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(2)骨格曲線の比較

13.4-10

に各試験の骨格曲線を示す。

13.4-10

(1)より、タイプ

1~タイプ 3

について、

1/100rad.までの剛性は同程度であった。

タイプ

1

1/20rad.付近から荷重が上昇し、1/10rad.で約 100kNm

であった。荷重上昇の原因 は、梁小口の柱側面へのめり込みによる影響を除去するために柱材と梁材の間に

20

㎜の間隔を設 けていたが、1/20rad.付近で梁小口が柱側面に接し、めり込みによるモーメントの上昇が生じた ためである。

タイプ

2

1/100rad.付近でモーメントが低下している。目視による観察では 1/75rad.で接続

鋼板の滑りを確認したが、1/100rad.時で滑りが生じていた可能性がある。その後モーメントは 上昇し、1/10rad.で約

80kNm

であった。

タイプ

3

は、1体目、2体目ともに接続ボルトの降伏により破壊がコントロールされているた め、接続ボルトが破断するまで、安定した挙動を示し、1/13rad.で約

80kNm

であった。

タイプ

4

について、1 体目、2 体目ともに接続ボルトの降伏により破壊がコントロールされて いるため、接続ボルトが破断するまで、安定した挙動を示している。1/15~1/16rad.で接続ボル トが破断しているが、最大モーメントは約

170kNm

であった。

0 20 40 60 80 100 120

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14

M (k N m)

γ(rad.)

タイプ1 タイプ2 タイプ3-1 タイプ3-2

1

)タイプ

1

3

20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

M (k N m)

タイプ1 タイプ2 タイプ3-1 タイプ3-2 タイプ4-1 タイプ4-2

(3)降伏モーメントの計算値と実験結果の比較

13.4-8

に各接合形式のモデル化の方法と剛性、降伏モーメントの計算値を示す。

タイプ

3

の(公称値・平均値)は、鋼材のσy及びσuを公称値と平均値で計算した値を意味す る。タイプ

3

のK3の回転剛性及び降伏・終局モーメントは引張ボルト~圧縮縁端を回転半径とし て計算した。

13.4-8

各接合形式のモデル化の方法と剛性、降伏モーメントの計算値

接合形式 タイプ

1

タイプ

2

タイプ

3

モデル化

回転剛性

(kNm/rad.) K

m1

= K

m2

=1.13 × 10

4

K

m1

= K

m2

=1.13 × 10

*K

4 m3

K

:剛と仮定

m1

= K

m2

=1.13 × 10 K

4 m3

= 4.50 × 10

4 降伏モーメント

M

y

M

(kNm)

y1

= M

y2

=43.8 M

y1

= M

y2

M

=43.8

y1

= M

y2

M

=43.8

y3

M

=42.8

(公称値)

y3

=51.3

(平均値)

終局モーメント

M

u

(kNm)

M

u3

M

=64.5

(公称値)

u3

=69.8

(平均値)

13.4-8

に実験結果と計算値の比較を示す。計算値は降伏モーメントで頭打ち(タイプ

3、タ

イプ

4

は降伏モーメントの

1.1

倍)とし、バイリニアの折れ線としている。

剛性に関して、タイプ

1~タイプ 3

ともによく一致していると考えられる。タイプ

4

は計算値 の方が若干剛性が高い。

降伏モーメントについて、タイプ

1

及びタイプ

2、タイプ 3

は計算値は実験値を概ね予測でき ている。タイプ

4

は計算値の方が若干剛性が高い。

終局モーメントについて、タイプ

1

及びタイプ

2

の終局モーメントを計算するためには、ドリ フトピン降伏後の応力再分配を考慮した逐次計算が必要となる。タイプ3は、鋼材が引張強さに 達した時と仮定すると図中の点線が終局モーメントとなる。実験値の最大値は平均値を用いた計 算値より約

1.2

倍大きい結果となった。

K

m1

K

m2

K

m1

K

m2

K

m1

K

m2

K

m1

K

m2

K

m1

K

m3

K

m2

K

m1

K

m3

K

m2

0 20 40 60 80 100 120

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

M (k N m)

γ(rad.)

タイプ

1

タイプ2

calc

(1)タイプ1、タイプ

2

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

M (k N m)

γ(rad.)

タイプ3-1 タイプ3-2

cac

(2)タイプ

3

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08

M (k N m)

タイプ4-1 タイプ4-2

cac

(6)まとめ

1)現状の接合部仕様の課題(破壊モード、回転中心等)を考慮した接合仕様を提案し、その構 造性能を確認した。

2)実験の結果、以下の点が明らかとなった。

・従来型(タイプ

1)及び接続鋼板を用いた接合形式(タイプ 2)では、変形性能及びモーメン

ト抵抗性能は確保できるが、破壊性状は主にドリフトピンの曲げに伴う木部の割れ及び割裂と なる。

・柱梁接続部分をフランジ型接合とした接合部仕様(タイプ

3、タイプ 4)では、木部の割れを

抑制することができ、降伏モーメントは計算により予測可能である。

3)荷重変形関係を予測するため、降伏後の

2

次勾配の予測方法について今後さらなる検討が必 要である。

13.5

ボル ト接合 を用 いた方 づえ 構造

13.5.1

は じめに

昨年度 は柱 とはり を方 づえで 挟み 込み、 方づ え端部を

2

面せん 断ボ ルト接 合し たタイ プ を 対 象 に 、 柱 - 方 づ え - は り 接 合 部 の 静 的 加 力 実 験 の 結 果 を ま と め た 。 析 に よ り 検 討 を 進 め た 。 木 質 構 造 設 計 規 準 に 示 さ れ て い る ボ ル ト 接 合 部 の 許 容 耐 力 設 計 で は か な り 安 全 側 に な る こ と が わ か り 、 本 年 度 は 、 ま ず 、 昨 年 度 実 施 し た 繊 維 方 向 と 繊 維 直 交 方 向 の ボ ル ト 接 合 部 の 要 素 実 験 を お こ な い 単 位 接 合 部 の 強 度 剛 性 を 得 た 。 次 に 方 づ え 接 合 部 の モ ー メ ン ト に 対 す る 固 定 度 を 把 握 す る た め に 、 方 づ え 接 合 部 の 静 的 加 力 実 験 を 実 施 し た 。 こ れ は 一 部 昨 年 と 重 複 す る 部 分 で あ る 。 こ こ で は 、 接 合 部 実 験 の 上 に 小 屋 組 が 付 い た 小 屋 組 付 き 接 合 部 の 静 的 加 力 実 験 を 実 施 し 小 屋 組 付 き 接 合 部 の モ ー メ ン ト に 対 す る 固 定 度 を 把 握 し た 。 次 い で 、 実 大 架 構 の 静 的 加 力 実 験 を 実 施 し 、 方 づ え 架 構 の 保 有 水 平 耐 力 と 変 形 性 能 に つ い て 明 ら か に し た 。 最 後 に 方 づ え 架 構 の 降 伏 及 び 終 局 に 関 す る 設 計 式 の 提 案を行 い、 実大架 構実 験と比 較し た。

13.5.2

ボ ルト接 合部 せん断 要素 実験

繊 維 平 行 方 向 と 繊 維 直 交 方 向 の せ ん 断 実 験 結 果 と ハ ン キ ン ソ ン 式 を 用 い る と 、 角 度 補 正 が で き る 事 が 知 ら れ て い る 。 そ こ で 、 方 づ え 接 合 部 を 想 定 し た 繊 維 平 行 方 向 と 繊 維 直 交方向 の要 素実験 を行 うこと で単 位接合 部の 強度剛 性を 実験的 に把 握する 。 表

13.5-1

に 試 験 体 一 覧 を 示 す 。 試 験 体 は 方 づ え 断 面 、 ボ ル ト 、 柱 断 面 を パ ラ メ ー タ と し 、

3

種 類 、 平行、 直交 方向で

2

種 類で計

24

体実施 した 。試験 体図 を図

13.5-1

に示 す。 試験体 は後 述する 方づ え接合 部実 験に合 わせ カラマ ツの 同一等 級集 成材

E105-F345

を用 い、端 部の 接合ボ ルト は

SS400

と した。 加力 は正負 交番 繰り返 し加 力とし た。 表

13.5-2

に 実験結 果 を ま と め る 。 表 中 の 値 は ハ ン キ ン ソ ン 式 で 方 づ え の 取 り つ く

45

度 方 向 に 補 正 し た 値 で ある。 また 、

EYT

式で 求めた 計算 値と比 較し たとこ ろボ ルトの 太い 試験体 では 計算値 の 降伏耐 力は 実験値 の半 分程度 の値 であり った 。

13.5-1 2

面せ ん断 試験体 一覧

試験体 名 方づえ[mm] 柱

[mm]

ボルト 径

E-1

2-60×120 120×120 M12

E-2 M20

E-3 135×135 M12

加力用ボルト孔

ボルトM12

588 8484100150 84264140 488

135

60 60

ボルトM12 固定用ボルト孔 加力用ボルト孔

135

13.5-2

実験結 果

E-1 E-2 E-3

実験 計算 実験 計算 実験 計算

Py[kN] 19.50 11.51 48.66 27.23 19.65 11.51 K1[kN/mm] 2.39 8.90 5.40 16.25 2.20 8.63 Pu[kN] 27.50 60.73 28.52

K2[kN/mm] 0.56 1.56 0.48

続 い て 、 後 述 す る 小 屋 組 接 合 部 の 登 り ば り

-は り 接 合 部 を 想 定 し た 1

面 せ ん 断 ボ ル ト 接合部 要素 実験を 実施 した。 表

13.5-3

に試 験体一 覧を 示す。 試験 体は、 はり 断面、 登り ばり断 面を パラメ ータ とし、

3

種 類で 計

12

体実施 した 。端部 の接 合ボル トは 全て

M20

と し た 。 図

13.5-2

に 試 験 体 詳 細 を し め す 。 試 験 体 の 登 り ば り が 取 り 付 く 部 分 に は 深 さ

15mm

の 切 り込み 、は り側の ナッ ト締め する 部分に は直 径

70mm

か つ深さ

70mm

の 円 形 の座掘 りが ある。 試験 体は小 屋組 付きの 試験 体に合 わせ カラマ ツ集 成材

E105-F300

を用 いた。 加力 方法は 正負 交番繰 り返 し加力 とし た。表

13.5-4

に実 験結 果をを 示す 。部材 断 面 が 大 き く な る に つ れ 、 特 性 値 も 大 き く な っ て い る 。 特 性 値 と 計 算 値 を 比 較 す る と 、 降 伏耐力 は

1.2

倍程 度実 験値の 方が 高く、 剛性 は

8

倍 ほど 計算値 の方 が高い 。

13.5-3 1

面せ ん断 試験体 一覧

試験体 名 はり[mm] 登りば り[mm] ボルト 径

F-1 120×180 120×180

M20 F-2 135×180 135×180

F-3 150×180 150×180

13.5-2 1

面せ ん断 試験体 表

13.5-4

実験結 果

F-1 F-2 F-3

Py[kN] 17.10 17.38 17.89

K1[kN/mm] 1.89 1.97 2.31

Pu[kN] 25.10 32.33 35.10

K2[kN/mm] 0.21 0.17 0.16

13.5.3

肩 部の接 合部 実験

方づ え架 構の回 転性 能を接 合部 実験に より 実験的 に把 握する 。 表

13.5-5

に 試験体 一覧 を示す 。試 験体は 方づ え断面 、ボ ルト径 及び 柱断面 をパ ラメー タと し

7

種類 各

3

体ず つ 計

21

体で 実施し た。 柱及び 方づ えには 同一 等級集 成材

E105-F345、はり には 異等級 構成

集成材

E105-F300

を用 いた。 樹種 は全て カラ マツで ある 。試験 体設 置状況 を図

13.5-3

に 示 す 。 予 備 実 験 で 柱 は り 接 合 部 及 び 接 合 金 物 が 上 方 へ の 拘 束 力 が な い た め に は り が 浮 き 上 が っ て し ま っ た 。 そ こ で 実 際 に は 小 屋 組 の 自 重 に よ り は り の 上 方 へ の 移 動 が 拘 束 さ れ る こ と を 考 慮 し て 、 タ イ ロ ッ ド を 用 い 、 は り の 浮 き 上 が り を 拘 束 し た 。 加 力 は 方 づ え 接 合部の 押し 引きの 性状 が同じ であ ること から 、各試 験体 とも正 負交 番

3

回繰り 返し加 力 と し た 。 各 サ イ ク ル の 目 標 変 形 角 は 見 か け の 変 形 角 で 、

1/450、

1/200、 1/150、

105.7417.3

ボルトM20

1/100,、1/75、 1/50、1/37.5、1/25rad

であ る。 見かけ の変 形角は 図

13.5-3

に 示す ワイヤ ー 変位計 で計 測した 。繰 り返し 加力 の履歴 は同 一変形 段階 で

3

回繰り 返しで ある 。最大 荷 重 に 達 し た 後 最 大 荷 重 の

80%

ま で 荷 重 が 低 下 す る か 、 試 験 体 の 見 か け の 変 形 角 が

1/15rad

に 達する まで 加力し た。

13.5-4

にモー メン ト回転 角関 係の一 例を 示す。 初期 ガタの 影響 は

1/150rad

付近ま で み ら れ た 。

1/50rad

付 近 か ら 非 線 形 化 し て い る の は 、 方 づ え 端 部 の ボ ル ト 接 合 部 の 塑 性 化 に よ る も の で あ る 。 ボ ル ト の 曲 げ 変 形 及 び 木 材 の め り 込 み は 、 試 験 後 の 解 体 に よ り 確 認して いる 。また 、

1/37.5rad

か ら

1/25rad

加力時 の引 き側で は、

2

1

対で ある方 づ え の 片 方 が 、 端 側 に 亀 裂 が 生 じ 接 合 部 が 破 壊 し て い る も の の 、 急 激 な 荷 重 低 下 は み ら れ な か っ た 。 終 局 時 の 破 壊 で は も う 一 方 の 方 づ え 端 部 の ボ ル ト 接 合 部 に 破 壊 が 生 じ る 、 も し くは主 材で ある柱 側に 亀裂が 生じ たこと によ り、に より 荷重低 下を した。 表

13.5-6

に特 性値一 覧を 示す。

B-6

B-7

の 塑性率 が小 さいの は、 ボルト 径が 太いこ とに より、 ボル ト の 降 伏 後 の 変 形 が わ ず か な う ち に 木 材 側 が 亀 裂 を 生 じ た こ と に よ る 。 破 壊 性 状 と し て は

B-6

で柱 のせん 断破 壊がみ られ たが、 その 他の試 験体 では方 づえ 端部柱 側の せん断 破 壊が生 じた 。

13.5-5

接合部 実験 試験体 一覧

試験体 名 方づえ 断面[mm] 柱断面

[mm]

はり断 面

[mm]

ボルト 径

B-1 2-30×120

135×135 135×180

M12

B-2 2-45×120

B-3 2-60×120

B-4 2-45×120

150×150 150×180

B-5

2-60×120

B-6 135×135 135×180

B-7 150×150 150×180 M20

312.5 1,120

807.5

アクチュエータ ー 312.5

1,120

ピン支 持 807.5

割裂防止冶 具 タイロッ ド

面外拘束冶具 羽子板ボル ト

(巻き取り変位計 )DG1 ワイヤ ー

H型鋼 柱

13.5-3

試験体 設置 状況

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