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 ・・・・・障害のある幼児児童生徒と の交流及び共同学習や高齢者などとの交 流の機会を設けること。

特別支援学校小学部・中学部学習指導要領 第1章 総則 第2節 第4の1 ⑹  ・・・・・小学校の児童又は中学校の 生徒などとの交流及び共同学習を計画的、

組織的に行うとともに、地域の人々など と活動を共にする機会を積極的に設ける こと。

Ⅱ 教育課程の編成 様々な形態の交流及び共同学習の機会を今

まで以上に積極的に設けることが必要であ る。前回の学習指導要領の改訂後には、「交 流の機会を設けること」との趣旨が徹底さ れない場合があったが、今回の改訂におい ては、さらに「活動を共にする機会を積極 的に設けること」を徹底しなければならな い。

 今後予想される特別支援教室構想の実現 や障害者権利条約の批准に向けた動向など からも、なお一層の交流及び共同学習の積 極的な実践が重要である。

5 交流及び共同学習の実施に当たって

 交流及び共同学習が、授業時間内で行わ れているということは、活動する場所がど こであっても、子どもが在籍する学級の授 業として位置付けられていることに留意し なければならない。教育課程上の位置付け、

目標の設定、評価をしっかり行わなければ ならない。交流及び共同学習の実施に当 たっては、お互いの学級同士が十分に連絡 を取り合い、指導計画に基づく内容や方法 を事前に検討し、各学級や障害のある幼児 児童生徒一人一人の実態に応じた様々な配 慮を行うなどして、今回特別支援学校学習 指導要領に新たに示されたように「計画的、

組織的に行う」ことが重要である。

 また、双方の子どもの教育的ニーズを十 分把握し、校内の協力体制を構築し、効果 的な活動を設定することなどが大切である。

通常の学級の子どもも、特別支援学校の子 どもも、自分の学級の子どもであるとの意 識を持つことが大切となる。

 「計画的に、組織的に」交流及び共同学 習を行うためには、指導計画の作成や組織 作りを以下のように工夫していく必要があ る。

⑴ 指導計画の作成

 交流及び共同学習の実施に当たっては、

全体計画、年間指導計画、活動ごとの指導

計画を作成する必要がある。その際、教育 課程上の位置付け、評価計画、交流及び共 同学習の形態や内容、回数、時間、場所、

両者の役割分担、協力体制等について事前 に十分検討することが大切である。特別支 援学級に在籍する子どもたちとの交流及び 共同学習においては、活動の時間を継続的・

計画的に設けることができるようにするた め、全校の時間割を各学校の事情を考慮し ながら決定することなどが大切である。時 間割は、随時変更することが困難な場合も あり、年度当初に活動を見越して決めてお くことが重要である。

⑵ 組織作り

 様々な交流及び共同学習を効果的かつ円 滑に進めるためには、確実に交流及び共同 学習のための組織作りを行うことが必要で ある。

 コーディネーターや担任が、互いに相手 の学校や学級、子どもたちの実態などを正 しく理解し、組織的に準備を行うことが必 要である。また、実施後に、反省会を行っ たり、指導計画や指導内容・方法等の改善 を行ったりするためにも欠かせないもので ある。

 他に、教職員の組織作りだけでなく、場 合によっては、児童会や生徒会等の活動に 組み込んで、担当する役割を明確にするこ ともできる。子どもの発達状況に応じて工 夫することが必要である。

⑶ 事前指導

 実際の活動内容や役割分担等について、

事前指導を行うことが活動を円滑に進める ためには大切である。

 障害のない子どもたちに対する事前指導 には、障害についての正しい知識、障害の ある子どもたちへの適切な支援や協力の仕 方等についての理解を促すことが大切であ る。

 また地域の人たちや保護者に対しても障 害のある子どもとその教育について正しい 理解を図っておくことが必要である。

 障害のある子どもたちに対する事前指導 には、積極的な行動、支援や協力の求め方・

断り方、自分の気持ちやの表現の仕方等に ついての理解を図ることが大切である。

⑷ 事後指導

 交流及び共同学習を実施した後には、事 後指導として、活動を通して感じたこと、

思ったことを発表し合ったり、手紙や感想 文を書いたりする機会を設けるなどしてま とめ、関心を一層深めることも大切である。

⑸ 配慮事項

 特別支援学校の子どもが小・中学校にお いて学習する埼玉県の支援籍学習では、出 席簿、靴箱、机、ロッカーを用意したり、

学級名簿に名前を記入したりすることによ り、温かく迎えられ、自然に子どもたちの 中にとけ込んでいくことにつながっている。

 指導においては、①明るく楽しい活動に する、②個と個がふれ合う活動にする、③ 双方の子どもが対等な関係になるように配 慮する、④トラブルをチャンスと捉えて支 援をすることなどが考えられる。

 また、障害のある子どもたちにかかわる 際には、障害の特性等に応じてそれぞれの 障害種に応じた配慮をしていく必要がある。

6 共生社会の実現に向けて

 保護者は、自分の居住地で、一人でも多 くの方に障害のある我が子のことを理解し てほしいと願っている。私達は、保護者の この切なる思いに応えていかなければなら ない。そのためには、まずは、私たち教師 自身が、障害への正しい理解と認識を持つ ことから始めなければならない。特に、校 長自らが、リーダーシップを発揮して、教 職員を指導し、障害に対する正しい理解と 新たな認識を持って、交流及び共同学習を 着実に実践していくことが重要である。私 達は、先ず学校から地域社会へ、交流及び

共同学習の実践を発信し、障害の有無やそ の他の個性の違いを認識しつつ様々な人々 が生き生きと活動できる共生社会構築の基 礎作りをしていかなければならない。

Ⅱ 教育課程の編成 第4節 自立活動

 今回の特別支援学校学習指導要領改訂 の柱の一つとして、「障害の重度・重複化、

多様化への対応」が基本方針としてあげら れた。障害による学習上又は生活上の困難 を改善・克服するための指導領域である

「自立活動」について、障害の重度・重複化、

発達障害を含む多様な障害に応じた指導を 充実するため、その内容として、「他者と のかかわりの基礎に関すること」を示すな どの改善を図るとともに、指導計画作成の 手順等を明確に示された。

1 自立活動とは

 自立活動とは、個々の幼児児童生徒の障 害による学習上又は生活上の困難の改善・克 服を目的とした、特別支援学校の教育課程に おいて特別に設けられた指導領域である。

 特別支援学校の目的について、学校教育 法第 72 条で、「特別支援学校は、視覚障 害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自 由者又は病弱者(身体虚弱者を含む)に対 して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学 校に準ずる教育を施すとともに、障害によ る学習上又は生活上の困難を克服し自立を 図るために必要な知識技能を授けることを 目的とする。」と示されている。

 前段に示されている「準ずる教育」の部 分は、教育課程の観点から考えると、小学 校の場合には、各教科、道徳、外国語活動、

総合的な学習の時間及び特別活動の指導に 該当するものである。後段に示されている

「障害による学習上又は生活上の困難を克 服し自立を図るために必要な知識技能を授 ける」とは、個々の幼児児童生徒が自立を 目指し、障害による学習上又は生活上の困 難を主体的に改善・克服するために必要な 知識、技能、態度及び習慣を養う指導のこ とであり、「自立活動」の指導を中心とし て行われるものである。

 すなわち、自立活動は、特別支援学校の 教育課程において特別に設けられた指導領 域である。この自立活動は、授業時間を特 設して行う自立活動の時間における指導を 中心とし、各教科等の指導においても、自 立活動の指導と密接な関連を図って行われ なければならない。このように、自立活動 は、障害のある幼児児童生徒の教育におい て、教育課程上重要な位置を占めている。

2 自立活動の指導の基本

⑴ 自立活動の指導の特色

 自立活動の指導は、個々の幼児児童生徒 の障害の状態や発達の段階等に即して指導 を行うことが基本である。そのため、自立 活動の指導に当たっては、個々の幼児児童 生徒の実態を的確に把握し、個別に指導の 目標や具体的な指導内容を定めた個別の指 導計画が作成されている。

 自立活動の指導は、個別指導の形態で行 われることが多いが、指導の目標を達成す る上で効果的である場合には、幼児児童生 徒の集団を構成して指導することも考えら れる。しかし、自立活動の指導計画は個別 に作成されることが基本であり、最初から 集団で指導することを前提とするものでは ない点に十分留意する。

⑵ 自立活動の内容とその取扱いについて  特別支援学校の学習指導要領等で示す自 立活動の「内容」は、個々の幼児児童生徒 の障害の状態や発達の程度等に応じて選定 されるものである。自立活動の内容は、個々 の幼児児童生徒に、そのすべてを指導すべ きものとして示されているものではないこ とに十分留意する。

 また、学習指導要領等に示す自立活動の

「内容」は、個々の幼児児童生徒に設定さ れる具体的な「指導内容」の要素となるも のである。具体的な指導内容を設定する際 には、学習指導要領等に示されている「内

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