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第 4 章 ドーム環境における立体感

4.4 背景レイヤ(360 度パノラマ画像)の作成

背景レイヤを実現するにあたり,360 度のパノラマ画像を作成した.実写の全周映 像を撮影するために2つのアプローチが考えられる.

複数の画像を統合する方法と,光学系を工夫する方法である.画像を統合する方法 では,大きく分類して 1台のカメラを回転させる手法と,複数台のカメラで同時に全

Ninja MKⅡ: http://www.nodalninja.com/products/about-nn3-mkii/3/

周方向を撮影する手法とに分けられる.

カメラを回転する手法では,垂直な回転軸周りにカメラを回転し,得られる画像を水 平方向に整列させることによって全周映像を得る.

製品例ではNordal Ninja社のNordal Ninja MKⅡや,Spheron 社の SpheroCamが ある.複数台のカメラを使う手法では,1 台のカメラでは画角が足りないため,複数 台のカメラを周りの風景を見渡すように配置し,取得した映像を画像処理によりつな ぎ合せて全周映像を生成する.製品例では PointGreyResearch 社の Ladybug があ る.

これらの長所は,高解像度の全周映像が得られること,CG 用の補正テーブルが転 用できること,前処理なしに現在行われている画像処理がそのまま応用できることが ある.短所としては,複数台のカメラを同時に制御するため同期を取る煩雑さ,一枚 の全周画像を生成するための画像処理に時間がかかること,カメラ画像同士の繋ぎ目 の領域が不自然に見えることが挙げられる.Ladybugが使用されているGoogle Street Viewにおいても,全周パノラマ表示をした場合,繋ぎ目が不自然に見えることがある.

本研究では,360 度パノラマ画像を作成するにあたり,1 台のカメラを回転させる 手法を使用した.本研究では,パノラマ画像撮影用の雲台として,Nordal Ninja MK

Ⅱ(図4-6 左図)を使用した.

図 4-6:Nordal Ninja MKⅡ(左図),パノラマ画像の撮影の様子(右図)

Nordal Ninja MKⅡを使用することで正確に一定の領域をオーバーラップさせて撮 影することで出来る.本研究では,0度12枚,45度16枚,90度2枚の計30枚を使

用した(図4-7 左図).

これらの画像を全周パノラマ画像合成ソフトであるStitcherを用いてスティッチン グを行った.Nordal Ninja MKⅡを使用することで,レンズの中心をしっかりと固定 出来るため,図4-7 右図のような正確な360度パノラマ画像を作成することが可能で ある.

図 4-7: パノラマ画像生成用の元画像(左図), 360度パノラマ画像(右図)

Nordal Ninja MKⅡは,三脚を利用するため90度の領域において,雲台を固定し

た撮影が出来ず,その領域においてはスティッチングを行う際,不自然な画像を生成 しがちだが,Stitcher を用いることにより,高度なブレンディングが行われ,不自然 な繋ぎ目を生むことなく綺麗な360度パノラマ画像を作成することが出来る.

そして,スティッチングした 360度パノラマ画像を仮想球体(図 4-4)の内側にテ クスチャマッピングを行い,カメラの視点を中心付近に設定することで,図 4-8 のよ うな360度の仮想空間を体感することが出来る.この空間内に2次元CG要素のレイ ヤを配置したものが図4-9である.

図 4-8:仮想球体中心から見た映像(左図:レイヤなし, 右図:レイヤあり)

図 4-9:仮想球体中心から見た映像(右図:レイヤあり)

4.5 実写画像・実写映像を用いた 360 度パノラマコ