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本研究では,平面型電界放出デバイスにCNTを用いるために必要となる,大 きな電流密度,面内での高い均一性,低印加電圧での動作を満たすCNT薄膜の 作製を目的として研究を行った。1-4節で記載した目標値にどれだけ近づくこと ができたかを以下に述べる。

電流密度

10 mA/cm2 相当の電流密度は,本研究では放出電流値を放出範囲ではなく,

測定範囲(0.5×0.5 cm2)で除した値を電流密度としており,4 章の結果から

10mA/cm2を超える電流密度は得られていない。しかし,放出を行った範囲(お

よそ1.5×1.5 mm2)で放出電流値を除すると全てのサンプルで放出電流値が250

~280 μAの値で10 mA/cm2相当の電流密度が得られた。また,本研究室の過去 の結果と比較しても同等の電流密度は得られておりこの目標値は達成すること ができた。

均一性

最大値の10%以上を示す割合は本研究においては規格化電流密度が1~0.1の

範囲を示す割合である。これを100%とすることを目標値とする。4章の実験結 果から,水素プラズマ→起毛処理を行うことで 20%前後の値を示しており,目

標とした100%には及ばなかった。しかし,本研究室のこれまでの実験結果では

10%前後のものがほとんどであり,過去の研究と比べ均一性を 10%程向上させ

ることができた。

低印加電圧応答

動作電圧はほとんどのサンプルで600 V 以上の印加電圧が必要であり,最も 低いサンプルでも500 Vは必要であり,目標とした400 Vには及ばなかった。

本研究室の過去の結果において動作電圧は500 V~600 Vであり,低電圧での動 作は向上させることができなかった。

1-4節で記載した目的のために本研究では水素プラズマ照射,起毛処理,水素 プラズマ→起毛処理の 3 種類の処理を行った。これらの与える影響について以 下に述べる。

水素プラズマ照射

水素プラズマ照射単独では電界放出特性に与える影響は少ない。表面の不純 物は除去している可能性はあるが,CNTを分散させる効果には期待できないこ とがわかった。しかし,起毛処理の前処理として使用することで効果があること が確認できた。また,本研究の実験結果から,長時間の照射はCNTに悪影響を 与える傾向が見られており,使い方によっては電界放出特性を劣化させること も考えられる。

起毛処理

起毛処理単独でも効果は大きく,分散状態を向上させる効果とCVD後では放 出サイトとして機能しなかった CNT を放出サイトとして機能させる効果があ る。起毛処理の結果から,CNTの電界放出特性は分散状態が向上することで大 きく向上する結果となった。また,押圧力を変化させることは放出サイトへの影 響は少ないが I-V 特性に影響を与えることがわかった。これは押圧力による粘 着テープへの粘着の強弱による影響だと考えられ,押圧力が強くなるにつれ CNTは垂直配向の形態に近づくことで電界遮蔽効果が大きくなってしまうから だと考えられる。

水素プラズマ→起毛処理

二つの処理を行うことで単独の処理よりも電界放出特性が向上した。これは,

水素プラズマ照射により CNT 表面の不純物をある程度除去しておくことで起 毛処理の効果を大きくしたからだと考えられる。このことから,水素プラズマ照 射は起毛処理の前処理として機能したことが考えられる。また,水素プラズマ照 射をすることで,起毛処理のみを行うよりもTurn-On電圧を低下させることが できた。

本研究結果から,I-V特性が最も良好であったのは-1 V照射→起毛処理(2 N) であり,面内均一性が最も良好であったのは-5 V照射→起毛処理(6 N)であっ た。I-V特性,面内均一性が共に良好であったのは-1 V照射→起毛処理(4 N)で あった。この結果から,水素プラズマ→起毛処理を行うことで電界放出特性を向 上させることができた。しかし,目標とした値を満足することはできず,均一性 のさらなる向上,低印加電圧での動作が課題である。

参考文献

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