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第3節 総合学習としての比体表面積の利用価値
中央教育課程審議会審議経過報告(1983)11)において,「自己教育能力とは,学習意欲 と意志の形成であり,また,学習の仕方を習得することであり,自他共に健康に生き るという生き方の探求である.」とし,個人が,主体的に自己の健康改善を図ろうとす る意欲と強い意志力を育成し,その学習の仕方を習得することであり,自他共に健康 に生きるという「生きる力」を求めている.
また,教育課程審議会答申(1998)14>では,「変化の激しいこれからの社会を考えた とき,多くの知識を教えがちであった教育の基調を転換し,学習者である幼児・児童
・生徒の立場に立って,幼児児童生徒に自ら学び自ら考えるカを育成することを重視 した教育を行うことは極めて重要なことである.自ら学ぶ意欲や主体的に学ぶ力を身 につけるとともに,試行錯誤しながら,自らの力で理論的に考え判断するカ,自分の 考えや思いを的確に表現するカ,問題を発見し解決する能力を育成し,創造性の基礎 を培い,社会の変化に主体的に対応し,行動できるようにすることを重視し,各教科 等で得た知識・技能等が生活において生かされ,総合的に働くようにすることに留意
した.」と自己教育能力の育成について論じられている.
健康の課題については,横断的・総合的な推進をできるような仕組みを整えること とされているように,自己教育能力つまり,自ら学ぶカをつけることを重視している.
さらに,平成4年に施行された学習指導要領13)では,体育科のねらいは「健康な生 活では,健康の保持増進には,運動,休養,睡眠,食事などの適度な生活行動と良い 環境が必要であり,健康の保持増進には,個人の努力も必要であることを理解させ,
生涯にわたって自らの健康を保持増進することができる能力と態度を育てる.」であり,
体育科において「これからの生活」を「健康」保持増進していく「知恵」を学ばせる ことを示唆しているものと考えられる.したがって前述の資料に示したように理科,
家庭科および体育科での「知識」を体系化し,体育科において「知恵」として学ばさ せなければならないといっても過言ではない.
本研究において,「総合学習」的に,学ばせるために学習者が「体験」し,自らの「か らだ」を学習材として利用するために高柳の研究21)をもとにして学習者自身の「比体 表面積」を利用して「これまでの生活」を振り返らせ,これまでに得た「知識」を学 習者自身が「知恵」として生涯にわたって自らの健康を保持増進するための「これか
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習者自身が「知恵」として生涯にわたって自らの健康を保持増進するための「これか らの生活」を考えさせる方策を検討した.その結果,「知識」から「知恵」への「総合 する力」を身に付けさせる必要があることが認められた.
その「総合する力」を身に付けさせる方法として,「知識」だけでなく「体験」も 重要な要素であり,本研究では学習者自身の「これまでの比体表面積の時系列変化」
や「これまでの身長成長」の客観的資料をも含めて家族と話し合わせたところ,「家族」
のカを借りて十分に「これまでの生活」を振り返らせることができた.
その上,これまでに得た種々の「知識」を関連させて「知恵」として学習させるた めに,健康な生体を「比体表面積」に置き換えて「知識」を与え,その「比体表面積」
の時系列変化を「健康」につながる変化をさせるためにはどうすればよいのかを学ば せたところ学習効果が認められた.このことから,「比体表面積」を学習材として利用
したことが学習者自身の「これまでの生活」の「体験」をもとに「これからの生活」
を学習者自身の「体験」にもとづいて考えられるようになった一因であることを示唆 するものであった.
以上のことから,「比体表面積」が総合的な学習の学習材として利用できるものと考 えられた.
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第W章 まとめ
学習者自身の比体表面積の時系列的変化が,生涯教育につなげ得る健康に関わる学 習材として利用できるのかを検討した結果,次のことが明らかにされた.
1.高校生において「自分のこれまでの比体表面積の時系列変化」から「自分のこ れまでの生活」を振り返えさせた結果,「これまでの生活」について振り返ることがで
きたものの,「自分のこれからの生活」について「知識」を「知恵」として総合的に予 測する能力が乏しいことが認められた.
2.その原因として,健康に関わる「知識」の獲得の量とそれらを総合する「知恵」
の学習が不足していたことが認められた。
3.これらの結果を踏まえ,中学生に健康に関する「知識」に加えて,「知恵」とし て「運動,栄養,休養」の関連性について学習させ,それらと「比体表面積の時系列 変化」との関係および時系列変化の予測について学習させたところ,「自分のこれまで の比体表面積の時系列変化」から「自分のこれからの生活」を総合的に考えることが 可能になり,「縦断型の比体表面積」は学習材として利用できるものと考えられた.
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引用文献
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掛川一夫・宮沢康夫(1992)新しい理科 3年.社会法人信濃教育会出版部:長野.
掛川一夫・宮沢康夫(1992)新しい理科 6年下.社会法人信濃教育会出版部:長野.
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山川岩之助(1995)たのしい2年生の体育.文学堂:東京.
山川岩之助(1995)たのしい3年生の体育.文渓堂:東京.
山川岩之助(1995)たのしい4年生の体育.文渓堂:東京.
山川岩之助(1995)たのしい5年生の体育.文渓堂:東京.
吉田慶一郎(1995) 「小学保健」和文書院:東京.
謝 辞
本稿を終わるにあたって,終始懇篤な御指導を賜りました兵庫教育大学の三野 耕教授 に寛大なる謝意を捧げます.
また,本研究の遂行に際して適切なる御助言を頂き,資料の収集にご協力いただいた京 都文教大学の成山公一先生に深く感謝いたします.
さらに貴重な資料を提供してくださいました大阪市立勝山中学の川田先生,大阪府立八 尾高校の村上先生,および鯖江市立中央中学校の西野先生に心から感謝いたします.
最後になりましたが,調査や資料整理にご協力いただいた兵庫教育大学の山本研究室な らびに三野研究室のみなさまに感謝いたします.
平成10年12月 紅谷美香
資料1
学習指導案略案単元名 これまでの成長とこれからの成長
本曇の目標 自分自身のこれまでの成長を知り,これからの生活について考える.
計画 1/2時間目
導
入
展
開
ま
と
め
学習活動 1.遠目の学習内容を把握する.
2.配布資料のA,Bを確認する.
3.配布資料Bの身長の基準チャートの
説明を聞き,自分自身の成長について認識する.
4.比体表面積のチャートの説明を聞く.
5.配布資料Cの記入の仕方を説明し,
個人の今までの生活を振り返り,記 述させる.
6.配布資料Dの記入の仕方を説明する.
生涯にわたって楽しく,明るく,豊 かで,活き活きとした生活をするに はどのようにしていけばよいかを考 え,記述させる.
7.配布資料C,Dを回収する.
教師の支援
・学習者自身の小学校1年生から中・高 等学校1年生までの身長と体重を使っ て今までの成長を知り,これからの成 長について考えていくということを認 識させるようにする.
・配布資料A:発育基準チャートおよび
比体表面積の理論的意味を説
明をする.
・配布資料B:個人それぞれの毎年の身長 と比体表面積をチャートにプ ロットしたものであることを 知らせる.
・身長の基準チャートの見方を認識させ るよう助言する.
・個人の身長ののびを知らせる.
・年間増加量から,身長は毎年違うはや さでのびることに気づかせる.
・成熟型,性別によって成長の速さ,身 長の伸びる時期が違うことを理解させ
る.
・比体表面積は体重と体表面積の関係を みたものであることを助言する.
・体重とはなにの重さなのかを助言する.
・体表面積とは何を表しているのかを助
言する.
・チャートの見方を説明し,値:の意味を 助言する.普通の人は,50%ileが望ま
しことを気づかせる.
・このチャートは今までの生活が反映し ていることに気づかせる.
・巡回し,
言する. 書き方のわからない生徒に助
・巡回し,書き方のわからない生徒に助
言する.
・配布資料B,Cをもとに記述させる.