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2.6.6 毒性試験の概要文

2.6.6.9 考察及び結論

IgPro20

は「低並びに無ガンマグロブリン血症」を有する成人及び小児患者に適応される皮

下投与用製剤である。国内臨床試験では

IgG

200 mg/kg

未満 の用量で週

1

回皮下投与され、

海外臨床試験では

IgG

は最高

400 mg/kg

が皮下投与されることから、

400 mg/kg

を投与した場 合について以下のリスク評価を行った。なお、

IgG

として

400 mg /kg

IgPro20

には

L-

プロ リンが

58 mg/kg

含まれる。

ラットの

26

週間皮下投与毒性試験(

3

回と

15

回投与後に途中剖検実施)及びその後の

4

週間回復試験により

IgPro20

の急性及び蓄積毒性を検討した(

2.6.6.3.2

)。

IgPro20 200

及び

1000 mg/kg

をラットに

26

週間、隔日投与した結果、忍容性は良好であった。試験で認めら

れたすべての所見は、ラットに免疫原性を有するヒトタンパク質を投与、又は

IgPro20

に含 有する外来物反応性抗体を投与したことによる影響と考えられた。ヒト

IgG

に対する

IgG/IgM

抗体産生は、

IgPro20 200

及び

800 mg/kg

28

日間、隔日皮下投与した動物で確認された。

抗体産生が誘導されたにも拘らず、これら

2

試験(

2.6.4.3.2

)で示された血清中ヒト

IgG

濃 度は、日本で実施された

IgPro20

の臨床試験(

ZLB06_ 002CR

)の患者の血中濃度範囲内に達 した。したがって、ラット

26

週間皮下投与毒性試験から

1000 mg/kg

と推定された無毒性量 は、臨床試験で示された血清中ヒト

IgG

濃度に相当するレベルでラットに曝露された結果と 考えられる。

製剤を安定化するため、

IgPro20

L-

プロリン

250 mmol/L

を含有しわずかな酸性(

pH 4.8

) を有して製剤化されている。ウサギを用いた局所刺激性試験は、わずかな酸性を有する

IgPro20

製剤を皮下投与しても、生理的

pH

(約

6.8

)付近で製剤化された

Beriglobin P

16%

IgG

製剤)と同程度の忍容性を示すか否かを確認するために実施した。この試験では、両製 剤は同等の忍容性を示し、その他の

IgPro

関連製剤(同じ調製方法で開発された製品である がタンパク質濃度が低い製品)と同程度であった。

ウサギを用いた

2

番目の試験の局所刺激性試験では、

IgPro20

を静脈内投与及び動脈内投与 したところ良好な忍容性を示し、静脈周囲投与では許容可能な忍容性が認められた。

CSLB

の凍結乾燥品、液状の親製剤及び皮下投与で用いられる市販製剤は、これまで多く の臨床経験に基づき安全性が証明されてきている点から、

IgG

のコンポーネントを含む製剤 にはその他の毒性データは認められていない。さらに、人免疫グロブリン製剤は免疫学的活 性を有し、外来物反応性抗体を含むため、ヒトに外挿できない作用が動物で誘発される可能 性があることから、動物を用いた人免疫グロブリン製剤の試験を実施する意義は限られる。

IgPro20

は溶液中に

IgG

の安定化剤として

L-

プロリンを含有する。

L-

プロリンは高齢患者

を含むヒトに

1

1

回、最大

8 g

(アミノレバン点滴静注、大塚製薬)が静脈内投与されてき た。しかし、日本ではこの添加物を皮下投与した使用前例はない。そのため、この非必須ア ミノ酸の毒性プロファイルを検討した。

ラット及びイヌを用いて

28

日間反復投与毒性試験を実施した。非臨床試験の最長投与期間

28

日間)は

L-

プロリンの半減期が短いこと及び

IgPro20

の臨床試験や海外における使用状 況等に関する資料(

1.6

)に示された投与計画に基づいて決定された。成熟動物を用いたいく つかの試験では、高用量の

L-

プロリンを動物に投与してアミノ酸全身曝露の安全性を評価す るには、静脈内投与が最も適切な投与経路であるとして選択された。毎日

7

時間の静脈内持 続投与は、必要な高用量を投与する上で適切であると考えられた。

28

日間投与試験は、

IgPro20

が皮下注射用人免疫グロブリンであることから臨床適用経路である皮下投与を選択して実施 した。

ラットの

28

日間反復投与毒性試験では、

L-

プロリン

290 mg/kg

を投与した結果、良好な忍 容性が認められた。無毒性量は

290 mg/kg

と考えられた。

ラットの

28

日間反復投与毒性試験では、

L-

プロリンを連日静脈内持続投与が可能な最大用 量まで投与したが明らかな毒性は認められなかった。

L-

プロリンの無毒性量は試験に用いた 高用量(

1449 mg/kg

)であった。

イヌの

28

日間連続静脈内反復投与毒性試験では、

L-

プロリンを最高

4350 mg/kg

まで投与 したが明らかな毒性は認められなかった。無毒性量は

4350 mg/kg

と考えられた。

CSLB

で実施した一連の遺伝毒性試験では、

Sandoglobulin Liquid

の混合添加物に含まれる

L-

プロリンは遺伝毒性を示さなかった。

3

種の添加物は代謝が既知であり化合物間の相互作 用が弱いことを考慮すると、これらの試験成績は

L-

プロリン単一の添加物としての結果とみ なせると考えられた。

L-

プロリンのみを用いたラット胚・胎児発生に関する試験(

AA30034

)では、

L-

プロリン

1449 mg/kg

を投与しても催奇形性及び胚毒性は認められなかった。この用量は本試験での最

高用量であり、同時に無作用量と推定された。

さらに、中枢神経系及び発達中の脳に対する高用量

L-

プロリンの影響を調べるために、

CSLB

では、公表されている研究(

Delwing

2006a

Bavaresco

2005

Shanti

2004

) と同様のデザインで、

L-

プロリンの皮下投与及び特発性血小板減少性紫斑病(

ITP

)と原発性 免疫不全症(

PID

)の患者に

IgG

を静脈内投与(それぞれ、

5

日間連投及び

3

から

4

週間に

1

回投与)する臨床適応を想定して、幼若ラットを用いた

Morris

の水迷路試験を実施した。

PID

患者への

IgG

の皮下投与(毎週

1

回)は

IgG

の静脈内投与よりも低用量で頻回に行われ るので、動物試験でも

PID

患者への

2

つの投与スケジュールを設定し皮下投与した。スケジ ュール“

1

”では、

ITP

患者に

IgG

の静脈内投与する最大期間を想定し、

L-

プロリン

1.5 g/kg

及びグリシン

1.0 g/kg

を生後

9

13

日まで、

5

日間連続で

1

2

回皮下投与した。スケジュ ール“

2

”では、

PID

患者に

IgG

を静脈内投与する最長期間を想定して、間歇投与による方法 を設定した。

L-

プロリン最高

2.0 g/kg

及びグリシン最高

1.3 g/kg

17.4 mmol/kg

)まで、

1

2

回、生後

9

16

及び

23

日のラットに皮下投与した。投与期間中、急性神経毒性症状はいず れの群にも認められなかった。

Morris

の水迷路試験では、

Bavaresco

ら(

Bavaresco

2005

) の試験方法に従って実施し、全群のすべての動物は、参照記憶の良好な獲得及び参考記憶と 作業記憶に関する試験での良好な結果を示した。前投与を行った場合でも、参照記憶の獲得、

及び参照又は作業記憶に対する負の影響を示唆する所見は認められなかった。要約すると、

L-

プロリン

3.0

4.0 g/kg

を生後

3

又は

5

日齢のラットに連日曝露しても神経発達に影響を及

ぼさなかった。

これらの結果は、

CSLB

と同じ試験計画書を使用したが生後

6

28

日よりも長期の投与を 行った

Wyse

研究グループの公表論文(

Delwing

2003a

Bavaresco

2005

Delwing

2006a

)や、生後

15

39

日に投与を行った

Shanti

らの公表論文(

Shanti

2004

)とは矛盾す

る。このように、生後

23

日間又は

25

日間の連日投与の条件下では、

Morris

の水迷路試験で 参照記憶の習得及び参照記憶と作業記憶に対していくつかの影響が認められた。公表論文

Delwing

2003a

Delwing

2006a

)によれば、

L-

プロリンが示したこの作用の大きな要

因が酸化ストレスである可能性が示唆された。そのため、高用量

L-

プロリンは脳及びその他 の組織に酸化ストレスを誘発する可能性があり、おそらく、

L-

プロリンに対する感受性に対

して直接的な研究報告はないことから、特定の酵素に対する

L-

プロリンの直接作用ではない と考えられた。過剰に蓄積した酸化ストレスが脳の酸化ストレス耐用量を最終的に超えてし まうことが機序として考えられる。このことは、急性曝露では測定値が急速に回復するが慢 性曝露では測定値が回復しないことや、ビタミン

E

C

前投与による保護効果についての結 果と一致する可能性がある。また、このことは、

23

日間と

25

日間の曝露で認められた神経 発達に対する影響が、生後

3

5

日間の

L-

プロリン曝露では誘導されなかったことの合理的 説明を提示している。

ヒトに皮下投与される

IgG

として

400 mg/kg

IgPro20

には、

L-

プロリンが

58 mg/kg

3.48 g/

ヒト)含まれている。

L-

プロリンの非臨床毒性試験では、毒性変化は認められなかった。

ラットの

28

日間皮下投与毒性試験では無毒性量は

290 mg/kg

と推定されたので、ヒトでの

L-

プロリンの最高用量である

58 mg/kg

と比較して安全域は

5

倍と推定された。ラット及びイ ヌの

28

日間静脈内投与毒性試験の無毒性量は各々、

1449 mg/kg

及び

4350 mg/kg

と推定され た。したがって、

L-

プロリンのヒトへの最高投与量である

58 mg/kg

と比較してラット及びイ ヌの最高投与量での安全域は、それぞれ

25

倍及び

75

倍と推定された。上述した静脈内投与 毒性試験の

L-

プロリンの最高血清中濃度は、ラットでは雄で

3.1

4.1 mmol/L

及び雌で

2.2

2.8 mmol/L

、また、イヌでは雄で

12.3

14.5 mmol/L

及び雌で

11.1

12.8 mmol/L

であった。

臨床試験

ZLB04_009CR

5.3.3.2.1

)で得られた平均血清中濃度

449.7 μmol/L

の値とこれらの

平均血清中濃度を比較すると、安全域は少なくともラットの雄で

7

倍及び雌で

5

倍、イヌの 雄で

27

倍及び雌で

25

倍であった。日本で実施された主要な臨床試験

ZLB06 _002CR

では

L-プロリン濃度は測定されなかったが、本試験で用いられた平均臨床用量は、別の臨床試験

ZLB04_009CR

5.3.5.2.3

)で用いた平均臨床用量の

50%

以下であったことから、より高い安

全係数が期待される。さらに、静脈内投与による胚・胎児発生に関する試験の無毒性量は

1449

mg/kg

と推定されたことから、

L-

プロリンの最高用量と比較すると安全域は

25

倍、また、血

清中

L-

プロリン濃度が妊娠

6

日では

3.5 mmol/L

及び妊娠

17

日では

2.6 mmol/L

であった曝露 量と比較すると安全域は少なくとも

6

倍であった。最後に、幼若ラットを用いた試験では、

IgPro20

の臨床試験を想定した投与方法で

1

日最高

4.0 g/kg

まで投与しても脳の発達に悪影響

が認められなかった。このように、幼若ラットを用いた水迷路試験では安全域は最高で

69

倍であった。

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