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た.耐熱性に関しては,NBR中においてもSWCNTがラジカル補足性能を発揮することを 示唆した.耐摩耗性では,カーボンブラック配合ゴムは従来提唱されているように摩耗量 が硬度に依存するのに対し,CNT,特にSWCNTは摩耗量が硬度に依存せず,CNT/NBR 複合材料の摩耗メカニズムがカーボンブラック/NBR複合材料とは異なることが判明し た.

第三章では,CNT/NBR複合材料の30 ~ 90 MPaの高圧水素曝露による水素侵入量と体 積変化の関係を検討した.結果,従来のフィラーでは両立できなかった水素侵入量と体積 変化をCNTにより両立可能であることを明らかとした.また,水素侵入量は配合組成が支 配的で,体積変化はフィラーの分散構造が支配因子であることが判明した.特に,

SWCNTは高圧水素曝露による体積変化抑制に優れることがわかった.更に,SWCNTは 少量添加の配合設計が可能であるため,ゴム材料中の水素の拡散係数が高い設計にするこ とが可能となることがわかった.以上の結果から,CNTゴム複合材料は既存フィラー配合 ゴムより,ブリスタ破壊およびはみ出し破壊に対する耐性に優れたゴム材料であることを 示唆した.

第四章では,CNT構造と高圧水素曝露による水素吸着との関係を明らかとするため,

CNT配向集合体の長さおよびCNTバンドル径の異なるCNT単体のバッキーペーパーを作 製し,高圧水素曝露による水素量との関係を検討した.その結果,CNT配向集合体の長さ が吸着と考えられる水素量と強い相関を示すことを明らかとした.CNTが長い程,吸着水 素が少ない傾向を示しており,CNT開口末端への物理吸着が示唆された.また,CNT解 繊度との関係から,CNT-CNT間に侵入した水素は脱離が遅いことが示唆された.脱離 が遅い水素や吸着水素の成分量が多いと,高圧水素曝露後の減圧の際,ゴム材料中に侵入 した水素が拡散されにいため,内部破壊を促進し,耐久性が悪化することが考えられる.

ゴム材料の耐久性向上のためには,高圧水素特性としてフィラーに由来する脱離が遅い水 素および吸着水素が少ないことが良い.以上の結果から,高圧水素特性に優れたCNT構造 は,内径が小さく,長さが長く,かつ,バンドル径が小さく,解繊度が高い構造であるこ とを示した.

第五章では,第三章で高圧水素特性を評価したSWCNT/NBR複合材料のシール材として の耐久性を検討した.その結果,従来配合設計と比較してフィラー量が非常に少ない SWCNT/NBR複合材料のOリングが,最大圧力90 MPa,30 ℃,水素加減圧サイクル試験 において,水素シール材として適用できることを示した.また,SWCNTの分散性が高圧 水素曝露による破壊に与える影響を検討した結果,SWCNTを均一に分散することではみ 出し破壊を抑制できることを明らかとした.

105 第六章では本論文を総括した.

これらの成果は,今後の燃料電池車の普及に向けた高耐久の高圧水素用シール部材の開 発に貢献できると期待している.

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本論文に関する研究論文および研究発表

(学術論文)

・武山慶久, 上野真寛, 上島貢, 藤原広匡, 西村伸, “高圧水素特性に優れたカーボンナノチ ューブ/ゴム複合材料の開発”, 高分子論文集, (2019) in press.

(解説)

・武山慶久, 上島貢, “芳香環を繋げる~ナノカーボンの構造と機能”, 化学と教育, 65, 556 (2017).

(学会発表)

プラスチック成形加工学会 第28回年次大会(船堀 2017年6月)

スーパーグロースカーボンナノチューブ/ゴム複合材料の高圧水素特性

第10回ナノカーボン実用化推進研究会(東京大学 2018年3月)

カーボンナノチューブ/ゴム複合材料の高圧水素特性

第68回高分子学会年次大会(大阪 2019年5月)

カーボンナノチューブ/ゴム複合材料の構造と高圧水素特性

(特許)

本研究に関する特許出願 2件

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