1.定義及びその事象構造
自然発生によって、変化主体の身に出現する新たな出現物。この 種類の出現物の出現に関わる変化主体は意志性や生命性のない物 である。変化の過程は自然発生である。下記のようなものが挙げら れる。
6-1 杯子上炸了一道裂纹。
コップに一本のひびが走っている。
6-2 衣服上破了三个洞。
服に穴が三つ開いている。
その出来事の事象構造を下記のように図式化することができる。
平相 流相 異相 出現物の出現 ★
変化主体の変化過程 始点 終点 時間軸
時間軸の進行とともに、変化主体が自然発生によって変化し、その 結果、変化主体の身に新たな出現物が出現する。出現物が変化主体 側に出現することから、この種の出現物を主語とする「是……的」
構文は出来事の由来を焦点化すると予想する。
2.「是……的」構文の叙述の焦点
この種類の出現物を「是……的」構文に言い換えられると、下記 のようになる。
6-3 ?那道裂纹是杯子炸的。
6-4 那道裂纹是杯子自然炸开的。
6-5 ?那三个洞是衣服破的。
6-6 那三个洞是衣服自己破开的。
41
この種類の出現物の「是……的」構文は「自然」「自己」「开」など の付加成分が必須になることが分かった。それぞれ、「自然に」「自 分で、みずから、勝手に」「開く」という意味である。「自然に」「自 分で、みずから、勝手に」という成分は外発の要因がないことの説 明である。
次は「是……的,不是……的」リトマス形式で6-4,6-6の 叙述の焦点がどこにあるかを検証してみる。
是……的,不是……的
6-11 那道裂纹是杯子自然炸开的,不是人砸出来的。
あのひびはコップが自然に割れたのだ、人が壊してできたの ではない。
6-12?那道裂纹是杯子炸开的,不是人炸开的。
6-11が成立することから、6-4は過程焦点化しているとの 予想が正しいと考えられる。また、6-12は人によって、容認さ れる場合もある。仮に容認される場合、「那道裂纹是杯子炸开的」
という文が否定されたのは「杯子」という成分だけであるので、一 見「那道裂纹是杯子炸开的」という文は「杯子」を焦点化している ように見える。しかし、その場合、文にある二つの「炸」という動 詞の意味が違ってくる。一つ目の「炸」は「みずから裂ける」、二 つ目の「炸」は「人力によって壊す」という意味になる。動詞の中 身が違ってくると、「那道裂纹是杯子炸开的」という文が否定され たの「杯子」のみではなく、「自然に裂ける」意味での「炸」とい う動詞も否定されることになる。やはり6-12が成立する場合も 6-4の過程焦点化を裏付けることになる。広焦点と考えられる。
以下同様にリトマス形式を起用し、6-6の過程焦点化が証明さ れる。
6-13 那三个洞是衣服自然破开的,不是人穿破的。
あの三つの穴は服が自分で破れたのだ。人が着込んでできた のではない。
6-14? 那三个洞是衣服破开的,不是人破开的。
43
6-4、6-6の過程焦点化の性質は上記の検証で分かった。
最後に、焦点化されるのは過程で、「変化主体」ではないという ことをさらに確認するために、疑問文リトマス形式を起用すること にする。6-4、6-6には変化主体が存在している。出現物は変 化主体の身に現れるものなので、変化主体自身が出現物の存在場所 になるため、変化主体について問うことも不適切である。この種類 の「是……的」構文に対して、疑問箇所を変化主体側において質問 を発する場合、以下の構文を使用することができない。
出現物 是…什么(何)…動詞 的?
6-15?那道裂纹是什么炸开的?
6-16?那三个洞是什么破开的?
6-15、6-16は文法上間違ってはいないが、質問文の「什 么」に答えるのは「外発的な要素」でなければならない。即ち、6
-4、6-6に対する質問として成り立たない。
しかし、出現物の由来を叙述の焦点にして、疑問箇所を変化過程 において、下記のような質問文をすることができる。
出現物 是…怎么来的?
6-17那道裂纹是怎么来的?
あのひびはどのようにできたの?
6-18那三个洞是怎么来的?
あの三つの穴はどのようにできたの?
依然として、「来」という出現過程を表すマークが目立つ。上記の 検証結果から、「是……的」構文は出来事の由来を焦点化している ことが分かる。
3.存在場所から自然変化主体への役割転換
自然発生による出現物ほかの種類の出現物ともう一つ違うのは
「是……的」構文に書き換える際、元の存現文構造が崩れ、出現物 の存在場所を表す成分は自然変化主体へと変わる。「杯子上」,「衣 服上」の「上」という場所格のマークが「是……的」構文の中では
消失し、「杯子」、「衣服」が当事者になり、自然変化主体として捉 えられる。