第4章 咀嚼補助用ゲル状油脂の飲み込み特性改善
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ゲル化剤で調製した試料P~R,ならびに前項で測定した試料A,F,Iの物性測定結果
をTable 4-6に示す。硬さは,ゲル化剤,およびゲル状油脂(以下,油脂とする)で調製
した試料はいずれも未添加の試料Aより有意に低くなった。また油脂で調製した試料F はゲル化剤濃度1.0%の試料Rよりも有意に軟らかく,油脂と増粘剤で調製した試料Iは ゲル化剤濃度0.75%,1.0%の試料P,Qよりも有意に軟らかくなった。ゲル化剤で調製 した試料間では試料PとRの間に有意差を認めた。凝集性に関しては,未添加の試料A との比較において,油脂で調製した試料F,Iともに有意に高くなったが,ゲル化剤で調 製した試料Rは有意に低かった。ゲル化剤濃度1.0%の試料Rは,他のいずれの試料より も低くなった。付着性については,有意な差は検出されなかった。
Table 4-6 ゲル化剤との物性比較
試料 硬さ(N/m2) 凝集性 付着性(J/m3)
A 41236 ± 2504a 0.58 ± 0.00 b 1863 ± 240
F 11134 ± 1751cd 0.64 ± 0.03 c 2338 ± 318
I 6784 ± 72 d 0.72 ± 0.02 d 2010 ± 50
P 10821 ± 1135cd 0.63 ± 0.01 bc 2659 ± 253○
Q 12153 ± 1671c 0.60 ± 0.01 bc 2754 ± 496○
R 19229 ± 706 b 0.51 ± 0.03 a 2818 ± 545○
※数値=平均±標準偏差を示す。(n=3)
※各評価項目において,異なるアルファベットが付けられているものに有意差あり。(p<0.05)
4-3-3 考察
ゲル状油脂を用いる方法は,ゲル化剤に比べ加水量が少ないため,栄養摂取面での利 点が期待できる。Table 4-7に本項で用いた赤魚の試料を調製する際の食形態や加水量の 違いによる栄養量の違いを示した。ゲル化剤の場合は50%量の加水を行うので,素材の
みよりも100 gあたりで34 kcal低下してしまう。これは主菜1品あたりの重量を70 gと
すると,1日(3食)では72 kcalの減少となる。それに対しゲル状油脂の場合は,100 g
あたりで131 kcalのエネルギーが摂取できる。付着性に配慮した水を20%加えた場合で
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も,100 gあたりで95 kcalのエネルギーが余計にとれることになり,食事量を満足に摂取
できない場合に効率的にエネルギーを充足することが期待できる。
Table 4-7 食形態毎の栄養量の違い(仕上がり重量100 gあたり)
調製方法 素材のみ ゲル化剤 ゲル状油脂 ゲル状油脂
加水量(赤魚比) - 50% 20% -
エネルギー
(kcal) 116.3 82.3 211.6 246.9
水分(g) 74.8 81.8 67.7 62.3
蛋白質(g) 21.0 14.6 15.0 17.5
脂質(g) 2.9 2.0 16.3 19.1
※1赤魚は,レンジ加熱時に約20%がドリップとして流出するとして計算。
※2加水したものは調理過程での水分蒸発量の補正を行うため,あらかじめ加熱前と加熱後での重 量を測定して計算。
同時に給食での採用に際してはコストも重要視される。Table 4-8にそれぞれの食形態 での原料コストを算出したものを示した。仕込み重量をベースにしたコスト計算ではゲ ル状油脂を用いるとやや割高となるものの,エネルギーあたりのコスト計算では大幅に コストを抑えることが可能になる。また仕上がり重量をベースにした場合では,食材の 使用量を抑えることになることで,総コスト額を低減できる。さらにゲル化剤との比較
でも約130 kcalのエネルギーを15円の価格で入手できるとすれば,補食として利用して
いた栄養補給食品をカットすることで,更なるコスト削減が可能になる。
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調製方法 素材のみ ゲル化剤 ゲル状油脂 ゲル状油脂
加水量(赤魚比) - 50% 20% -
仕込み
1食あたり 118.8 122.3 138.4 138.4
仕上がり
100gあたり 135.7 103.4 119.8 136.3
仕上がり
100kcalあたり 116.7 125.7 56.6 55.2
※1各素材の原料コスト:赤魚1.36円/g,ゲル状油脂1.40円/g,ゲル化剤5.00円/gとして計算。
※2仕込み1食あたりは,赤魚の仕込みを87.5 gにて計算。