8.7.1 絶縁性液体*漏洩と地下水保護 (Insulating liquid leakage and subsoil water protection) 8.7.1.1 一般事項(General)
取入可 区分:Ⅰ−D
*巻末「用語の解説」参照
**巻末「引用規格調査表」参照
■対応する電技省令・電技解釈
電技省令第 19 条(公害等の防止)第 5 項、第 7 項
■関連規程類
電気関係報告規則 第 4 条(公害防止等に関する届出)
発変電規程 第 1‑7 条(絶縁油の構外流出防止)
変電所等における防火対策指針
■8.7.1.1 の解説
本条は油入機器等の液体入り機器からの漏れについて、「国家及び/又は地域の基準」によるものとし,さ らに規定のない場合のガイドラインとして,液量 1000ℓ以上の機器を対象として、液量により格納容器の要 否を規定している。これは概ね 1500kVA クラス以上の変圧器が対象と考えられる。
電技では、水質汚濁防止法の規制基準に適合し、生活環境に係る被害が生ずることがないよう適切な措置を 構ずることとし、中性点直接接地式電路に接続する変圧器を設置する箇所に、絶縁油の構外流出及び地下へ の浸透防止措置を施すこととしている。電技で油量に対する規定をしていないのは、中性点直接接地式以外 の電路に接続される変圧器の油中内部事故はアークエネルギーが小さく、絶縁油の分解ガス発生量も少ない のでタンク破断に至るおそれはないためである。
電気関係報告規則第 4 条において油が流出した場合、PCB(ポリ塩化ビフェニル)その他環境汚染物質を 含有する電気工作物の破損その他の事故により当該環境物質が構内以外に漏れ出した又は排出された場合等 の届出を義務付けている。
■参考
本条改訂案では、液量対象のガイドラインは 1000ℓ以上の液体入り機器と規定し、IEEE 980 では 2500ℓで あると付記している。
8.7.1.2 屋内機器用の格納容器(Containment for indoor equipment)
取入可 区分:Ⅰ−D
*巻末「用語の解説」参照
■対応する電技省令・電技解釈
電技省令第 19 条(公害等の防止)第 5 項、第 7 項
■関連規程類
発変電規程 第 1‑7 条(絶縁油の構外流出防止)
変電所等における防火対策指針
■8.7.1.2 の解説
本条と電技省令の関係は前記 8.7.1.1 の解説の通りである。本条は屋内機器の格納容器に限定しているが、
この屋内一般としては発変電規程が対応する。発変電規程では、屋内変圧器の場合、変圧器の周辺に油溜や マットを設け噴出油が他室又は通路へ流出しない構造としている。変圧器の周辺の油溜で集油できない場合、
あるいは室内に油溜を設置しない場合には、導油管にて収納すると規定されている。噴出油量は、変圧器全 油量の 50%が流出するものと想定して油流出防止設備の容量算定すると規定している。
消防法においては、火災予防条例準則(1961 年 自消甲予発 第 73 号)において原則として、変電所等に おける機器内蔵の絶縁油は、危険物としての法規制は受けないと記載されている。(「変電所等における防火 対策指針」より)
* 50%の定義
「変電所等における防火対策指針」より引用
事故時噴出想定油量を過去の変圧器事故を調査した結果では、事故の部位、様相により噴出油量に差がある が、最も過酷な事故は、強度上の弱点部と考えられるタンク溶接部が破断する場合で、噴出油量も最大とな る。したがって、強度上の弱点部が一箇所に限定される場合の噴出想定油量は、弱点部より上側にあるタン クの容量とコンサベータ及び油配管等の油量の合計を考えればよく、有効接地系の変圧器の設計実績を調査 し、全油量の 50%と定めた。ただし、強度上の弱点部が複数箇所存在するなど、墳油量想定条件が上記と違 う場合においては強度上の弱点部の存在位置等を考慮し、個々に検討する必要がある。
8.7.1.3 屋外機器用の格納容器(Containment for outdoor equipment)
取入可 区分:Ⅲ−D
*巻末「用語の解説」参照
**巻末「引用規格調査表」参照
■対応する電技省令・電技解釈
電技省令第 19 条(公害等の防止)第 5 項、第 7 項
■関連規程類
電気関係報告規則 第 4 条(公害防止等に関する届出)
発変電規程 第 1‑7 条(絶縁油の構外流出防止)
変電所等における防火対策指針
■8.7.1.3 の解説
本条と電技省令の関係は前記 8.7.1.1 の解説の通りである。本条は屋外機器の格納容器に限定しているが、
この屋外一般としては発変電規程が対応する。発変電規程では屋外変圧器の油流出防止設備について下記の ように規定している。
・ 油水流出防止堰を設置し、その内側は敷砂利とする。
・ 油水流出防止堰の容量が十分でない場合は、変圧器周辺に排油水槽を設置する。
・ 油水流出防止堰、排油水槽だけで収納できない場合には、各バンク間共通の集油水溜升を設置し、これ らの設備と連結する。
・ 油水流出防止堰内又は排油水槽内の油水が万一流出した場合に備えて、建物とケーブルピット取合口に は砂などを充填する。また、排水口の構外への出口付近に砂、土のう等を常備し万一の場合は排水ピッ ト内に設けた角落しを閉じ、これを詰めて油水の流出防止を図る。
・ 上記流出防止設備は、地質によって油水が地下へ浸透し構外へ流出するなど環境汚染のおそれがある場 合、アスファルトあるいはコンクリート等による浸透防止対策が必要である。なお、地盤が粘土、シル ト等であって万一漏油しても、汚染した層を最悪時で 30 日以内に搬出処理すれば絶縁油の地下浸透から 構外流出にまで発展するおそれのない場所については、特別に遮蔽する必要はない。
また、油流出防止設備の容量については、下記のように規定している。
・ 事故時の変圧器噴出油量(変圧器全油量の 50%)+初期消火用の放水所要水量(20 分間放射することが できる量以上)+公共消防車の放水所要水量(常時貯水量 40m3)以上の容量とする。
8.7.2 SF6の漏洩 (新しい SF6) (SF6‑leakage(newSF6))
取入可 区分:Ⅲ−D
**巻末「引用規格調査表」参照
■対応する電技省令・電技解釈
電技省令第 4 条(電気設備における感電,火災等の防止)
■関連規程類
地球温暖化対策の推進に関する法律(法律第 117 号 1998 年 10 月 9 日)
発変電規程 第 1‑12 条(SF6ガスの管理)、第 3‑10 条(ガス絶縁開閉装置の熱的強度)、 第 3‑30 条(ガス絶縁機器の構造、性能、施設条件等)
■8.7.2 の解説
本条はガスが漏洩した場合の換気等を規定している。電技省令第 33 条にて SF6を封入する圧力容器を安全 に施設するための規定はあるが漏洩による換気についてはなく,電技省令第4条がこの部分に対応する。SF6 ガスは不燃で空気より比重が重いが、室内全体ではタンク内の SF6ガス量の空気量に占める割合は少なく、
一般に通常の建物換気量で十分である。発変電規程も同様の規定となっており、ガス絶縁開閉装置の性能に 関する熱的強度について規定している。国内基準である電協研第 54 巻第 3 号(電力用SF6ガス取扱基準 1998 年 2 月)においても特に換気等に関する規定はなく、SF6ガスを取り扱うときに必要とされる注意事項と して作業場所のSF6ガスの最大濃度が許容濃度(一般的に通常空気に存在しない全ての無毒ガスに適用さ れる 1000volppm)を超えないことを確実に守ることとある。また、「火災予防条例」第 11 条(変電設備)に おいては、屋外に通ずる有効な換気設備を設けることが規定されているが、SF6ガスの換気について特定する ものではない。
SF6ガスの性能面から、高温になった場合に有害ガスが形成されることから本条では 200℃を越えてはいけ ないと規定している。
地球温暖化防止京都会議(COP3、1997 年 12 月)において温室効果ガスに係わる排出削減目標が定められた ことをうけ、国内では発変電規程により、SF6ガス絶縁機器の据付、内部点検、点検作業においては、SF6ガ スの大気への排出を抑制するためのガス回収の実施と、電気絶縁用途の SF6ガスのクローズドサイクル化を 図るため使用済みガスは基本的に再利用し、使用済みガスが品質管理基準を満たさない場合は、再精製又は 破砕する。また、SF6ガス排出量の抑制のため SF6ガスの保有量及び排出量の管理を SF6ガス絶縁機器使用者 および SF6ガス絶縁機器製造者毎に行うことを求めている。
電協研第 54 巻第 3 号(電力用 SF6ガス取扱基準 1998 年 2 月)より引用
○SF6ガスの基礎特性
(1) SF6ガスは、常温、常圧(20℃、0.1MPa・abs)では無害の気体で、不活性・不燃性の化合物である。
(2) 化学的性質として SF6ガスは、非常に安定した不活性なガスで、無色・無臭・無毒・不燃性で水に溶 けない。また反応性が非常に低いガスの一つであり、通常状態では接触しても化学反応を起こさない。
(3) 物理的性質として SF6ガスは、通常状態で空気より 5 倍重く、そのために空気との不十分な混合状態 のもとで SF6ガスは最初低い位置に留まる傾向にある。対流と拡散による空気との混合はゆるやかである が、一度混ざった場合には再び分離することはない
○加熱分解
ガス絶縁機器の通常運転温度での SF6の化学的安定性は機器の長期信頼性に及ぼすので重要である。通電 部の接触不良などにより局部的に過熱が起こると、SF6ガスに熱エネルギーが注入されて徐々に SF6ガスが分 解する。分解量は触媒となる金属の種類と過熱温度に左右される。200℃以上の温度では多くの金属が SF6ガ スと反応して、金属フッ化物や硫化金属を形成する。軟鋼の容器に 200℃で SF6ガスを封入しておくと 1 年間 で 200volppm 以上の SF6ガスが分解する。
■参考
本条改訂案では、SF6ガスの使用及び取り扱いについての推奨事項は、IEC 61634「開閉装置における SF6 ガスの使用と取扱い」によると規定しているが、説明文では、予期しないガス漏れ異常をカバーするため、
開閉装置の設置された空間や蓄積したガスが危険を及ぼす可能性のある場所には、換気設備を設けなければ ならない。屋外に設置している場合は、これに該当しない。もし、大気圧で最大のガス区画の容量が、開閉 装置の設置された室内容量の 10%を超えなければ、SF6設備のある空間では、自然換気で十分である。この