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ドキュメント内 遺伝子導入用ベクターとしての (ページ 72-76)

本研究では, 非ウイルスベクター の遺伝子発現の改善を目的として, スターバース トポリアミドアミンデンドリマーと CyD 結合体 (CDE conjugate) を調製し, それらの遺 伝子導入用ベクターとしての有用性を評価した. まず, CyD 空洞径の異なるα-, β-, γ-CyDs とデンドリマー (G2) との結合体を調製し, それらの物理的特性や遺伝子導 入効率について検討した. 次に, generation の異なるデンドリマーとα-CyD との結 合体を調製し, それらの 遺伝子導入効果を比較検討した. さらに, デンドリマー

/α-CyD 結合体の遺伝子発現効率の向上, ならびに α-CyD の遺伝子発現促進機

構の解明を企図して, デンドリマー (G3) に α-CyD を複数個導入した結合体を調製 し, それらの遺伝子導入効果について検討した. 以下に本研究で得られた知見を総 括する.

1) p-トルエンスルホニル 化 α- 及び β-CyDs あるいはナフタレンスルホニル化

γ-CyD とデンドリマーを反応させて, デンドリマー/CyD 結合体 (CDE conjugates) を調製した. 1H-NMR スペクトル や薄層クロマトグラフィーによる検討から, CDE conjugates は CyDs とデンドリマーがモル比 1:1 で結合していることを確認した.

2) pDNA と CDE conjugates 複合体形成に及ぼす混合比の影響をアガロース電気

泳動により検討した. pDNA バンドはベクターの添加量の増大, すなわち正のチ ャージ比 (ベクター/pDNA) の増加に伴い薄くなり, いずれのベクターもチャージ 比 1/1 で pDNA バンドは消失した. これらの結果から, デンドリマーは pDNA と静電的相互作用により複合体を形成し, チャージ比 1/1 で複合体の正味の電荷 が正に傾くことが示唆された. また, CDE conjugates はデンドリマーと類似した様

式で pDNA と複合体を形成するものと推察された.

3) CDE conjugate の遺伝子発現効果はデンドリマー単独よりも大きく,特に α-CDE conjugate が最も高い遺伝子発現効果を示した. α-CDE conjugate はチャージ比

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が 100/1 以上ではデンドリマー単独の 100 倍高い遺伝子発現を示すとともに, その効果はポジティブコントロールに用いた TransFast™ よりは低いものの, 標準 的な遺伝子導入用カチオン性リポソームである Lipofectin™ よりも高い遺伝子発 現を示した.

4) 各 generation (G2, G3, G4) のデンドリマー と α-CyD との結 合 体を調製 し,

1H-NMR スペクトルの検討から, α-CDE conjugate は α-CyD とデンドリマーがモ ル比 1:1 で結合していることを確認した.

5) 各デンドリマー (G2, G3, G4) ならびに α-CDE conjugates/pDNA 複合体の粒子 径 および ζ-電 位 について検討 した. その結果, 各 デンドリマー と α-CDE

conjugates (G2, G3, G4) の各物理的パラメータ間に有意差は観察されなかったた

め, α-CyD はデンドリマー/pDNA 複合体の物性にはほとんど影響を及ぼさないも

のと推察された.

6) 各デンドリマーならびに α-CDE conjugates (G2, G3, G4) の遺伝子導入効率につ いてルシフェラーゼ遺 伝 子 を用 い て検 討 を行 った. そ の結 果, NIH3T3, RAW264.7 細胞において α-CDE conjugates による遺伝子発現の促進効果が観 察され, 特に α-CDE conjugate (G3) の遺伝子導入効果が最も高かった. また, 細胞に対する障害性を WST-1 法を用いて検討した結果, α-CDE conjugates (G2, G3) の細胞障害性は低いものと推定された.

7) α-CyD の平均置換度 (DS) が異なるデンドリマー (G3) との結合体 (DS 1.1, 2.4, 5.4) は, トシル化 α-CyD の添加量を変化させて合成した. 1H-NMR スペクトル より, α-CDE conjugates 中の α-CyD 平均置換度は, それぞれ 1.1, 2.4, 5.4 であ ると推定された.

8) デンドリマーならびに各 α-CDE conjugates (DS 1.1, 2.4, 5.4) の膜破壊能を評価す

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るため, 蛍光色素カルセインを封入したリポソームからのカルセイン溶出率を測定し た. その結果, デンドリマーおよび低置換度の α-CDE conjugate (DS 1.1) は膜 破壊能は見られなかったが, 高置換度の α-CDE conjugates (DS 2.4, 5.4) の膜破 壊能は濃度依存的に増大した.

9) デンドリマーならびに各 α-CDE conjugates (DS 1.1, 2.4, 5.4) を用いて, NIH3T3 と

HepG2 細胞へのルシフェラーゼ遺伝子導入効率を比較すると, 3 種の α-CDE

conjugates の中で, α-CDE conjugate (DS 2.4) が最も高い導入効果を示した.

NIH3T3 細胞において, デンドリマーとα-CDE conjugates の遺伝子導入効率は チャージ比 (vector/pDNA) の増加に伴い増大した. 一方, HepG2 細胞では, NIH3T3 細胞ほどの顕著な変化は観察されなかったが, α-CDE conjugate (DS 2.4) の導入効果はチャージ比 400/1 で最大値を示した.

10) デンドリマーと各 α-CDE conjugates (DS 1.1, 2.4, 5.4) を用いて, NIH3T3 およ び HepG2 細胞へ GFP 遺伝子導入後の発現変化をフローサイトメトリーにより検

討した. その結果, α-CyD 残基は導入効率の改善に加え, 個々の細胞への導入

効率も改善することが示唆された.

11) デンドリマーならびに各 α-CDE conjugates (DS 1.1, 2.4, 5.4) を用いて, ルシフ ェラーゼ遺伝子をマウス尾静脈内に投与すると, α-CDE conjugate (DS 2.4)/pDNA は 12 時間後に脾臓で著しい遺伝子発現が確認され, 24 時間後には, 肝臓にお いて遺伝子発現の増大が観察された. α-CDE conjugate (DS 2.4) の細胞障害性 は α-CDE conjugate (DS 5.4) に比べて弱いことから, 今回調製した各種ベクター の中で, α-CDE conjugate (DS 2.4) は遺伝子導入用ベクターとして最も優れるもの と推定された.

デンドリマーの遺伝子導入効果は CyDs 付加により増大し, その効果は α-, β-,

γ-CyD の中で α-CyD が最も優れることが明らかとなった. 一方, デンドリマー部分

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の generatio n の違いを比較すると, G2〜G4 体の中で G3 体が最も優れていた.

さらに, 結合体中の α-CyD の数を比較すると, DS 1.1, 2.4, 5.4 の中で DS 2.4 結合 体が最も優れた導入効果を示した. α-CyD による発現効果の増大には, α-CyD の 包接機能に基づくエンドソーム膜破壊のみならず, デンドリマーのプロトンスポンジ効 果などが複雑に関与するものと推定された. また, 今回調製したベクターは様々な細 胞への遺伝子導入効率を改善したことから, より多くの細胞への導入が必要とされる 遺伝子に対して効果的であると思われる. さらに, α-CDE conjugate (DS 2.4)/pDNA をマウス尾静脈内に投与すると, 脾臓において高い遺伝子発現が認められたことから, 脾臓選択的な DNA 送達用担体としての利用が期待される. 特に, 脾臓は全身性 の免疫応答を担う代表的な末梢リンパ組織であるため, α-CDE conjugates は全身系 免疫を賦活化する DNA ワクチン用アジュバントとしての有効利用が期待される. さ らに, 標的指向性を有する置換基 (たとえば, ガラクトースやマンノースなど) を α-CDE conjugates に導入すると, 臓器特異的な DNA 送達が可能になり, その応用 範囲はさらに拡大するものと考えられる.

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