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7章 総括

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脂よりも安定したレオロジー特性を示すこと,食材と混和して粉砕するだけで,軟らか くなることを明らかにした。特に高齢者が食べにくかった肉に関しては,フードプロセ ッサーで混和するだけの工程で,舌でつぶせるかたさまで軟らかくすることが可能であ る。咀嚼能力と栄養摂取との関連を調査した先行研究によると,噛めない群は噛める群 に比べて,エネルギー,蛋白質,脂質の摂取量が有意に低いこと,およびエネルギー比 では蛋白質と脂質が低く,糖質エネルギー比は高い傾向にあったことが報告されている

103)。また別の研究においても,噛めない群の摂取エネルギー量,及び脂質エネルギー比 は有意に少なく,炭水化物エネルギー比は有意に大きかったことが示されている104)。こ のことは咀嚼機能が低下すると,軟らかい食物を中心に摂取するため,エネルギーや脂 質の摂取量が少なくなることが要因であり,咀嚼機能の低下した要介護高齢者において は健常人に比べて脂質を積極的に摂取する必要性があると考えられる。一方,ゲル状油 脂を使用する際の注意点は付着性の上昇である。付着性を低減する方法として水分の添 加が有効と分かったため,べたつきが気になる場合は若干の加水をして,付着性の低減 を試みるのが良いと考えられる。また本研究で開発した肉・魚を中心とした介護食レシ ピの普及には調理実習などの活動も必要であろう。

我が国で高齢者の低栄養が知られるようになったのは,施設や病院の高齢者の約4割,

在宅高齢者の約3割が血清アルブミン値3.5 g/dl以下,すなわちたんぱく質エネルギー低 栄養状態(PEM)であるという報告がきっかけであった15)。その後,平成17年10月の 介護保険制度の改正により介護保険施設においける栄養ケアマネジメント(NCM)が導 入され,個別評価での栄養アセスメントが普及し,施設入所者に関しては一定の効果が 現れている。しかしながら,在宅高齢者に関してのフォローはまだ徹底されておらず,

直近の研究報告では約7割が低栄養,もしくは低栄養のリスクがあったとしている105)。 2014年に農林水産省は新しい介護食品の呼称として「スマイルケア食」を発表した106)。 同省ではスマイルケア食の導入で期待される効果として,介護食品の認知度向上や,在 宅と施設での食形態の統一化による食事指導の容易さの他,高齢者の低栄養に関する認 知度の向上も掲げている。このように,これまでにないほど低栄養への関心が高まって いることからも,本研究の目的である食べやすく,栄養を充足しやすい新しい介護食を 開発するという着眼点はスマイルケア食の先駆けとなるものであったと考えられる。

また2015年度より「日本人の栄養摂取基準」が5年ぶりに改訂され,油脂の摂取目安 量の上限が25%から30%に上げられた。油脂をエネルギー補給の目的で利用することに

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る活用が期待できる。食品の栄養評価に「栄養素密度(Nutrition Density)」という考え方 がある。従来の重量当たりの栄養価でなく,エネルギー当たりの栄養価で算出する考え 方であるが,これからの新しい介護食には,食べやすさと高い栄養素密度を兼ね備えた ものが必要になることは間違いない。本研究で得た成果が新しい介護食の普及に寄与す ることが大いに期待される。

謝辞

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謝辞

私の学位審査に際し,多大なご教示を戴きました公立大学法人県立広島大学大学院総 合学術研究科生命システム科学専攻 小野武也教授に心より御礼を申し上げます。

在学中ならびに単位取得満期退学後も,親身にご指導くださった公立大学法人県立広 島大学大学院 武藤徳男名誉教授に心より御礼を申し上げます。

また栢下研究室の一員として多大なご教示と専門領域に関するご指導を戴きました公 立大学法人県立広島大学大学院人間文化学専攻 栢下淳教授に厚く御礼を申し上げます。

お忙しい中,本学位論文のご審査を賜りました公立大学法人県立広島大学大学院総合 学術研究科 田井章博教授,斉藤靖和准教授に感謝の意を表します。

そして本研究の遂行に際し,多くのご支援を戴きました国立大学法人東京医科歯科大 学大学院医歯学総合研究科 植松 宏元教授,戸原 玄准教授,中根綾子先生,高島真穂 先生,鈴鹿医療科学大学 中東真紀准教授,またご助言を戴きました太田清人先生,青山 敏明様,渡邉慎二様,野田竜二様,松居夏代様をはじめとする日清オイリオグループ株 式会社の皆様に深く感謝を申し上げます。

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