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における温度を臨界温度,圧力を臨界圧力という.pv線図およびTs線図上で,臨界状態はひとつ の点Cで示される.この点を臨界点(critical point)という.

等圧加熱時の水の状態変化をps線図およびTs線図に示すと図のようになる.

① 圧縮水(=水の圧縮液):線図上をa→bに変化する

② 飽和水(=水の飽和液):b点の状態となる

③ 湿り蒸気:線図上をb→c→dに変化する

④ 乾き飽和蒸気:d点の状態となる

⑤ 過熱蒸気:線図上をd→eに変化する

線AC上では水が沸騰状態にあり,飽和液線(saturation liquid line)という.

線CB上では水が乾き飽和状態にあり,飽和蒸気線(saturation vapor line)という.

6.2 pvT状態曲面 (1) pvT状態曲面

pv線図を温度Tに関して拡張すれば,pvTを3つの軸とするpvT状態曲面ができる.このうち,

pv面はpv線図に等しい.pT面はpT線図となり,固相,液相,気相の状態を表すことになる.

(2) 相変化

相変化は次のように呼ばれる.

融解(fusion): 固相→液相 蒸発(evaporation): 液相→気相 昇華(sublimation): 固相→気相

特定の圧力・温度において,固相・液相・気相の三相が共存することができる.この条件を三 重点(triple point) Tpという.三重点は物質によって異なる.

p

v 圧縮水

湿り蒸気

過熱蒸気

C 臨界点

等圧変化 飽

和 液 線

飽和蒸気線 T

s 液体

湿り蒸気 過熱蒸気 C 臨界点

等圧変化

a b c d e

a

b c d

e

A B A B

p

v 圧縮水

湿り蒸気

過熱蒸気

C 臨界点

等温変化 飽

和 液 線

飽和蒸気線 T

s 液体

湿り蒸気 過熱蒸気 C 臨界点

等温変化 a

b c d e

a b c d e

A B A B

6.3 蒸気の熱的状態量 6.3.1 圧縮液と飽和液

内部エネルギー,エンタルピー,エントロピーは相対量→基準が必要 (1) 水の場合

基準:0℃→三重点(温度Tp 273.16K,圧力p0611.659Pa,比容積v0 1.00021103[m3/kg])

に変更された.

三重点において,

比エンタルピーh0 0 比エントロピーs0 0

比内部エネルギーは,エンタルピーの定義hupvより

J/kg 612 . 0 /kg m 10 00016 . 1 Pa 659 . 611

0 3 3

0 0 0

0hp v     

u

値が小さいため,u0 0とおいてもよい.

(2) 冷媒の場合 基準:0.01℃において

比エンタルピー=418.68kJ/kg=100kcal/kg 比エントロピー=4.1868kJ/(kgK)=1.0kcal/(kgK) (3) 任意の温度Tsにおける飽和水

基準状態(0.01℃と定義)から次のように状態変化した と考える.

状態0:基準状態(0.01℃,611.659Pa)の飽和水

↓ 等温加圧:du0u1u0 0J/kg

状態1:温度0.01℃,任意圧力p2の圧縮水:h0u0p2v0p2v0

↓ 等圧加熱:dqdhvdpdhcpdt

状態2:温度ts[℃],任意圧力p2の飽和水

ts p Ts p

l c dt c dT

q

16 . 273 01

.

0 :液体熱

0 2 2

0hdt h h

ql

  よりh2 h0

273Ts.16cpdT

同様に

湿り蒸気

A B

T

p p

T

C 臨界点

Tp 三重点 pT 線図

A B

v

C 臨界点

C p

p

T 液相(水)

C 臨界点

蒸気圧曲線

S

Tp 三重点 F

気相(蒸気) 昇華曲線

固相( 氷)

融 解 曲線

pT 線図

pv 線図

1

液 体 な の で ほ と ん ど 圧 縮 さ れない

圧力p

2

Ts p T c dT s

s2 0 273.16

6.3.2 湿り蒸気と乾き飽和蒸気

水と蒸気が共存する状態を湿り蒸気といい,飽和温度で全量が蒸気となった状態を乾き飽和蒸 気という.

乾き度(dryness fraction):湿り蒸気 1kg 中に含まれる蒸気分(乾き蒸気)の質量が x[kg]の とき,xを乾き度という.

湿り度(wetness fraction):乾き度がxのとき,1-xを湿り度という.

湿り蒸気の状態量は,飽和液の状態を’,飽和乾き蒸気の状態を”で表すと.

'

" h h

r  :蒸発潜熱

1

'

" xv xv

vx  

1

'

" xh xh

hx   

1

'

" x s xs

sx   

6.3.3 過熱蒸気

乾き蒸気をさらに加熱すると,過熱蒸気と呼ばれ る状態となる.過熱蒸気のh, sは以下のとおり.

T

T p

s

s

dT c

q :過熱分の熱

T

T p

s

dT c h

h "

T

T p

s T

c dT s

s "

6.4 蒸気表と蒸気線図 (1) ファンデアワールスの式

蒸気には理想気体の状態方程式は適用できない.蒸気の状態変化を表す式として,次のファン デアワールスの式が有名.

v b

RT v

p a   

 

  2 (a,bは定数)

(2) 蒸気表

蒸気の温度,圧力,比容積,比エンタルピー,比エントロピーを一覧表にしたもの.国際標準 値に基づく日本機械学会蒸気表1999年版が最新.

(3) 蒸気線図(蒸気h-s線図)

蒸気のエンタルピーhとエントロピーsの関係を線図にしたもの.水蒸気に対するものはモリエ 線図という.

p

v

C 臨界点

等温変化 T

s C 臨 界

等温変化 a

b c d e

a b c d e

A B A B

x 1-x x 1-x

v’ vx v” s’ sx s”

T

s

C 等圧変化

a

b c d

e

s’ sx s”

r 0℃

過熱蒸気

6.5 湿り空気 (1) 乾き空気

水蒸気をまったく含まない空気.体積組成はN2:O2:Ar:CO2=78.08:20.95:0.93:0.03 (2) 湿り空気

水蒸気を含む空気

① 全圧と分圧

水蒸気と乾き空気の混合気の圧力を全圧(total pressure)という.全圧pは,水蒸気の圧力(水 蒸気分圧partial water vapor pressure)pwと乾き空気の分圧paの合計となる.すなわち

a

w p

p p 

② 飽和蒸気圧と飽和湿り空気

空気中に蒸気として含有できる量は,空気の温度によって異なる.分圧として表した場合,到 達しうる最大の水蒸気分圧を飽和蒸気圧(saturated vapor pressure)

p

wsという.水蒸気分圧が

飽和蒸気圧に等しい湿り空気を飽和湿り空気(saturated moist air)という.

③ 絶対湿度と相対湿度

空気中に含まれる水蒸気の濃度を表す方法には2種類ある.

絶対湿度:乾き空気 1kg に対して含まれる水蒸気の量を絶対湿度(absolute humidity)という.

x[kg/kg]で表す.

相対湿度:飽和蒸気分圧pwsに対する蒸気分圧pwの比を%で表したものを相対湿度(relative humidity)という.

100

ws w

p

p [%]

[℃]における空気中の飽和水蒸気圧を求める式は多数提案されているが,気象の分野では次の

Magnus Teten (1967)の近似式が一般的である.1)

7858 . 3 0 . 237

5 .

log10 7 

 

pws

もしくは,対数の定義より

3 . 237 5 . 7

10 1066 .

6 

pws [hPa]

1) 出典:http://cires.colorado.edu/~voemel/vp.html (3) 関係式

絶対湿度x [kg/kg]と相対湿度 [%]には次の関係がある.

h

s 臨界点

液体

蒸気

等圧線

x=1

x=0

x=0.5

等温線

100℃

1atm

乾き度

モリエ線図

ws ws

p p

p x

100 622 100

.

0 

(4) 湿り空気線図

湿り空気の乾球温度,湿球温度,露点温度,絶対湿度,相対湿度,比容積,比エンタルピーな どの状態量のうち,2つがわかると,残りの全ての状態量を決定することができる.

参考:米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)のASHRAE Fundamental Handbook(1997)には,飽 和湿り空気表(大気圧)が掲載されている.

露点温度 乾球温度 飽和湿り空気

絶対湿度 水蒸気圧

相対湿度 比エンタルピー

比容積 湿球温度

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