第六章 疎水化セルロースの特性および化粧品への応用・・・・・・124
6.7 育毛剤への応用
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<製造方法2>
① 上記「製造方法1」でのA相の調整方法を変更。HM- HPMCを80℃分散後の25℃冷 却工程を省略。(80℃のまま、工程③で添加)
②、③、④は「製造方法1」に同じ。
<結果>
「製造方法1」で調製したものはややゲル強度のあるクリームとなった。一方、「製 造方法2」で調製したものは、HM- HPMCが未溶解のまま沈殿した。
以上、考慮すべき点はいくつかあるが、トリートメントへ応用した際、ユニークな 物性や感触面での特徴を兼ね備えた製品を設計することが可能である。
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Table 6-10 育毛剤の処方例
成分名 1-D 1-E
HM-HPMC - 0.15
黒酸化鉄 0.1 0.1
セファランチン 0.002 0.002 ニンジンエキス 0.5 0.5 グリチルリチン酸ジカリウム 0.1 0.1 ポリクオタニウム-61等 0.08 0.08
エタノール 10 10
フェノキシエタノール 0.1 0.1 メチルパラベン 0.2 0.2 プロピルパラベン 0.02 0.02
精製水 残量 残量
粘度(mPa・s) 52 560
Fig.6-10 HM-HPMCの有無による頭皮の角層水分量の変化
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6.7.2 毛髪の感触改善
さらに、育毛剤使用時、育毛効果だけではなく、毛髪に程良い質感の付与も大事で ある。疎水化セルロースHM- HPMC毛髪を保護し良好な感触を付与する効果も期待さ れる。毛髪表面を覆うキューティクルの最表面にはF層と呼ばれる脂質層が存在し毛 髪表面を疎水化すると共に、この中に含まれる18-メチルエイコサン酸が毛髪表面の なめらかな感触を付与する機能を有している。カラーやパーマなど化学処理を繰り返 した毛髪は、表面に存在していた疎水性膜のF層の一部もしくは全体が欠失してしま い親水化される。このように毛髪表面が親水化されることにより洗髪時にキシミが生 じたり乾燥時に毛先の絡まりを生じさせたりする。HM- HPMCは、その親水性部分がF 層の親水化されたダメージ部分に親和し、一方の疎水性の長鎖アルキル基により毛髪 部分が疎水化されることによって摩擦抵抗が低減し、指の通りを良くすると共に毛髪 表面がなめらかになる等の効果が期待される。上記のTable 6-1 官能評価の評価基準 を基き、Table 6-10 育毛剤の処方例の湿時及び乾燥時の感触を評価した(n=10)。
Table 6-11 湿時の使用感及び毛髪の感触評価の結果
塗布サンプル名 柔軟性 すべり性
精製水 2.4 2.7
1-D 2.5 2.8
1-E 4.1 4.3
Table 6-12乾燥時の毛髪の感触評価の結果
塗布サンプル名 柔軟性 すべり性 瑞々しさ
精製水 3.0 2.6 2.8
1-D 3.1 2.8 2.9
1-E 4.2 4.3 4.5
HM-HPMCの配合は、湿時及び乾燥の柔軟性、すべり性及び瑞々しさは共に優れており、
乾燥時においては、優れた瑞々しさを付与できることが確認された。育毛剤の開発で は、頭皮の角質水分量の向上だけでなく、毛髪の質感向上に対して非常に重要である ことを示した。
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1-D使用後の電子顕微鏡写真 1-E使用後の電子顕微鏡写真 Fig.6-11 HM-HPMCの有無による毛髪表面状態の変化
Fig.6-11に示した通り、 1-E使用後、HM-HPMCはダメージ毛髪の表面を保護し、毛 髪表面のキューティクルを整え、浮き上がりや剥がれを抑制できる。
6.7.3 頭皮の硬さ改善
薄毛の原因は「頭皮の硬さ」と密接に関係し、薄毛患者の頭皮の方が硬い傾向があ ることが分かった。
本研究では、Table 6-10の育毛剤の処方例に示した通りにサンプルを調製し、健常 者10人に試験対象とし、頭頂部を 3等分に分け、個々の部位に1日1回1mlの精製 水、育毛剤1-D、育毛剤1-Eを塗布し、1ヶ月後に頭頂部の部位の角質水分量を30 分 馴化後(25℃40%R.H.)、粘弾性測定機 (Vesmeter E-100HB ㈱ウェイブサイバー製)
で頭皮の硬度を測定した。
その結果は、Fig.6-10の通りに示した。HM-HPMCの配合結果は、顕著に頭皮の硬さ を抑えることを示した。
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Fig.6-12 HM-HPMCの有無による頭皮の硬さ変化