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英国

ドキュメント内 environment Update (ページ 34-49)

1. 英国政府、エネルギー税計画緩和の意向を 発表

何ヶ月にも及ぶ英経済界からの根強い批判を受けた 後、ブラウン(Gordon Brown)蔵相は1999年11 月8日の予算審議発言において、氏が誇る「グリー ン課税予算」の中で先の4月に初提案したエネルギ ー税(気候変動税)を大幅に緩和する意向であるこ とを明らかにした7

ヴィヴェンディ筋によると、この主要な温暖化ガス であるメタンを環境から除去するバイオガスプロジ ェクトは、気候変動の原因となる温暖化ガスの排出 削減をめざす、同社独自の取組みの核心をあらわす ものであるという。

環境およびエネルギー管理庁(ADEME:政府の主た る環境シンクタンクであり、ヴィヴェンディのプレ シ・ガソのようなプロジェクトの重要な資金源)が 実施した調査によると、この二つのバイオガス発電 施設によって今後の12年間で650万トン相当の二 酸化炭素の排出除去、もしくは排出防止が可能であ ると試算されている。

これにより、同税の基本税率は原案より引下げられ、

エネルギー税による税収総額は当初試算された17 億5千万ポンド(約3062億5千万円)から40%削 減されて約10億ポンドとなる。また、いわゆる分野 別協定の適格基準(エネルギー集約度の高い業界の 排出削減目標とプログラムの詳細)も拡大される。

このような協定を締結した企業に対する税控除も 80%と、先の4月に提出された原案の50%から大幅 に引き上げられる(1ポンド175円で換算)。 バイオガスプロジェクトに関してEDFが協力してい

るのはヴィヴェンディだけではない。今年はじめに、

EDFはADEMEと協力して、他の大規模ゴミ埋め立 て地に対し、バイオガス施設の建設に関連する助成 金を求めて公開入札を募った。

また、再生可能エネルギー業界と大蔵省が「良質」

と称する電熱併給に関しては、エネルギー税を免除 されることになり、エネルギー効率の促進に注がれ る歳入額は5千万ポンドから1億5千万ポンドに増 ADEMEによると、フランス国内22施設から、推定 加する。

で年間 40 メガワットの発電能力を有するバイオガ

ス施設建設計画が提出されたという。 1999年度予算の中で提案された気候変動税は、ブリ ティッシュ・エアウェイズ会長マーシャル(Marshall)

卿による特別調査の推奨に基づき、2001年までは発 効しない。CBIは、「最大の影響を受ける業界の競争 力保護と、環境的利益の増加を推進する」ことを目 的として、蔵相に計画の主要な修正を求め、ブラウ ン蔵相はこの陳情に配慮したようである。CBI が要 求する修正は以下の通りである。

現在、EDFとADEMEは候補施設の検討作業に入っ ており、1999年末までに総出力10メガワットに及 ぶプロジェクトの第一弾を発表する予定である。

・エネルギー税割戻しの適用範囲を拡大する。

・高エネルギー産業については同税の95%を免除す る。

・同税による税収総額目標は4月原案の17億5千万

7 予算審議レポートは次のサイトで入手可能。

http://www.tm.Treasury.gov.uk/prebudget/nov99/report199911月現在)

ポンドから大幅に引下げる。

・エネルギー効率に関する協定の交渉資格を拡大し、

エネルギー効率促進化財源増加へ方向転換する。

・再生可能エネルギー業界を支援する。

・課税より効率的な手法として排出権取引について 検討する。

審議はさらに数週間続く見込みであるが、気候変動 防止税は、1997年の労働党政権誕生以来、政府と経 済界を巻き込んだ一大論争のまさに焦点という見方 が一般的である。

2. 英国経済界、排出権取引計画を提案

英国企業30社以上の代表が構成する作業部会は、英 国温暖化ガス排出権取引計画の具体案を提示した。

排出権取引グループ(ETG)は、イギリス産業連盟

(CBI)、および企業と環境に関する政府諮問委員会

(ACBE)のジョイントイニシアティブであるが、先 の6月に作業を開始したばかりであるにもかかわら ず、公約とおり秋の予算審議演説に間に合うように 蔵相に提案を提出した。

この迅速な対応により2000年4月の財政法案に排 出権取引計画を盛込める可能性が大いに高まり、し たがって2001年4月のエネルギー税導入と併行し て同計画も実施できる可能性がある。

CBI 副会長によると、取引計画案はエネルギー税の 回避手段や、目標削減の方策として見なしたり意図 されたものではないという。しかし、英国経済界が 排出権計画の始動と、この計画がエネルギー税計画 に代る有効な措置になることを望んでいることに変 わりはない。

そのため、蔵相、工業相、環境相らは、 CBIへの返 書の中で「排出権取引が温暖化ガス排出削減の長期 的解決策として果たすべき役割は大きい」と繰り返 し、ETG案を歓迎しながらも慎重姿勢をくずしてい ない。

環境団体は予想通り、同提案は企業が自ら生み出し

た公害問題の打開策の買い取り手段を確保しようと するもので、根拠に欠ける早まった枠組みであり、

京都議定書の効果を損なうものであるとして、即座 に非難した。

経済界は、政府が業界案の骨子を実施または変更す るのか、その対応を今後数ヶ月間見守ることになる。

企業は特に、温暖化ガス排出権取引を監督する市場 当 局 と し て 、 国 際 石 油 取 引 所 (International Petroleum Exchange)やロイド船級協会(Lloyd’s Register)などの既存団体を任命するのか、新組織を 設立するのか、政府の出方を注目することになる。

一方、大きな進展に先立ち、政府と業界は初期排出 権の取引の基準であり、総排出量を削減するメカニ ズムでもある割振り方法について合意する必要があ る。また、英国の炭素排出量削減義務を履行するた めに、毎年発行する排出権の総量削減方法について もコンセンサスが必要となる。ETGは、すべての企 業が同じ基準で取引できるよう確固たる技術的定義 と、取引される排出量の検証体制も考案しなければ ならない。

ETGは、1998年11月の「経済的手法と企業のエネ ルギー利用(Economic Instruments and the Business Use of Energy)」と題する報告書の中にまとめられた マーシャル卿の推奨をもとに発足した。同グループ は、1999年6月にCBIとACBEの共催による英国企 業の経営者会議で設置された。現在は、Ford、Vauxhall、

DuPont、ICI、British Airways、British Steelを含む30 社を超える企業が参加し、排出目標を達成しつつ全 企業参加による炭素排出権売買が実現できるような 計画の立案に向けて議論を重ねている。

事務局注:円貨への換算は20003月上旬の為替レートを適用し た。

欧州環境規制動向

〜在ブラッセル弁護士モニタリング情報 ⑦

I. EU

1. 欧州議会、廃自動車の製造者責任を承認 他の修正案の大半についても同様に、本会議は環境委 員会の意見を支持した。ある修正案では、指令の発効 を理事会の共通の立場に規定されている2001年1月 1日ではなく、EU官報に公表してから18ヶ月後と規 定している。欧州議会が承認した修正の重要性を考慮 すると、理事会との調停は避けられないと見ている専 門家らによると、この規定により少なくとも2年間プ ロセスに遅れが生じると思われる。

2000年2月3日、欧州議会は、欧州議会環境委員会 の報告を採択し、廃自動車回収・処理制度の創設を承 認した。この制度は法制化プロセスにおいて、理事会 の「共通の立場」の中で予想しているように2006年 時点において、かつ新自動車指令発効から18ヶ月後 にはすべての車に適用されるはずである。欧州議会は 環境委員会報告者の発表とは異なり、同制度の廃車処 理コストの分担を認めるメカニズムの導入には至ら

なかった。 一方、自動車のリサイクル比率を引き上げる件につい

ては、 欧州議会の方が理事会より確固たる要求を出 す結果になった。この修正により、理事会提案の2015 年ではなく2006年から、重量比で自動車の85%をリ サイクル、また95%を再利用できるようにしなけれ ばならない。理事会案では、2006年はそれぞれ80%

と85%という低い数字が示されていた。欧州議会は

また、重金属についても一段と厳しい規則を要求した

(水銀の破砕、焼却および投棄の禁止ならびにカドミ ウム、六価クロム、鉛の投棄の禁止。但し、後者につ いては共通の立場より著しく後退した内容となって いる)。

第二読会の審議に付された理事会の共通の立場に対 する48修正案の内、所有者と製造者の廃自動車処理 コストの分担問題については、理事会のテキストでは 自動車製造業者の単独責任とされているのに対し、意 見が大きく分かれた。この修正案を提出するにあたっ て、欧州議会の委員会報告者フローレンツ(Florenz)

氏は、1999年5月に独シュレーダー首相が個人的に 環境閣僚に示した(結局効果はなかった)適用性を伝 えるにとどまった。2000年1月11日に欧州議会環境 委員会が同修正案の承認を拒絶し、フローレンツ氏は 本会議に同修正案を上程するために協調体制をとっ たが、結局成功にはつながらず335票対180票(EPP ; European Peoples’ Party全員と社会党6名)および棄 権12票で否決された。

ヴァルストレム(Wallström)環境コミッショナーは、

欧州委員会は48件の修正案のうち10件について受 入れる用意があると発表した後、毎年約1000万台の 車が廃車され、このうち最大7%が地方に放置されて

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