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考察

ドキュメント内 塗装鋼板の腐食機構解明と (ページ 132-135)

第 6 章 塗装後の耐食性に優れる新規素地調整方法の検討

6.4 考察

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H2O+1/2O2+2e→2OH (6.1) 次に,アノード反応は次式であらわされる.

Fe→Fe2++2e (6.2)

アノード部では電気的中性条件を満たすため電気泳動により塩化物イオンが濃化す る.また,アノード反応で生じたFe2+は次式の酸化反応を生じる.

Fe2++1/4O2+H+→Fe3++1/2H2O (6.3)

これにより生じたFe3+は次式の加水分解を生じる.

Fe3++H2O→FeOH2++H+ (6.4) Fe3++2H2O→Fe(OH)2++2H+ (6.5) 2Fe3++2H2O→Fe2(OH)24++2H+ (6.6)

これらの腐食反応で生じた腐食生成物は粗雑であり酸素の拡散障壁として作用しな いことが知られている 9, 10).また,式(6.4)~式(6.6)からもわかるとおり,アノード部 ではpHが低下する環境となるため鉄の腐食が継続して進行する.

また,塩化物イオンを含む環境下における亜鉛の腐食反応式は次のように考えられ ている11, 12)

Zn→Zn2++2e (6.7) 5Zn2++8OH+2Cl→Zn5(OH)8Cl2 (6.8)

この腐食反応で生じた腐食生成物は脱水縮合反応により酸化亜鉛ZnO,水酸化亜鉛 Zn(OH)2,塩基性炭酸亜鉛Zn4CO3(OH)6・H2Oや塩基性塩化亜鉛Zn5(OH)8Cl2・H2O等 となる.これらの亜鉛の腐食生成物は,鉄の腐食生成物とは異なり,特定の腐食生成 物は酸素の拡散障壁となることが知られている.たとえば,水酸化亜鉛Zn(OH)2や塩 基性塩化亜鉛Zn5(OH)8Cl2・H2Oは,酸化亜鉛ZnOと比較して酸素の拡散障壁として 優れていることが報告されている11)

塩化物イオンを含んだ乾湿を繰り返す腐食促進試験を適用しているため,塗膜が常 にぬれている状態と塗膜がほとんどぬれていない状態を相互に繰り返しながら腐食が 進行していると考えられる.しかしながら,前述した断面SEM-EDX分析で塗膜下に 腐食生成物が堆積していたことから考えると,塗膜がほとんどぬれていない場合に生 じる腐食が支配的であったと推察できる.したがって,酸素は主に人工欠陥部におけ る腐食生成物をとおして供給されたと考えられる.塗装試料Cでは亜鉛の腐食生成物 が人工欠陥部に存在しており,カソード分極曲線の挙動から算出した腐食電流密度は 塗装試料A,Bよりも約1桁低い値を示した.このことから,塗装試料Cの人工欠陥 部に生じた亜鉛の腐食生成物は,塗装試料A,Bの人工欠陥部に生じた鉄の腐食生成 物よりも酸素の拡散障壁として作用したと考えられる.このように考えた場合,表面

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SEM-EDX分析において試料Cの表面には42.9 mass%の亜鉛しか存在していないにも

かかわらず,この亜鉛が腐食することにより人工欠陥部で露出していた素地鋼板のほ とんどを被覆できたものと推察する.したがって,塗膜欠陥部における塗膜下腐食を 考えた場合,亜鉛めっき皮膜のように金属亜鉛として素地鋼板を完全に被覆していな くても,一定程度の亜鉛が素地鋼板上に付着していれば,亜鉛の腐食にともなう体積 膨張により素地鋼板のほとんどが覆われる.この結果,良好な塗装後の耐食性を発現 できる可能性が高い.

Figure 6.14 Schematic of coated steel sheet.

Organic coating

Steel

Organic coating

Steel

Maximum

height roughness;Rz Thickness

Center line

Thickness

Center line Mmaximum

height roughness;Rz

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