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本研究では、学校現場で行える生物濃縮や海水中の濃度と比較する濃縮係数の大きさを 実感できるような実験の確立を目指し、その目標達成に向けて各実験法の探索・条件の検 討を中心に研究を進めることとした。そのためまず全国のスーパーマーケットや市場で購 入することができ、そこまで高価な品ではないことを条件に実験を行いやすい元素の選定 を行った。その後決定した元素(水銀、ヒ素)に関する生物濃縮を実感できる実験方法の検討 を進めた。まず第一章では本研究の背景、目的、方法を述べて、生物濃縮に関する教科書 調査を行った。

第二章では水銀に関する学校現場で行える実験方法の検討を進めた。最初に選定条件に 合う魚類を決め、メバチマグロなど 5 種類の魚類を選定した。次に効率のよい酸分解方法 を決定するためにマイクロウェーブ酸分解法と湿式分解法の二つの方法を用いて、それぞ れの所要時間や酸化剤の量などの検討を行った。その結果、どちらにもメリットとデメリ ットが存在することが分かった。マイクロウェーブ酸分解ができる環境にあるならばマイ クロウェーブ酸分解法を選択した方がよいと考えられる。専用器具がない場合は湿式分解 法でも十分酸分解が行えたので、学校現場の都合に合わせて分解方法を選択すればよいと 言える。そして調製した魚類の酸分解溶液を用いて、水銀測定装置で生物濃縮が実際に起 きているか確認した後、学校現場でも水銀の生物濃縮や濃縮係数を実感できる実験方法が ないか探索・検討を行った。検討した実験方法は金コロイド溶液と尿を用いた水銀定性実 験である。実験を行った結果、金コロイド溶液が赤色から青色に溶液の色が変化し、水銀 が含まれていることが確認できた。さらにこの反応を利用して比色によって水銀濃度の違 いを確認することはできないか検討を行った。その結果、イワシとマグロの酸分解溶液を 用いた実験で違いを実感できる条件を見出すことができた。今回は一番水銀の濃縮差が大 きいマグロとイワシを比較したが、サバやタラなどでも30倍希釈を基準に希釈倍率を変化 させれば比色実験は可能ではないかと考えられる。以上の結果から測定装置などを用いる ことなく、比色によって簡易的ではあるが水銀の濃度差を肉眼で確認することが、学校現 場でも可能な実験として見出すことができた。

第三章ではヒ素に関する学校現場で行える実験方法の検討を進めた。実験対象にする試 料は海藻の中でも多くのヒ素を含んでいることで有名なヒジキを今回の実験で取り扱うこ ととした。そして第二章と同じようにヒジキの効率のよい酸分解方法を決定するためにマ イクロウェーブ酸分解法とニッケル添加湿式分解法の二つの方法を用いて、それぞれの所 要時間や酸化剤の量などの検討を行った。その結果、ヒ素の場合も水銀と同様でどちらの 酸分解方法もメリットとデメリットがあり、学校現場の都合に合わせて分解方法を選択す ればよいと考えられる。ただ、通常の湿式分解法よりもニッケル添加湿式分解はヒ素の揮 散を抑えながら酸分解が行えるので学校現場にある器具だけでも十分優れた酸分解を行う

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ことが可能であることが分かった。その後調製したヒジキの酸分解溶液を用いて、学校現 場でもヒ素の生物濃縮や濃縮係数を実感できる実験方法がないか探索・検討を行った。最 初に無機金属の予試験として利用されるラインシュ法の実験を実際に行い、検討を進めた。

しかし実験が完了してもヒ素の陽性反応が出ず、一晩放置したところで陽性反応の証であ る黒色の被覆物を確認することができた。しかしこの黒色の被覆物がラインシュ法によっ てできたものか、単なる銅のさびによるものなのか判断することが難しく、ヒ素の存在を 断定することはできない結果となった。次に簡便・迅速で低コストなヒ素の分析方法とし て知られるモリブデンブルー法の検討を行った。結果は非常に良好で、試薬溶液が青色に きれいに変色するため分かりやすくヒ素の濃縮を実感できる結果になった。肉眼ではっき り変化の過程を確認でき、ヒ素の存在を感じることができるので、ラインシュ法よりもモ リブデンブルー法の方がヒ素の濃縮が分かりやすいことが確認できた。このモリブデンブ ルー法によって学校現場でもヒ素の生物濃縮や濃縮係数を実感できる実験方法が見いだせ たのではないかと考える。

本研究では学校現場で行える生物濃縮や海水中の濃度と比較する濃縮係数の大きさを実 感できるような実験の確立を目指し、その目標達成に向けて各実験法の探索・条件の検討 をしてきた。実際の授業実践など課題はまだあるが、水銀やヒ素の生物濃縮に関する簡便 でかつ分かりやすい実験方法を一つのモデルとして提供することができたのではないかと 考える。ただ、先ほども述べたとおり授業実践にまでは至っていないので実際に授業を行 い、生徒たちの反応を見てより授業のしやすい形にしていくことがこれからの課題である。

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ドキュメント内 生物濃縮を実感できる実験方法の探索 (ページ 45-50)

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