講道館規定と国際規定の関係に対するあなたの基本的な考えを以下の3つの中から1つだけ選 び、Oを付けて下さい。
1.現行の講道館規定と国際規定の違いは微妙なものなので、このまま2種が存在していても矛盾 や困惑は感じない。
2.国際規定のみでよく、講道館規定は不要である。
3.国際規定は国際スポーツとして確立するためにあるが、講道館規定は日本の伝統的な教育のた めにあるべきなので、講道館規定をもっとはっきり違う規定へと改訂すべきだ。
*その他、ご意見等があればお書き下さい。
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皿』結果および考察
まず、有効回答者(757名)の特徴について以下に示しておく。
表2.性別
男 女
663名 94名
性別については、表2に示すように男性が多く、女性が少ない。これには、女性の実 践者数が全般に少ないことが影響しているが、サンプリングに偏りがあることは否め ず、女性の調査対象者を増やすことは今後の課題として残された。
表3,所属
大学生(14大学) 590名『
大学指導者(8大学) 8名
中学校・高校指導者(3県) 96名 警察柔道指導者・練習者(2県) 23名 刑務所指導者・練習者(1県) 25名 実業団指導者・練習者(1企業) 15名
所属については表3に示すように、大学生柔道部員が多い。指導者層の対象者を増や すように務めたが、結果的に不十分なものとなった。
表4.現在もなんらかの競技大会に出場している 出場している 606名
弓1退した 151名
「競技者として現役か否か」については、すでに示したように、回答者に大学生が多 いことから、表4の結果となった。
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表5.審判ライセンス
A級 16名
B級 56名
C級 91名
無 594名
審判ライセンスについても、指導者層の対象者が少ないことから、表5の結果となっ
た。
表6.蕃判歴
無 597名
5年未満 59名
5〜10年未満 21名 10〜20年未満 26名 20年以上 54名
審判歴についても、概ね審判ライセンスの取得者数に準じるものとなったが、特に20 年以上の審判歴を有するものが50名以上あり、貴重な意見を収集できるものと期待
される。
表7.指導歴(複数回答)
無 524名
小学生 102名
中学生 49名 高校生 74名 大学生 16名
実業団 6名
警察 11名
その他 15名
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指導歴については、やはり大学生を中心に「無し」が多いが、その他は各職域に分散
している。
以上の回答者の特徴を踏まえ、以下では「方法」の箇所で述べた「相違点」に添っ て結果を分析し、考察していく。
1)「体重制」について
r体重制」については、すでに調査内容を示したように、①r軽量級と重量級が戦 うことには無理がある」、②「体重制は不要、すべて無差別で良い」、③「体重制と無 差別の両方があって良い」の3つの観点による項目から調査した。各々の単純集計の 結果は、次のものであった。
①「軽量級と重量級が戦うことには無理がある」
そう思う ややそう思う あまり思わない 思わない 計
人数 149 161 217 230 757
30.4%
圖そう思う 圏ややそう思う 口あまり思わない
□思わない
28.7%
図2.軽量級と重量級が戦うことには無理がある
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②「体重制は不要、すべて無差別で良い」
そう思う ややそう思う あまり思わない 思わない 計
人数 50 128 299 280 757
37,0%
園そう思う
■ややそう思う 口あまり思わない
□思わない
39.5%
図3,「体重別」は不要すべて無差別で良い
③「体重制と無差別の両方があって良い」
そう思う ややそう思う あまり思わない 思わない 計
人数 564 137 42 14 757
1。8%
固そう思う
■ややそう思う
□あまり思わない 口思わない
図4,r体重別』とr無差別」の両方があって良い
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以上の単純集計の結果において、まず、①r軽量級と重量級が戦うことには無理が ある」は、3項目の中で最も肯定群と否定群が数的に拮抗しており、そのことから、
日本においては未だ「体重無差別」による試合への価値づけと期待が残されているこ とがうかがえる。例えば、これに関する本調査の自由記述において、r無差別の試合 は観ている人もおもしろいと思う」や、「柔よく剛を制すが柔道の面白さなので無差 別はあるべき」等の意見が記されていた。しかし、だからといって、②「体重制は不 要、すべて無差別で良い」という項目に対しては否定群が明らかに上回っており、全 ての試合がr無差別」で行われることについては反対意見が多くなっている。その理 由には、「軽量級の選手にも試合で活躍するチャンスを公平に与えるため」、「国際試 合では体重制が基本となっているため、そこで活躍する選手の体重も目頃からそれに 合わせておく必要がある」、「軽量級の選手が重量級の選手と戦うことには怪我等の危 険がある」等、競技としての実利性・合理性があると考えられる。実際、自由記述に おいてもこれら各々に関する記述がみられた(自由記述の表8参照)。つまり、これら
2項目の結果を総合的にみれば、「無差別」を理想として求めつつも、競技としての 合理性の点から「体重制」を肯定するという考え方が存在しているといえる。そして、
その考え方は、③の「体重制と無差別の両方があって良いjという項目に対する肯定 的な意見の優位(rそう思う」+rややそう思うjで92.6%)となって示されていること
になる。
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表8.r体重制について』の自由記述
軽量級が勝つためには寝技を重視した規定や試合後体重を計り軽い方を勝ちにするなどの方法をとる 元来無差別が基本である、体重別をなくす必要はないが無差別の大会をもっと増やすべき
国際規定の無差別(団体も含む)は軽量級が非常に不利なので、もう少し軽量級に有利な規定にしてほしい 体重区分が多すぎる
無差別の試合は観ている人もおもしろいと思う 体重別は色々な選手にチャンスがあるのでよい 無差別は柔道の大きな魅力である
体重別のほうがフェアである
無差別は怪我につながり危険である
元来無差別が基本である、無差別は残すべき
柔よく剛を制すが柔道のおもしろさなので無差別はあるべき
体重別と無差別それぞれに得手、不得手があるので両方あってよい 高校選手権の無差別(個人)を復活してぼしい
国際試合はほとんど体重別なので体重別に慣れる必要がある 体重区分が多すぎる3階級ぐらいにすべき
生涯スポーツの観点から体重別は必要である
遡ってみれば、すでにr II.方法」で述べたように、r体重制」が導入されていく昭 和30年代において、それへの考え方には、r無差別という理想」とr競技としての合 理性による体重制」とが交錯したものであった。そして、それらが「膠着した状態で 今目に至っていると考えられる」という永木による指摘1)は、本調査でも確認された
ことになる。
ここで、筆者の「体重制について」の考えを述べれば、基本的にはやはり、現状肯 定型のr体重制と無差別の両方があって良い」ということになる。だが、さらに具体 的に述べるなら、「体重制の在り方」には柔軟性があって良いと考える。例えば、国 際試合で採用される7階級という区分よりも幅の広い、かって採用されていた「軽量 級・中量級・重量級」の3階級程度で行われる試合が多くあって良いと考える。その
1)永木耕介(2006)嘉納柔道思想の継承と変容一国際化に伴う「教育的価値」と「競技化促 進」の相克一。筑波大学大学院・人間総合科学研究科・博士論文(体育科学),pp.325−335.
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主な理由は、やはり小さな者が大きな者を制するための技術の追求に柔道の魅力があ ると思え、筆者のこれまでの経験からも、3階級程度であればその階級内で互いが十 分に戦えるからである1)。ただし、現行の「国際規定」では、ますます小さな者が大
きな者を制するための技術は発揮しがたくなっていることを指摘しておきたい(そし て、この件については「講道館規定」もほぽ同様)。例えば、平成2年の全目本選手権(講 道館規定を採用)で決勝まで勝ち進んだ古賀稔彦選手(71kg)は、小川直也選手(130kg)
に対して、「片襟を握ること」で攻防していた。このような「片襟」は、それ以後、
「講道館規定」、「国際規定」ともに禁止され、今日に至っている。その背景には、や はり「国際規定」における「時問内で早く勝敗を決着させたい」という志向性が影響 していると思われるが、「片襟」は防御だけでなく、実は攻撃にも有利な技術なので ある。先に示した「自由記述」の中にも、「無差別はもう少し軽量級に有利な規定に してほしい」(34才、5段)とあるように、「体重制」を前提とする規定によって失わ れていく技術があるのである。このような技術的な観点からも、日本国内ではより自 覚的に、「体重制」の区分、そして「無差別」における試合規定への考慮を望みたい。
また、さらに実践的な観点からいえば、細かな体重制は選手に過酷な「減量」を強い るものであるため、国際大会に出場の可能性のある選手は致し方ないとしても、柔道 の大衆化を考える時、実践者の全てが体重に囚われることには問題があろう。
ただし、このような技術的観点、あるいは柔道の大衆化という観点による「体重制」
の在り方について、今日の若い実践者が将来において指導者となった時にどのように 考えるかについては、一抹の不安が残る。図5に示すように、回答者を「30才未満」
1)例えば現行の国民体育大会(団体戦)は、「軽量級・中量級・重量級+無差別」の4階級で 行われているし、種々のマイナーな大会ではそれに準じるような体重区分で行われている試合も
ある。
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