本研 究ではまず
,予
備調査 1・ 予備調査2で
加 害者家族 に対す る感情,主
に非難感情 を明 らかにす るために調査 を行 つた。 次 に本調査 として
,犯
罪被 害者 を支援 してい る人 と非 支援者 において,加
害者や加 害者家族 に対す る非難感 情 に違 いが あるのか を明 らか にす る た めに調査 を行 つた。本 章ではまず結果 の概略 をま とめ (第
1節 ),本
研 究の結論 と理論 的位置づ けを述べ る(第
2節
)。 最後 に本研 究の問題 点 と今後の課題 を考察す る (第3節
)。第1節
結果の概略
本節では
,本
研究の結果の概略について記述す る。まず,予
備調査 1。 予備調査2で
得られた知見を第
1項
で,そ
の後に本研究で得 られた知見を第2項
で述べる。第
1項
予備調査1・ 予備調査2の
結果予備調査1では一般人が加害者家族に抱 く感情を調査 した。そこか ら本研究では加害者 家族に対する非難感情に焦点を当てることとしたため
,予
備調査2で
は加害者家族への非難感情を測定する尺度を作成 し
,信
頼性 と妥当性 を検討 した。予備調査
1よ
り,一
般人が加害者家族に対 して抱 く感情は 「非難」「同情」「怒 り」「悲 しみ」であつた。その他,加
害者 と家族のコミュニケーシ ョンや関わ りを問題視す る意見 や,事
件後の家族の負担を懸念す る声などが挙げられていた。 このように して抽出 された キー ワー ドを参考に し,以
降の調査で用いる質問項 目を作成 した。予備調査
2で
は,作
成 した質問項 目を用いて調査 を行つた。加害者家族に対す る感情や 意見について質問紙を実施 し,因子分析を した結果,「非難 ∈=。99」
「負担(F.89」
「関 係 (『.81)」 「同情(F.70」
の4因
子が抽出された。そこか ら本研究では 「非難」因子 を「加害者家族非難」尺度 とし,2次
因子分析を したところ,「家庭環境非難 (F。80」
「家 族成員非難 G=.8つ 」の2因
子が抽出 された。α係数の値か ら,十 分な信頼性が確認 され,さらに内容的妥当性 も持ち合わせていると判断 した。その他の尺度間の相関係数を算出 し た ところ
,加
害者非難尺度は倫理的非難尺度 と低い正の相関を,厳
罰志向性尺度 とは正の 相関を示 した。また,倫
理的非難尺度は厳罰志向性尺度 と正の相関を示 した。次にそれぞれの尺度について
,男
女で比較す るために,平
均値の差の検定を行つた。検第
5章
総合考察定 の結果
,倫
理的な悪行為 に対す る非難感情 は,女
性 よ りも男性 の方が強い こ とと考 え ら れ た。第
2項
本調査の結 果本調査 では加 害者や加 害者家族 に対す る非難感情 が
,支
援者 と非支援者 では異 な るのか を検討 した。尺度間の相 関結果 については予備調査
2の
結果 と一致 していた。 また支援者 に対 しての み,K6を
用いて精神 的健康度 を測定 したが,他
の尺度 との相関は見 られ なかった。それぞれ の尺度 につ いて
,支
援者 と非支援者 で比較す るために,平
均値 の差 の検 定を行 った。検定の結果,加
害者へ の全般的な非難感情,加
害者へ個人的 に罰 を与 えたい とす る 非難感情,倫
理的な悪行為 に対す る非難感 情 は,支
援者 よ りも非支援者 の方 が強 い ことと 考 え られ た。 また,厳
罰 志 向性 は,非
支援者 よ りも支援者 の方 が強い こ とと考 え られた。支援者 内において
,男
女で平均値 の差 の検 定 を行 つた結果,加
害者 へ の非難感 情,加
害 者 家族へ の非難感 情,倫
理的な悪行為 に対す る非難感 情,厳
罰 志向性,す
べてにおいて女性 よ り男性 の方が強い ことと考 え られ た。 また
,直
接支援経験 の有無や支援年数 な ど,他
の群分 けでは有意差 を見出す ことは出来なかった。
第
2節
本研究の結論 と理論的位置づけ本節では
,本
研究の結論を加害者家族 (第10,支
援者 と非支援者 における非難感情 と厳罰志向性 (第20,男
女別に見た非難感情 と厳罰志向性 (第3項)の 3点
に分けて考 察 し,理
論的位置づけを述べる。最後にま とめ として本研究において導かれた結論 を示す(第
4つ
。第
1項
加害者家族について本研究における第一の 目的は
,一
般人が加害者家族 に対 して抱 く感情を明 らかにするこ とであつた。これまでの加害者家族研究は,実
態調査 (高橋,2010;阿
部,2014な
ど)や
加害者家族 と接触経験のある警察官に行われたもの (杉本
,2011)力
`主であった。その点 本研究では,一
般人か ら見た加害者家族 とい う視点を取 り入れ ることで,加
害者家族をさらに多面的に捉 えることを可能に した と言 える。
予備調査
1で
は犯罪事例 を用いて,一
般人が加害者家族 に抱 く感情や意見を調査 した(第
2章
)。 まず,犯
罪の原因や責任が家族にあるとし,家
族か ら加害者への愛情不足や コ ミュニケーシ ョン不足,家
庭環境の悪 さな どが犯罪に繋がつているとす る意見は,家
族に 対す る非難感情であ り,「犯罪の原因」として家族を捉 えていると解釈 され る。さらに家族 の1人
が犯罪者 になったことで他の家族成員に怒 りが向けられ,そ
の家族 との関わ りを拒 否す る,と
い う構造が明 らかにな り,こ
のような現状が加害者家族の孤立に繋がっている のではないか と推測 され る。次に
,犯
罪行為後に家族 と加害者の関係は変化 し,家
族は加害者の心の支えとなるだろ うとす る意見は,家
族に対す る期待を含んでお り,「更生の場」として家族 を捉 えていると 解釈 され る。家族を加害者のサポー ト源 となるポジティブな存在 として捉えていると思わ れ るが,一
方で再犯防止のために家族が加害者 を見張る存在 として機能 してほ しい とい う 意見 も含んでいると推察 され る。最後に
,家
族に対 して辛 さや同情を抱いていた り,家
族にかかる負担を懸念 している意 見は,家
族を加害者同様に扱 う社会を想定 してお り,「被害者」として家族 を提えていると 解釈 され る。これは家族に非難や攻撃が向けられることによつて生 じる側面であ り,「犯罪 の原因 としての家族」 とい う視点 とは切 り離せないものであると考えられ る。以上より
,本
研究か ら得 られた知見は,望
月(1980の
理論 と一致 してお り,特
に加害 者家族に向けられ る非難は,家
族への実態調査や鈴木(2010を
裏付ける結果 となった。また上記以外の結果 として,「犯罪行為が発生 した後,加害者家族は外部の人間に相談す るだろ う」とい う意見が挙げられた。しか しカロ害者家族の困 りごととして「事件について,
安心 して話せ る人がいなかつた」 こと(高橋
,2010や ,支
援 を受けることに罪悪感 を持 つ人 も存在 している (阿部,201の
ことが先行研究において問題視 されている。つま り, カロ害者家族が相談相手を求めていなが ら,な
かなかそのよ うな相手や機会を得 られていな い とい うのが実状であろ う。予備調査
2で
は,加
害者家族に向けられ る感情や意見を改めて整理 した (第3章
)。 調 査 の結果,一
般人は加害者家族に対 して非難感情を向ける他に,家
族の負担への懸念,関
係変化への期待
,同
情を抱いていることが明 らか となった。本研究では,加
害者家族に対 す る非難に主な焦点を当て,非
難感情をさらに 「家庭環境への非難」 と「家族成員への非 難」に分類 した。「家庭環境への非難」とは,加 害者が置かれてきた家庭内の環境によつて,第
5章
総合考察犯罪が生 じた とす る考えである。加害者 と家族の相互関係 をま とめて問題視 している傾向 が強 く
,両
者への非難であると解釈 される。「家族成員への非難」とは,家
族の構成員の過 失 によつて,犯
罪が生 じたとする考えである。家族の油断や不注意を問題視 している傾 向 が強 く,加
害者を除 く家族への非難であると解釈 される。以上よ り
,犯
罪が起こると,加
害者を含んだ家族やその環境 を一つのまとま りとして非 難す る態度 と,カロ害者を除 く家族成員 を非難する態度の2種
類が生 じるとい う新たな知見を得 ることが出来た。
第
2項
支援者 と非支援者における非難感情 と厳罰志向性本研究の第二の 目的は
,支
援者が加害者や加害者家族に抱 く非難感情 を明 らかにす るこ とであった。加害者への非難感情や倫理的非難,厳
罰志向性について,一
般人を対象に し た研究はなされてきたものの,犯
罪被害者 を支援する人たちへの調査は行われていなかっ た。 よって,支
援者に対 して調査を行 うことは新たな知見を得 ることができる他,一
般人との比較検討 をす ることで
,両
者の違いを明らかに出来ると考えられ る。上記の 目的について検討す る前に
,そ
れぞれの尺度間の関係 について考察す る。まず,K6は
他の尺度 との間に相関が認め られなかった。 よつて非難感情や厳罰志向性は支援者 の精神的不健康 さに左右 されるものではないと考えられる。次に加害者への非難感情 と,倫理的な悪行為に対す る非難感情
,厳
罰志向性にはそれぞれ相関があることが明 らか とな つた。 これ らはすべて犯罪加害者 とい う人物にまつわる尺度であるため,相
互の関連性が 認 め られたのではないか と考えられる。本研究の 目的であつた支援者 と非支援者の比較検討結果について考察す る。加害者への 全般的な非難感情
,個
人的に罰 を与えたい とす る非難感情,倫
理的な悪行為に対す る非難 感情は,非
支援者の方が強いことが明 らかになった。一方で厳罰志向性は支援者の方が強 いことが明 らかになった。上記の結果が得 られた理由を考察す る。犯罪被害者支援の場に おいて,共感性が重要であることは多 くの研究で指摘 されている (第 1章第3章
第20。
共感性の重要性は
,先
行研究で示 されているだけでなく,「犯罪被害者への支援活動 を行 う 者の倫理綱領」に記載 されてお り,支
援者研修によつても周知 されている。そのため,支
援者 は共感的姿勢 を持ちなが ら被害者 と接 していると考えられ る。本研究で取 り上げた「非 難」 とは感情的攻撃であ り(木野
,2000,共
感性は攻撃行動を抑制する可能性があると39