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3-3-1 方法 1) 試料

食材には先行研究 65)を参考にパサつきやすく高齢者が食べにくい鶏ささみ肉を選んだ。

皮と筋を取り除いて下処理した鶏ささみ肉200 gに対し,15gの酒を加え,ラップをして 電子レンジ(500W)で4分間加熱し,前項A~Fの油脂をそれぞれ食材比20%(w/w)

にて添加した。その後,フードプロセッサー(クイジナート: DLC-10PRO)にて,途中 ヘラでかき混ぜながら断続的に1分間粉砕した。これらを直径40 mm,高さ15 mmのス テンレス製シャーレに充填後,5℃,25℃,60℃に設定したインキュベーターで 2±1 時 間保管し,物性測定に供した。同様の方法で油脂を添加しないものを作成し,物性測定 に供した。

2)物性評価

物性評価はクリープメーター(RE-33005:山電(株))を用いた。測定方法は直径20 mm のアクリル樹脂製プランジャーを用いて,圧縮速度10 mm/sec,クリアランス5 mmで 定速2回圧縮測定した。測定は同一資料において各3回行い,得られたテクスチャー曲 線により,硬さ,付着性,凝集性を算定し,平均値±標準偏差で示した。

3)統計処理

物性評価結果は,各項目毎に一元配置分散分析を行い,試料間に有意差が出た場合は

Bonferroni/Dunn法による多重比較検定にて,有意水準をp<0.05とした。

3-3-2 結果

鶏ささみ肉へ油脂を添加した際のレオロジー測定結果をTable 3-2に示す。また,各温 度における硬さ,付着性,凝集性の各グラフをFig. 3-4~6に示す。硬さに関しては,油 脂を添加したすべての試料は,未添加よりも軟らかくなり,5℃のバターを除くすべての 試料が,未添加より有意に低値となった。油脂間の比較では,5℃,25℃,60℃のいずれ の温度でも,ゲル状油脂を添加した試料が最も軟らかくなった。5℃ではラード,生クリ

3章 咀嚼補助用ゲル状油脂と他の油脂との比較

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ーム,バターを添加した試料に対して有意に軟らかく,25℃では他の油脂を添加した試 料のいずれよりも有意に軟らかくなった。ゲル状油脂に次いで軟らかい傾向がみられた のは液状油を添加した試料で,5℃ではラード,生クリーム,バターを添加した試料に対 して有意に軟らかく,25℃では生クリーム,バターを添加した試料と比較して有意に軟 らかくなった。一方,60℃においては,試料間の有意差は認められなかった。

凝集性に関しては,試料間のバラつきが小さかった。各温度における比較では5℃およ

び25℃ではゲル状油脂を添加した試料,60℃では未添加の試料が最も高値を示した。有

意差が認められたのは,5℃におけるゲル状油脂を添加した試料と未添加と液状油,ラー ド,バターを添加した各試料間のみで,25℃,60℃においてはいずれの試料間にも有意 差は確認されなかった。

付着性に関しては,油脂を添加した試料は,温度の上昇とともに付着性が低下する傾 向があった。5℃では油脂を添加した試料は,いずれも未添加よりも高値を示した。その うち,固形状態であるラード,マーガリン,バターを添加した試料はいずれも7000 J/m3 以上の高値を示し,これら 3 種類と生クリームを添加した試料は未添加よりも有意に高 くなった。25℃においても,油脂を添加した試料は液状油を除いて,すべて高値になる 傾向が見られたが,有意差は確認されなかった。一方,60℃では油脂を添加することで 未添加に比べて付着性が低下し,油脂を添加した試料はすべて未添加よりも有意に低値 を示した。

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Table 3-2 レオロジー測定結果 (a) 5°C

硬さ(N/m2) 凝集性 付着性(J/m3) 未添加 80,432 ± 10961 a 0.57 ± 0.01 b 3996 ± 937 b ゲル状油脂 24452 ± 531 d 0.68 ± 0.02 a 5834 ± 273 b 液状油 32776 ± 1592 d 0.56 ± 0.02 b 5060 ± 570 b ラード 52026 ± 3326 bc 0.57 ± 0.06 b 7943 ± 1276 ab 生クリーム 49841 ± 2409 c 0.61 ± 0.01 ab 7402 ± 313 ab マーガリン 37563 ± 1735 cd 0.61 ± 0.00 ab 7107 ± 592 ab バター 65969 ± 2819 ab 0.56 ± 0.03 b 11193 ± 809 a

(b) 25°C

硬さ(N/m2) 凝集性 付着性(J/m3)

未添加 76582 ± 1283 a 0.57 ± 0.01 4456 ± 657

ゲル状油脂 20706 ± 294 e 0.64 ± 0.06 4542 ± 538

液状油 27782 ± 765 d 0.56 ± 0.04 3735 ± 620

ラード 30487 ± 819 cd 0.57 ± 0.02 4828 ± 571

生クリーム 42765 ± 1019 b 0.55 ± 0.01 4960 ± 256 マーガリン 29447 ± 147 cd 0.53 ± 0.01 4564 ± 539

バター 31736 ± 1149 c 0.55 ± 0.05 4494 ± 549

(c) 60°C

硬さ(N/m2) 凝集性 付着性(J/m3)

未添加 58789 ± 6888 a 0.61 ± 0.00 3603 ± 500 a

ゲル状油脂 13631 ± 389 b 0.56 ± 0.02 2121 ± 76 b

液状油 19666 ± 1550 b 0.58 ± 0.02 2310 ± 209 b

ラード 19458 ± 147 b 0.58 ± 0.01 2307 ± 398 b

生クリーム 14151 ± 641 b 0.59 ± 0.01 2388 ± 266 ab マーガリン 17273 ± 1283 b 0.57 ± 0.03 2636 ± 337 ab バター 14671 ± 883 b 0.59 ± 0.03 2524 ± 446 ab

※数値=平均±標準偏差を示す。(n=3)

※各評価項目において,異なるアルファベットが付けられているものに有意差があることを示す。

(p<0.05)

3章 咀嚼補助用ゲル状油脂と他の油脂との比較

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Fig. 3-4 レオロジー測定結果(硬さ)

Fig. 3-5レオロジー測定結果(凝集性)

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 90,000 100,000

未添加 ゲル状油脂 液状油 ラード 生クリーム マーガリン バター

硬さ/2

5℃

25℃

60℃

0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80

未添加 ゲル状油脂 液状油 ラード 生クリーム マーガリン バター

凝集性

5℃

25℃

60℃

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Fig. 3-6レオロジー測定結果(付着性)

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000

未添加 ゲル状油脂 液状油 ラード 生クリーム マーガリン バター 付着性(/m3

5℃

25℃

60℃

3章 咀嚼補助用ゲル状油脂と他の油脂との比較

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