7.2 周縁化する現地自動車部品企業
中国自動車部品産業は、合弁会社を介して多くの先端技術を取り入れた。例えば、EFI システム(上海連合電子、北京万源德尔福) 、自動変速機(東風本田) 、高圧オイルポンプ (无锡威孙)、ABS(上海汽車制動系統公司)、排気ガス浄化システム(大連華特吉莱特排気系 統公司)等々。しかし、欧米、日韓のグローバル自動車メーカーは続々と中国市場への参 入を続けており、その進んだ管理システム、技術、高い品質、継続する相補関係に加え、
国内の安価な労働力等、どの角度からみても明らかに優位に立っていると言える。合弁メ ーカーの内部において、中国企業の仕入れ方面での発言権はさほど大きくなく、とりわけ パーツの調達においては頻繁に外資合弁相手に掌握されており、これが中国資本による自 動車部品メーカーの市場参入のネックになっている。海外メーカーも新テクノロジーの漏 洩を防ぐため厳格な管理体制を敷いており、合弁企業と一口で言っても、その実、外資系 によって生産管理された商品を市場に送り出しているに過ぎず、中国の自動車部品メーカ ーが投資、技術、市場等の方面において著しく立ち遅れていることは否めない。
中国商務部のデータによれば、現在市場に流通している自動車部品のシェアのほとんど が外資系に独占されており、国産の部品売上高は産業全体の 20%から 25%に止まっており、
外資が参与している部品メーカーが産業全体の 75%以上を独占している状態だ。これらの 外資系メーカーの内訳は、ドイツ資本企業が 55%、中国と海外メーカーの合弁企業が 45%
である。国産部品は主に自社ブランド自動車に使われており、市場シェアは低い。特に電 子制御装置やエンジン部品といった高度の科学技術を擁する分野において外資系の市場 シェアは 90%にも上る。EFI システム、エンジンマネジメントシステム、ABS およびエア バック、自動変速機などメインパーツの生産量における外資企業のシェアはそれぞれ 100%、100%、91%、69%である。
7.3 乏しい自主開発能力とブランドの欠如
自動車産業の発展に伴い、自動車部品産業もまた国内の自動車生産システムを徐々に整 備してはいるものの、自動車部品メーカーは規模の小ささ、低いリスクマネジメント能力、
実用価値の低い技術、持続的な発展能力の欠如などが常々指摘されており、特に乗用車の コア部品における技術方面での务勢が著しい。自主開発能力が务る企業のほとんどは研究
開発に投入する予算が売上高の約 2%程度であり、グローバル企業の平均 5%に遥かに及ば ない。研究開発費の不足は直接に研究開発設備の不足につながり、また有能な人材の不足 も深刻な問題となっており、この研究開発能力の低さがタイムリーに競争能力のある新製 品を生み出せない要因となっている。
図 22 出所:中国自動車部品産業調査研究
海外部品メーカーの発展および世界での認知度を比べると、中国自動車部品メーカーの ブランド力は遥かに务り、市場において自社ブランドの認知度が乏しいとブランド製品の 欠如にもつながる。自主開発力の不足と自社製品の競争力の不足は、自動車部品産業の発 展を著しく妨げ、中国の自社ブランドを掲げる自動車部品はまだグローバルなサプライチ
2009年企業別売上高に占める研究開発費の割合
6%
8%
4%
2%
0
5.1%
HELL
A デ
ン ソー
BOSCH DELPHI Valeo Behr
大陸 集団
ZF MAHLE AUTOLIV NGK Visteon
高田 小 幺 制作 所
豊田 合成
上 位1000
社 の 平 均
福耀 ガラ ス
柴潍 動力
Calsonic Kansei
万向 钱潮
宁波 華翔
華域 汽車
中鼎 股份
一汽 富维 青島 双星
国内 平均
ェーンへと展開する準備が完全に整っていない状況にある。
7.4 未完備のアフターサービス
現在、多くの中国自動車部品メーカーは、サービスネットワークを十分に整備できてお らず、(企業の知的財産権と特許保護に対する意識の低さ、偽造品・务悪品・不法偽造の 横行等)未だ秩序のある整った自動車部品のアフターマーケット市場は形成されていない。
「中国汽車要聞」の報道によれば、政府機関は偽造自動車部品の違法な生産に対して繰り 返し指導を行っているものの完全な排除は困難で、アフターマーケットに流通する 20%前 後の部品が偽造品だとのこと。
また、中国自動車部品メーカーの資源配置と戦略的ビジネス展開等にも問題があると指 摘される。資源配置については、国際的に知名度のある自動車部品企業(グループ)のほと んどが世界規模の資源配置戦略を取り入れ、一流の品質を提供できる世界規模の資源サプ ライヤーに目を付け、低いコストと最先端技術という二重のアドバンテージを併せ持った 企業となっている。ところが中国の自動車部品企業は往々にして決まった資源サプライヤ ーもしくは一定の地域にしか対応できないシステムしか持たず、またリソースの最適化も 達成しておらず、企業戦略の展開においては、品質向上どころではなく、あまねく存在す る悪質な価格競争を続けている状態にあり、企業の長期的発展には望ましくない状況下に 置かれている。
7.5 コスト管理の重圧
現在の自動車部品コストコントロールの困難化の理由は大きく分けて三つある。
まずは人件費。中国自動車産業の高度発展に伴って自動車部品産業も急速な発展を見せ たが、その副作用として業界の人件費も上昇し続け、特に一部の技術者に関しては、ライ バル企業からの引き抜きを防ぐためにも増給によって人材を繋ぎ止めている。
次に、物流コスト。自動車部品メーカーは製品を各地の倉庫に運送する必要があるため、
国際的な原油価格の上昇に伴い、とりわけ広大な国土を有する中国ではこの運送コストの 上昇は避けられない。
最後に各産業の発展状況に応じて左右されるコスト。例えば自動車製造において重要な 鋼鉄産業は現在世界シェアの約 70%を海外の三つの巨大企業(リオ・ティント、BHP BILLITON、CVRD)が独占しており、これらのビックカンパニーが値上げを続けるために鉄 鉱石獲得のコストは大幅に値上がりしている。また世界的に有名な自動車部品サプライヤ ーであるデルファイ、ビステオン、デンソーの現地化戦略および国内の鉄鋼業界が直接自 動車部品のサプライチェーンに介入していることから、自動車部品メーカーはより激しい 競争に直面している
7.6 自動車部品輸出構造における調整の必要性
中国の自動車備品輸出は安定した成長を見せてはいるものの、輸出構造における非合理 的さは依然として存在している。現在、中国の高技術テクノロジー製品の輸出においては 成長の一面を見せながらも、「三低一高」(即ち、低い付加価値、低技術、低価格、高エネ ルギー消費)が中国自動車部品輸出製品の旧態依然的な特徴であり、輸出状態も未だ材料 密集型および労働密集型のぞんざいな状況にあり、これらの点が中国の自動車部品輸出の 低い利益、低い競争能力の原因となっており、不毛な競争が続けられている。
2009 年各国 HS8708 系部品の輸出価格比較
単位:$/t
商品分類 世界 中国 アメリカ ドイツ 日本 韓国 ロシア ブラジル インド バンパー 10,136 4,796 10,876 23,098 14,475 7,342 2,746 10,462 4,661 シ ー ト ベ ル
ト
13,635 7,210 9,994 15,287 18,494 6,864 6,800 15,396 15,339
ボ デ ィ ア ク セサリー
7,463 7,232 8,917 8,516 8,768 5,129 3,487 5,569 5,346
変速機 16,226 21,145 21,145 19,232 16,488 12,195 7,973 14,952 9,670 駆動軸 6,802 3,256 8,839 7,691 7,437 5,306 3,195 7,863 4,462 タイヤ 4,212 3,118 5,351 5,273 4,342 4,387 2,164 2,727 2,947 シ ョ ッ ク ア
7,010 3,260 9,762 8,533 7,341 4,289 2,306 6,796 4,674