される 構造 実勢価格

薬価調査の対象

日医工|4541

LAST UPDATE: 2018.07.24 Research Coverage Report by Shared Research Inc. | www.sharedresearch.jp

R

Coverage

薬価改定率(薬剤費ベース)の推移

出所:厚生労働省資料よりSR社作成

診療報酬改定と同様に日本では、薬価改定が2年に1度行われる。対象となるのは、薬価基準に収載されている医薬品で ある。薬価改定と同時に、政府は医療費負担抑制と後発品(ジェネリック)への置き換えが促進されることを目的とした 薬価制度の改革も行っている。

2018年の薬価制度改革において、同社のビジネスに影響しているのは主に以下の2点である。尚、長期収載品とは後発品 が出た後の先発品のことである。

▷長期収載品の薬価の見直し

▷後発品価格の集約化

長期収載品の薬価の見直し

長期収載品の薬価は、2年に1回の薬価改定での引下げに加え、後発品収載から5年後に適用されるZ2(後発医薬品の置き 換え率が60%未満の先発品の置き換えに応じた特例的な引下げ)により薬価が引き下げられてきた(後段)。

日本の製薬産業の構造を、長期収載品依存から、より高い創薬力を持つものへと転換する観点から、2018年の薬価制度 改革において、後発品上市後10年(Z2適用後5年)を経過した長期収載品の薬価について、薬価を段階的に引き下げる新 たなルールを導入する。具体的には、後発品置換率が80%以上となったもの(G1:後発品への置換えが進んでいるもの)

は、まず薬価を後発品の薬価の2.5倍に引き下げ、その後、6年間かけて段階的に後発品の薬価まで引き下げる。該当品目 は市場からの撤退も認める。また、後発品置換率が80%未満であるもの(G2:後発品への置換えが困難であるもの)で あっても、同様に、まず薬価を後発品の薬価の2.5倍に引下げ、その後、10年間かけて段階的に後発品の薬価の1.5倍まで 引き下げる。

長期収載品の特例的引き下げに関する各改正の比較

2014年度改正 2016年度改正 2018年度改正

長期 収載品

・後発品が薬価収載されてから、5年経過 した後の最初の改定以降において、後発医 薬品に置き換わっていない個々の先発品を 対象に、「特例的な引き下げ」(Z2)を行 う。

・後発品上市後10年間までの期間を後発品 置換え時期、後発品上市後10年を経過した 期間を長期収載品の後発品価格への引下げ 時期と位置付け、それぞれの時期に応じた 薬価の見直しを行う

・後発医薬品置換え率20%未満の先発品の 引き下げ率:2.0%

・後発医薬品置き換え率30%未満の先発品 の引き下げ率:2.0%

・後発医薬品置き換え率40%未満の先発品 の引き下げ率:2.0%

・後発医薬品置き換え率40%未満の先発品 の引き下げ率:1.75%

・後発医薬品置き換え率50%未満の先発品 の引き下げ率:1.75%

・後発医薬品置き換え率60%未満の先発品 の引き下げ率:1.75%

・後発医薬品置き換え率60%未満の先発品 の引き下げ率:1.5%

・後発医薬品置き換え率70%未満の先発品 の引き下げ率:1.5%

・後発医薬品置き換え率80%未満の先発品 の引き下げ率:1.5%

出所:厚生労働省資料および同社への取材よりSR社作成、2016年度改正は日医工医業経営研究所への取材による -10.20%

-5.60%

-3.00%

-3.90%-3.40%

-1.55%

-5.80%

-18.60%

-4.90%

-16.60%

-6.00%-5.10%

-10.20%

2.40%

-9.20%

-8.10%-6.60%-6.80%

-3.00%

-9.70%

-7.00%-6.30%

-4.20%

-6.70%

-5.20%

-5.75%

-6.00%

-2.65%

-5.57%

-6.17%

-20%

-15%

-10%

-5%

0%

5%

Oct 1967

Jan 1969

Aug 1970

Feb 1972

Feb 1974

Jan 1975

Feb 1978

Jun 1981

Jan 1983

Mar 1984

Mar 1985

Apr 1986

Apr 1988

Apr 1989

Apr 1990

Apr 1992

Apr 1994

Apr 1996

Apr 1997

Apr 1998

Apr 2000

Apr 2002

Apr 2004

Apr 2006

Apr 2008

Apr 2010

Apr 2012

Apr 2014

Apr 2016

Apr 2018

消費税分の引き上げ

消費税分の引き上げ +1.4%含む

消費税分の引き上げ

+2.99%含む

日医工|4541

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R

Coverage

長期収載品への特例的な引き下げ(Z2)

長期収載品の薬価については、薬価調査に基づき、市場実勢価格を反映することが原則である。しかし、政府は2014年 度の薬価制度改革において、一定期間を経ても後発品への適切な置き換えが図られていない場合には、特例的な引き下げ を行い、薬価を見直すというルールを導入した。これが、いわゆる「Z2」であり、ジェネリックへの置き換えが進まな かった長期収載品に対して、追加的な引き下げを毎回行うものである。

2018年度の薬価制度改革では、基準となる置き換え率(引き下げ率)が従来の「30%未満」(▲2.0%)、「30%以上50%

未満」(▲1.75%)、「50%以上70%未満」(▲1.5%)の3区分から、「40%未満」(▲2.0%)、「40%以上60%未満」

(▲1.75%)、「60%以上80%未満」(▲1.5%)の3区分にそれぞれ10%ずつ引き上げられている。

Z2:Z2の「Z」は、アルファベットの最後であることから、「最後の薬価改定」を意味している。従来ジェネリックへの置き換え計画が未達になっ た長期収載品に対する特例引き下げに対しては、「Z」が用いられていた。特例引き下げ「Z」は廃止されたので、代わりに最後の最後という意味が 込められて「Z2」となっている。

長期収載品の薬価等の見直し(2018年改定)

出所:厚生労働省資料

G1の薬価引下げ

後発品への置換えが進んでいる長期収載品(後発品置換え率80%以上)は、最終的に、薬価を後発品価格と揃えること とする。その際、主として、長期収載品が事実上の情報提供義務の役割を担っており、これが後発品よりコストのかかる 主たる要因である。これにもかかわらず、後発品と薬価を揃えることになるため、長期収載品企業自らが、市場からの撤 退を判断できるものとする。後発品メーカーの増産に必要な期間として、1.0倍となるまで6年間の猶予を設けることとし ている(より早期に後発品の増産体制が整備される場合にあっては、6年を待たず長期収載品が市場から撤退できる)。

具体的には、後発品参入から10年時点で後発品の2.5倍、12年後に2倍、14年後に1.5倍、16年後には後発品の水準まで 段階的に薬価を引き下げる。

日医工|4541

LAST UPDATE: 2018.07.24 Research Coverage Report by Shared Research Inc. | www.sharedresearch.jp

R

Coverage G1の薬価引下げ

出所:厚生労働省資料よりSR社作成

G2の薬価引下げ

後発品への置換えが困難な長期収載品(後発品置換え率80%未満)は、後発品参入から後発品の2.5倍とし、その後2年ご とに10年間かけて、薬価を後発品の1.5倍まで引き下げる。市場からの退場が困難なものであり、長期収載品に課せられ た事実上の情報提供義務等を踏まえ、後発品との一定の価格差を許容することとするとしている。この区分の長期収載品 については、販売シェアが大きなものであり、特定の企業が極めて大きな影響を受ける。本見直しは長期収載品に依存し ないビジネスモデルへの転換を求めるものであり、かつ、新薬開発には多くの期間が必要であることを踏まえ、10年か けて対応することとする。具体的には、当初は後発品価格の2.5倍、2年後に2.3倍、4年後に2.1倍、6年後に1.9倍、8年後 に1.7倍、10年後に1.5倍とする。

G2の薬価引下げ

出所:厚生労働省資料よりSR社作成

補完的な対応(C)

後発品上市後10年を経過した長期収載品の後発品価格への引下げについては、既に、後発品価格の2.5倍以下の長期収載 品があるため、長期収載品の後発品価格への引下げの行われない品目もある。これについては、後発品への置換え率に応 じた補完的な引下げを実施することとする。Cの基準は見直し後のZ2基準を準用するものとし、G1/G2による引下げ後の 薬価とCによる引下げ後の薬価のうち、いずれか低い薬価とする。補完的対応の置換え基準「40%未満」の引き下げ率

▲2.0%、「40%以上60%未満」同▲1.75%、「60%以上80%未満」同▲1.5%。

G2からG1への移行

G2にあった品目が、新たに後発品数量シェア80%以上となった場合には、G1へ移行する。その場合、初めてG1が適用 される品目と同様のスケジュールで引下げを行うこととする。ただし、適用する長期収載品と後発品の価格比については、

G2の際に適用された価格比を超えないこととする。

早期撤退

G1の品目については、後発品メーカーの増産に必要な期間として、前述の通り、1.0倍となるまで6年間の猶予を設ける こととしている。しかし、より早期に後発品の増産体制が整備される場合にあっては、6年を待たず長期収載品が市場か ら撤退できる(ただし、価格引下げのスケジュールは変更しない)。

後発品価格の集約化

現行では、後発品の価格帯は3つに集約されているが、長期収載品の薬価の見直しに伴い、上市から12年が経過した後発 品については1価格帯を原則とする。但し、後発品置換率が80%以上であって、先発品企業が撤退する品目については、

安定供給に貢献する後発品企業(先発品企業撤退分の増産対応を担う企業)の品目とそれ以外の後発品企業の品目に分け た2価格帯*に集約する。

*後発品の増産(安定供給)のためコスト高となるにもかかわらず、設備投資を行っている後発企業とそうではない後発企業の品目について、同じ価 格帯に集約することは不合理となる。そのため、G1において長期収載品が市場から撤退する品目に関しては、増産対応する企業であって、合算して 後発品生産量が全後発品の50%を超える企業と、それ以外の企業による2価格帯とする。

当初 2 年目 4 年目 6 年目

先発後発価格比 2.5倍 2倍 1.5倍 1倍

当初 2 年目 4 年目 6 年目 8 年目 1 0 年目 先発後発価格比 2.5倍 2.3倍 2.1倍 1.9倍 1.7倍 1.5倍

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