本研究では,CNT薄膜の高性能熱伝導材料への応用可能性の検討を目的とし て,CNT薄膜の熱伝導特性におけるCNT構造依存性,CNT膜厚依存性につい て調べ,CNT薄膜を熱伝導材料として応用するうえで問題となる接触熱抵抗の 改善を試みた結果を以下に示す。
熱伝導のCNT薄膜による影響
垂直配向成長した CNT 薄膜を金属棒と基板間に挿入することによって,金 属棒とSiO2基板および Si基板の接触界面表面にCNT が密着することにより,
熱伝導が促進されることがわかった。
CNT薄膜構造比較
MWCNT,SWCNT,Fe@CNTの3種類の構造のCNT薄膜の熱伝導特性に,
大きな違いは確認されなかった。CNT 薄膜の熱伝導特性は個々の CNT の熱伝 導率とCNT成長密度の関係によって左右される。熱伝導率6 W/m-Kの放熱グ リスと比較し,同様の熱伝導特性が得られたことから,CNT薄膜の熱伝導率は 1桁程度であることがわかった。
MWCNT薄膜の熱伝導におけるCNT膜厚依存性
MWCNTの結晶性が悪く,個々のMWCNT の熱伝導率は悪いことに起因し
て,MWCNT薄膜の膜厚を増加すると熱伝導は低下することがわかった。
MWCNT薄膜上に堆積した金属薄膜による熱伝導への影響
MWCNT先端付近は,不均一なCNT長さのために密度が薄く,金属を堆積
させると個々の CNT に絡みつくように形成される。そのため,MWCNT 表面 上に金属薄膜を堆積することによって熱伝達経路に金属棒-金属薄膜,金属薄膜 -CNTが追加され,接触熱抵抗が増加したため熱伝導特性が悪化したと考えられ る。
CNT薄膜のバッファ層による熱伝導への影響
熱CVDによるCNT生成では,金属薄膜触媒上にCNTが成長する。CNTと CNT成長基板の間の接触熱抵抗改善のため,バッファ層としてTiを5 nm堆積 してCNT成長を行ったが,熱伝導特性は改善されなかった。
CNT薄膜の金属触媒膜厚による熱伝導への影響
CNT成長の際の核となる金属触媒の膜厚を増加させることによって,大きな 触媒微粒子が形成され,成長するCNTの基板との接着力が高められた。その結 果,CNT-基板間の接触熱抵抗が減少し,CNT薄膜の熱伝導特性が改善された。
以上の結果より,CNT 薄膜を熱伝導材料として用いる場合,CNT 薄膜成長 時に基板上に形成する触媒層の膜厚を適切に制御することにより,熱抵抗を減 少させることができることが確認された。
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