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第1節 個別の指導計画と個別の教育支援 計画

1 個別の指導計画

 学習指導要領等総則で「各教科等の指導 に当たっては、個々の幼児・児童又は生徒 の実態を的確に把握し、個別の指導計画を 作成すること。また、個別の指導計画に基 づいて行われた学習の状況や結果を適切に 評価し、指導の改善に努めること。」とさ れている。

 一人一人の実態に応じた指導を充実する ため、すべての幼児児童生徒に個別の指導 計画を作成することが義務付けられた。平 成 11 年の改訂においては、自立活動や重 複障害者の指導に義務づけられていたが、

障害の状態が重度・重複化、多様化してい る児童生徒の実態に即した指導を一層推進 するため、各教科等にわたり個別の指導計 画を作成することとした。

 個別の指導計画は、各教職員の共通の理 解の下に、一人一人に応じた指導を一層進 めるためのものであり、児童生徒の実態や 各教科等の特質等を踏まえて、様式や内容 等を工夫して作成することが大切である。

特に高等部の段階においては、学校卒業後 の進路を視野に入れて教育することが重要 であることから、例えば、生徒の障害の状 態や進路希望、興味・関心等を踏まえて就 業体験等の体験的な学習を行うなど、個別 の指導計画の作成に当たっては創意工夫を 加えることが必要である。

 個別の指導計画は、児童生徒にとって適 切な計画であるかどうか実際の指導を通 して明らかになるものであるから、計画

(Plan)-実践(Do)-評価(Check)-

改善・更新(Action)の過程において、適

宜評価を行い、指導内容や方法を改善し、

より効果的な指導を行う必要がある。

 また、学校の教育活動全体を通じて、個 に応じた指導を充実するため、個別の指導 計画に基づき指導方法や指導体制の工夫改 善に努めることが必要である。その際には、

児童又は生徒の障害の状態や学習の進度等 を考慮して、個別指導を重視するとともに、

授業形態や集団の構成の工夫、それぞれの 教師の専門性を生かした協力的な指導など により、学習活動が効果的に行われるよう にする。

2 個別の教育支援計画

 学習指導要領等総則で、個別の教育支援 計画については「家庭及び地域や医療、福 祉、保健等の業務を行う関係機関との連携 を図り、長期的な視点で幼児・児童・生徒 への教育的支援を行うために、個別の教育 支援計画を作成すること。」とされている。

 学校、医療、福祉、労働等の関係機関が 連携し、一人一人のニーズに応じた支援を 行うため、すべての幼児児童生徒に「個別 の教育支援計画」を作成することとした。

 障害のある子どもについては、教育関係 者のみならず、家庭及び地域や医療、福祉、

保健、労働等の様々な機関が協力し、長期 的な視点で乳幼児期から学校卒業後までを 通じて適切な指導と必要な支援を行うため に個別の教育支援計画を作成し、学校や家 庭、関係機関における支援に生かしていく ことが大切である。

 個別の教育支援計画の作成に当たっては、

関係機関等がそれぞれの役割分担の下、多 面的に実態把握や情報収集を行い、必要と される支援の目標や内容を決定していく。

個別の教育支援計画を作成することにより、

学校や関係機関における適切な指導や必要 な支援に生かすことが大切である。

 特に高等部の段階においては、学校から

進路先への移行が円滑に進むようにするこ とが重要である。そのため、関係者間で連 携協力しながら個別の教育支援計画を作成 していくことが大切である。

 さらに、学校と関係機関等とが連携して、

個別の教育支援計画に記述された目標や内 容、支援状況やその成果等について、適宜、

評価し改善を行うことにより、より適切な 指導と必要な支援が実施できるようにする ことが大切である。また、個々の教育的ニー ズに応じて連携協力する相手や内容・方法 等を工夫することが大切である。

3 教育支援プランA・B

 本県では、個別の支援計画の中に個別の 指導計画の機能を取り込み、「教育支援プ ランA・B」として、総論・各論的又は長 期・短期的な観点からお互いの機能を補完 するような総合的な計画が示されている。

⑴ 作成の目的

 特別支援教育の推進にあたっては、幼児 児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた 支援を行うための個別の教育支援計画を策 定するとともに、各教科等における配慮事 項なども含めた個別の指導計画の作成・活 用を図っていくことが重要である。県教育 委員会としては、個別の教育支援計画の中 に個別の指導計画の機能を取り込んだ「教 育支援プランA・B」を、県立特別支援学 校の教育課程の一部に位置づけるものであ る。

 また、この「教育支援プランA・B」は、

特別な教育的ニーズとともに本人及び保護 者の願いを根幹として作成する総合的な教 育計画である。そのため、本人・保護者 の参画を得て、計画(Plan)→実施(Do)

→ 評 価(Check) → 改 善・ 更 新(Action)

を図っていく必要がある。

 さらに、特別支援教育体制を推進するた

めには、これまで以上に特別支援学校間及 び小中学校等との学校間連携が重要であり、

関係機関や就学支援委員会との連携の強化 も必要である。

 そのため「教育支援プランA・B」を、

関係機関との連携、特別支援学校間の連 携、支援籍学習の実施などにあたり、教育 的ニーズに基づく支援、幼児児童生徒のプ ロフィール、日常の指導内容などについて 共通理解する上で重要なツールと位置づけ、

その活用を図っていく。

⑵ 実施方法

① 対象者

 県立特別支援学校に在籍する幼児児童生 徒を作成の対象とする。

② 作成サイクル

ア 教育支援プランA(個別の教育支援 計画)

 3年間を1サイクルとして作成し、

毎年、評価・改善・更新を行い、3年 後には引き継ぎ資料としてまとめる。

*幼稚部第1学年・小学部第1学年・

小学部第4学年・中学部第1学年・高 等部第1学年・専攻科第1学年での作 成を基本サイクルとする。転入生の場 合は、転入学の段階で作成し次期の作 成で基本サイクルに合わせる。

*高等部・専攻科での作成は、卒業後 を視野に入れた「個別移行支援計画」

の要素を取り入れ、必要に応じて補助 シート等を活用する。

*病弱特別支援学校などで在籍期間が 短い場合は、計画作成について相手校 と連携を密にし、指導の継続性が図れ るようにする。

イ 教育支援プランB(個別の指導計画)

 1年サイクルで4月末日までに作成 し、原則として学期毎に評価・改善・

更新を行い、年度末には引き継ぎ資料 としてまとめる。

Ⅱ 教育課程の編成

③ 作成担当

 担任が中心となり、本人・保護者の意 見を聴きながら、関係機関と連携し作成 する。

④ 評価・見直し

ア 計画(Plan)→実施(Do)→評価

(Check) → 改 善・ 更 新(Action) の 手順を確立し、実践の評価が次の計画 作成に結びつくようにする。

イ 評価は幼児児童生徒の変容を確認す るだけでなく、教員の指導内容・方法 を見直すためにも有効である。

⑤ 家庭・関係機関との連携

ア 保護者には教育支援プランA・Bの 写しを提供する。

*個人情報保護の観点から、本人・保 護者が記載を望まない情報は記入しな い。

イ 関係機関との連携には、本人・保護 者の了解のもとに教育支援プランAの 写しを用いる。

*必要に応じて教育支援プランBを用 いる場合もあるが、その場合にも本人・

保護者の了解を得るなど、個人情報の 取り扱いには十分な配慮をする。

⑥ 保存期間・引き継ぎ

ア 保存期間は、教育支援プランA・B とも、該当学部卒業後5年間とする。

イ 入学前の機関が作成した「個別の支 援計画」は、可能な限り入学時に引き 継ぎ連携を図る。

ウ 転学時には、教育支援プランA・B の写しを相手校に引き継ぐものとする。

エ 卒業後の機関に引き継ぐのは、最新 の教育支援プランA・Bとする。

⑦ 就学支援委員会との関係

 県就学支援委員会は、必要に応じて、

教育支援プランA・Bの作成にあたり専 門的な助言を行う。在籍する幼児児童生 徒の支援内容等に関して、専門的な助言 を必要とする場合は、教育支援プランA

の写しを県就学支援委員会に提出する。

必要に応じて教育支援プランBも提出す る。

⑶ 作成方法

① 教育支援プランA ア 特別な教育的ニーズ

 対象児の現在の状況や、本人・保護 者の願いを踏まえ、長期的(3年程度)

な視点からの支援内容、配慮事項を記 入する。

イ 本人・保護者の願い

 今伸ばしたい力、具体的な目標や願 いなど、本人・保護者から聴取した内 容を記入する。

ウ 教育機関の支援 ア 所属校

 3年間を見据えての目標、支援内容 を記入し、教育支援プランBの指導方 針と関連づける。評価欄は、個々の支 援内容について特徴的な事柄を記入す る。1、2年目に達成した場合、目標 を見直す場合、引き継ぎで必要な場合 には、その時点で記入する(記入年月 日を入れる)。

イ 就学支援委員会の助言内容  機関名と助言内容を記入する。

ウ 支援籍、交流及び共同学習  学校間交流などを含む。

エ 関係機関の支援

 「支援内容」は、学校生活において も重視して欲しい事項等も含めて記入 する。

ア 医療・保健

 通院状況、医師等の助言内容などを 記入する。

イ 福祉・労働

 個別移行支援計画としての内容は、

個別移行支援計画補助シート等で補う。

ウ 家庭・地域

 学校外活動、地域社会とのつながり

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