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〈生活店〉

4.  重回帰分析

4.3  考察

0.

 本節では、重回帰分析の結果を考察する。まず目的変数が〈固有店比率〉

の場合を考察し、つぎに〈規模補正店舗数〉、最後に両者を比較して考察をお こなう。また、得られた重回帰式から算出される予測値を縦軸に、現実の実 測値を横軸にとり、予測値と実測値が大きくずれている駅に着目して、その 原因を分析する。

1.

 目的変数が〈固有店比率〉の場合

 (a)開業年度ダミーは、業種形態(〈娯楽店〉か〈生活店〉かどうか)を問 わず負の相関を示している。これは、開業年度が 1970 年以降の駅ほど、業 種によらず固有店比率が低いことを表している。説明変数として、開業年度 が採用されず開業年度ダミーが採用されたことを踏まえると、固有店比率に 対する街の歴史の長短の影響力は非線形に働くことがわかる。

 (b)遍在店の店舗数は、業種形態を問わず負の相関を示している。これは、

遍在店の店舗数が多いほど、業種によらず固有店比率は低くなることを表し ている。ここから、遍在店の店舗数が増える速度は、固有店の店舗数が増え る速度よりも大きいことが推測される。また、採用される説明変数の業種形 態は、目的変数の業種形態とすべて一致している。これは、特定の業種形態 における遍在店の店舗数が、すべての固有店比率に対して大きい影響力を持 つわけではないことを表している。ここから、固有店と遍在店の影響関係は、

業種形態ごとに分かれていることが窺える。さらに、〈生活店〉の標準偏回帰 係数のほうが〈娯楽店〉のそれと比べて大きい。これは、〈娯楽店〉よりも

〈生活店〉のほうが〈固有店比率〉に対する遍在店の店舗数の影響力が大きい ことを示している。その理由として、私たちが日常生活に必要とするものは、

娯楽にまつわるものと比べ、多岐に渡らず需要予測が立てやすいため、多店 舗展開しやすいことが考えられる。これを、遍在店のような店舗形態の広が りと密接に関係のある変数である開業年度ダミーの標準偏回帰係数において も〈生活店〉のほうが〈娯楽店〉よりも大きいことと併せて考えれば、固有 店の店舗数が増える速度に対する遍在店の速度の超過が、〈娯楽店〉に比べて

〈生活店〉においてより大きくなっているという推察に至る。

 (c)生活店の比率は、業種形態を問わず負の相関を示している。これは、

街全体で〈生活店〉の占める割合が大きいほど、業種によらず固有店比率が 低いことを表している。このことは、先ほど述べた、固有店の店舗数が増え る速度に対する遍在店の速度の超過が、〈娯楽店〉に比べて〈生活店〉におい てより大きくなっているという推測をべつの角度から補強する結果となって いる。

 (d)1 街区あたりの商業面積は、業種を問わず負の相関を示している。こ れは、街区の目が細かい街ほど、業種によらず固有店比率が高いことを表し ている。この理由として、街区の目が細かいほうが地価は上昇しにくく賃料 が低めに抑えられ、一般に資本に乏しい固有店でも出店しやすいこと、ある いは遍在店に必要なだけの広い空間が少ないことが考えられる。

 (e)バッファ内人口は、業種形態を問わず正の相関を示している。これは、

駅付近の人口が多い街ほど、業種によらず固有店比率が高いことを表してい る。この理由として、標準的な日常生活に必要な需要から外れるようなマイ ナーな需要であっても、あるていどの人口があれば商業的に成り立ち固有店 出店の余地が生じるからだと考えられる。

 (f)東京駅からの所要時間は、業種形態を問わず正の相関を示している。こ れは、東京駅から離れるほど、業種によらず固有店比率が高いことを表して いる。ここから、次のことが考えられる。首都圏中心部に近い場所だと、固 有店の需要は都心で充足するため駅まわりは生活需要を満たす店舗が集まり やすい。逆に、首都圏都心部から遠いと、駅を中心とした商圏が自立し固有 店の需要が高まる。

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4. 重回帰分析

2.

 目的変数が〈規模補正店舗数〉の場合

 (a)〈生活店〉の比率は、〈娯楽店〉に対して負の相関、〈生活店〉に対して 正の相関を示している。これは、街全体で〈生活店〉の占める割合が大きい ほど、駅の規模に対する〈娯楽店〉の店舗数は少なくなり、〈生活店〉の店舗 数は多くなることを示しており、自然な結果といえる。また、〈娯楽店〉と〈生 活店〉の偏回帰係数の大きさに着目すると〈生活店〉のほうが小さい。これは、

日常生活に必要な店舗の需要はあるていどで頭打ちになり、結果的に〈生活店〉

の比率の伸びも鈍化することを示唆している。

 (b)1 街区あたりの商業面積は、業種形態を問わず負の相関を示している。

これは、街区の目が細かい街ほど、業種によらず駅の規模に対する店舗数は 多くなることを表している。この理由として、接道している空間が多くなり 商店が出店できる隙間が多くなること、あるいは場所の確保の問題で大規模 店舗の出店が抑制されることが考えられる。

 (c)バッファ内従業者数は、業種形態を問わず正の相関を示している。こ れは、駅付近の従業者数が多い街ほど、業種によらず駅の規模に対する店舗 数が多くなることを表している。この理由として、小規模店舗は相対的に従 業者数が多いこと、すなわち単位面積あたりの従業者数が多い場所は店舗が 小規模に分割されることが考えられる。東京駅からの所要時間は、業種形態 を問わず正の相関を示している。これは、東京駅から離れるほど、業種によ らず駅の規模に対する店舗数が多くなることを表している。このことから、

首都圏中心部から遠い場所だと、駅を中心にした市街地が自立しやすくなり、

その内部で消費行動を完結したい需要が高まることが示唆される。

 (d)乗り換え駅の有無は、業種を問わず負の相関を示している。これは、

乗り換え駅のある駅ほど、業種によらず駅の規模に対する店舗数が少なくな ることを表している。この理由として、街の規模に対して交通結節点として の役割が大きい駅(長津田、和光市、菊名など)がいくつか存在することが 考えられる。ここから、乗降客数が増えることが、つねに駅の規模に対する 店舗数の増加に寄与するわけではないことがわかる。また、べつの要因として、

乗り換え駅は店舗が巨大化することが推察される。

3.

 〈固有店比率〉と〈規模補正店舗数〉を比較した場合

 (a)開業年度ダミーは、業種形態を問わず〈固有店比率〉に対して負の相 関を示し〈規模補正店舗数〉とは相関がないことを示している。ここから、

1970 年以降に開業した駅を中心にした市街地は、遍在店と比べて固有店は発 生しにくく、かつ駅の規模に対する店舗数とは関連がないこと(多くも少な くもなること)が推測される。

 (b)1 街区あたりの商業面積は、業種形態を問わず〈固有店比率〉〈規模補 正店舗数〉に対してともに負の相関を示している。これは、街区の目が大き い街ほど、固有店比率が低く、駅の規模に対する店舗数が少ないことを表し ている。このことから、たとえば市街地再開発で街区を広げて形成された市 街地は、相対的に遍在店かつ大規模な商店が立地しやすいことが示唆される。

 (c)バッファ内人口とバッファ内従業者数に注目すると、バッファ内人口 は〈固有店比率〉に対して業種を問わず正の相関、バッファ内従業者数は〈規 模補正店舗数〉に対して業種を問わず正の相関を示している。すなわち、「こ の街にしかない店の比率」には住む人の数が、「街の規模に対する店の多さ」

は働く人の数が、それぞれ正の影響を与えるといえる。このことは、たとえ ば職住が近接する街づくりは「特有性ある商店街」を相対的に発生・維持す るためにポジティブな影響力を持つと考えらえる。

 (d)乗り換え駅の有無は、業種を問わず負の相関を示している。これは、

乗り換え駅のある駅ほど、業種によらず駅の規模に対する店舗数が少なくな ることを表している。この理由として、街の規模に対して交通結節点として の役割が大きい駅(長津田、和光市、菊名など)がいくつか存在することが 考えられる。ここから、乗降客数が増えることが、つねに駅の規模に対する 店舗数の増加に寄与するわけではないことがわかる。また、べつの要因として、

乗り換え駅は店舗が巨大化することが推察される。

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