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4.2校内支援システムの提案

本研究の調査結果より、高校生の実態が明らかに なった。そこで高校生の実態、現場の実態も含めて、

校内支援システムの提案をしたい。

 高校生の実態調査から、学校生活においてコミュ ニケーションスキルよりも学習等のアカデミック スキルに対して苦手意識を感じている生徒が2割 程度在籍していることが判明した。

一方で、学習不振を中心とした不登校や中途退学、

問題行動といった学校不適応等の学校教育の課題 が指摘されている。

 また中途退学者の一部ではあるが、少年犯罪に関 与し、少年院に収容されている実態も明らかになっ

た。

第1章でも述べたが、高校と特別支援教育につい ては、高校現場では容易に関連づけができない側面 を抱えている。したがって高校では、特別支援教育 の行動面や認知面といったアプローチよりも、学習 不振、学習困難といった教育活動の中で比較的捉え やすいキーワードで特別支援教育へのアプローチ を強化するほうが効果的ではないかと考えられる。

そこで提案としては、学力保障の計画、実行、評 価である。

計画では、学力保障委員会を設置し、対象となる 生徒に対して学力保障を行ない、年度末に進級や卒 業といった客観的尺度でその評価を行なうもので

ある。

成田(1999)は専門職アビリティについて「特に 教師が自分自身やその同僚に対して有する教育の 責任のことであり、実践方法の選択や適用、適切性 について責任を負い、説明できる状態を意味する」

と述べている。これは入学試験に合格した高校生に っいては卒業するまでの責任が発生し、同時に高校 卒業程度の核力の保障の責任を負うことにもなる。

高校卒業程度の学力といえば、学校間格差や学校

内格差もあり、高校卒業程度の学力には、それぞれ のイメージによって受け取り方が多様である。

 したがって、この学力保障委員会というまったく 新しい分掌では、学力保障という点に特化した内容 で活動することである。ここでいう、学力保障とは 高校で授業を受けられる学力を保障しようとする もので、特に国語・数学・英語といった教科の基礎 基本の学習のことである。学力保障という名称であ れば高校教師や保護者に対しても特別支援教育と いうネガティブなイメージよりも、ポジティブなイ メージを持つことができると考えられる。構成メン バーは、教務、学年、国語・数学・英語の教科主任 等で、対象生徒の選定は、自己能カセルフチェック での自己評価や当該教科からのピックアップ、本人 の希望制等で行ない、実施時期は考査前や長期休業 中の前後、特定の曜日を決めての実施で、これらは 現場実態に対応した取り組みが考えられる。

 これまで学習支援や学習指導については、学年団 や担任が中心になり、教科に関する内容やレポート の締め切り等の、どちらかといえば、成績不振者に リストアップされないための指導が多かったので はないかと考えられる。そこで、従来の学習支援や 学習指導は継続しながら、高校での授業を受けるた めのレディネスという意味でも、高校1年生で国数 英を中心に実施することが望ましいと考えられる。

生徒が学習に対する苦手意識や不安感があると いうのは、第3章まとめのアンケート集約でも現場 教師が同様に感じているとしている。

高校は教科担任制であり、各教科担任は、生徒の 不得意とする分野や内容の実態把握が可能である。

しかし、積み重ねといわれる教科の教科担任は、ど の分野でどこからつまずいているのかの実態把握 が、現場の多忙から考えると難しいのではないかと 考えられる。さらに、クラス担任は特定の教科の不 得意や苦手意識は把握していても、その内容までの 実態把握は難しい。さらに言えば、他教科の領域を、

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第4章 考察と校内支援システムの提案 互いにオーバーラップする教科や内容については、

不得意や苦手意識という傾向は理解できても、その 中味までは難しいのではないかと考えられる。

 高校では、同一の生徒を複数の教師がかかわるこ とが多い。しかし、生徒理解においては複数の教師 が、同一レベルで生徒理解をしているとは、言いが たいのではないかと考えられる。数学の教師が、生 徒の苦手や不得意とする数の概念については把握 していても、他の教科の教師は、数学が苦手といっ た理解しかない場合も多い。あるいは漠然と学習を 苦手とする生徒が、どの教科が苦手で、さらにどの 分野が苦手といったことまでを、認識している場合 は少ない。

 学校現場では、よく「共通理解」という言葉が使 われる。組織として教育活動を行う上では欠かせな い意識である。しかし、学習上や行動上の生徒につ いての共通理解が必ず正しく行われているかとい うと、おおよその方向性は共通理解している場合は 多いが、中には、そのベクトルさえも多方面にわた る場合もある。さらに詳細なことまでは共通理解と していない面も多く、これは第3章まとめのアンケ ート集約でも現場の教員が共通理解の必要性を指 摘している。

 本研究で、高校現場に特別支援教育の推進をしよ うとしたときに、生徒に障害のレッテルを貼っても よいのかという議論がされた。しかし、会議等で特 定の生徒の学習が苦手という事実の報告をすると、

周囲の教師は学習が苦手という一面しか理解して いない面がしばしば見受けられた。「特定の生徒は 学習が苦手」といったイメージが先行し、どの教科 のどんな分野までは掌握しきれていなくても、学習 が苦手という一言で、特定の生徒「レッテル張り」

を現場教師は意図することなく、判断してしまうケ ースが多いのではないかと考えられる。

 共通理解を促進する有効な手段は、教科担任から 担任への報告である。しかし、多忙な日々の教育活 動においてぽ煩雑さと困難を伴うことが予想され るため、教師の生徒の学習二一ズの掌握や教師支援 のための支援システムツールを提案する。

 生徒の学習や行動などの実態把握を共通理解と してとらえられるツールで考えられるのが、インタ ーネットの利用である。これは、ネット環境には依 存するものの、時間と場所には依存せずに、いつで

も、どこでも閲覧や入力が可能となる。

 特定の生徒の共通理解としては、日々の教育活動 について、記録をネット上でオープンにすることで ある。複数の教師が閲覧することや書き込むことを 可能な環境の準備をすることで、生徒の共通理解の 問題解決が図られるのではないかと考えられる。

 そこで共通理解というコンセプトで、筆者が開発 に関わったrrθ・IEP」」というネットワーク上の個 別の指導計画ツールがある。

 ネットワークで問題になるのは、個人清報の漁曳 などのセキュリティである。この「e・IEPjは、ソ フト会社内にサーバーを準備し、IDやパスワード で入力、閲覧者を限定している。「θ・IEP」で記録さ れた過去のログはすべて暗号化され、仮にサーバー ヘ不正アクセスやサーバーから情報漏洩があった としても、文字化けをしていて専用ソフトがなけれ ば、解読できない仕組みになっている。

 ただ、ネットワークを介している以上は、セキュ リティの安全保障は残念ながら100%ではない。そ こで生徒名、学校名を匿名のハンドルネームやニッ クネームを用い、関係者のみにしかわからない伏字 にすることで有効に利用が可能となる。事実は流れ ても、個人が特定されなければ、個人庸報とはなり えないのである。

 要するにネットワークは情報漏れがあるものと して扱い、個人が特定されない工夫をすることで、

個人1青報のセキュリティ問題は、十分対応できるの ではないかと考えられる。

第4章 考察と校内支援システムの提案

 次に示す図4・2・1から図4・2・7のそれぞれ7つの 図はθ一IEPのイメージ図であり、一部の小学校で試 験的に運用している画面である。

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