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統合化設計のための制御法

前章で得られた同定モデルを用いて制御系の設計を行う。設計パラメータを少なくするよ うに、本研究では外乱オブザーバを用いた内部モデル制御(DIMC[disturbance observer-based internal model control])を基本とし、さらに非干渉制御を適用してく。

精密ステージにVFF-RLSを用いたDIMCを適用し、アクティブ除振台の反力制御に直接 フィードバック(DVFC[direct velocity feedback control])補償を用いたDIMCを適用し た。また、精密ステージとアクティブ除振台の間に起こる干渉項に対し非干渉制御を適用し た。

本章では、以下の順で制御系の説明を行う。

・内部モデル制御(IMC [Internal Model control] )

・DIMC

・DVFC補償を用いたDIMC

・非干渉制御

4.1 内部モデル制御系

図 4.1.1 内部モデル制御系のブロック図

上に示したのが、内部モデル制御[Internal Model control(IMC)]のブロック図である。外乱 オブザーバ付き内部モデル制御を説明するにあたって、まずは内部モデル制御について説 明する。Sはラプラス演算子であり、P(s)は制御対象(プラント)、Pn (s)は制御対象のモデ ル(プラントモデル)、F(s)は定常ゲインが1のローパスフィルタ、dは外乱を表す。コン トローラであるF(s)・Pn-1(s)を実現させるためには、F(s)・Pn-1(s)はバイプロパーでなくては ならない。よって、Pn(s)の相対次数をnとすると、F(s)は以下のように決定できる。

n i

s s

F ( 1 )

) 1

(  

(4.1.1)

+

 + 

+

d y

r

P

n

(s) P(s) F (s) ・ P

n1

(s)

+

 + 

+

d y

r

P

n

(s) P(s) F (s) ・ P

n1

(s)

F (s) ・ P

n1

(s)

Plant model Plant Controller

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:周波数 [rad/s]

 

2 1

i

:フィルターの帯域幅 [Hz]

以上のことをふまえると、プラントが既知の場合、設計バラメータは、

f

のみであり、設

計及び調整が容易である。

また、外乱がなく、P(s)=Pn (s)のとき、この制御系はフィードバックしないので、オープ ンループ駆動になり、出力yは以下のようになる。

yF ( s )  r

(4.1.2) これに対して、外乱が存在し、P(s)=Pn (s)のとき

yFr  ( 1  F )  Pd

(4.1.3)

となり、目標値 r から出力 y への伝達特性はフィルタ F(s)で表され、ステップ状の目標値 に対する定常偏差はなくなる。 また、外乱 d から出力 y への伝達特性では、(1-F(s))は微 分特性を1つ持つので、制御対象に積分特性が含まれていると、外乱 d から出力 y への伝 達特性に微分特性がなくなり、定常偏差が残る。

これに対して、外乱が存在し、P(s)

Pn (s)のときの出力yは以下のようになる。

d

P Pn F F

P r F

Pn Pn F F

P Pn

y F

 

 

 

1 1 1

1

) 1 (

1

(4.1.4)

上の三つの場合のシミュレーションをする。シミュレーション条件は以下のようにした。

プラントは、

) ) (

(

1 1

p s s s k

P  

(4.1.5) と定義し、ゲインk1=1365、極p1=215 とした。

目標値は 0.05mm に設定し、0 sで0.05 mmのステップ位置指令を印加し、外乱が存在す る場合は、0.1sで最大入力の 20%のステップ外乱を印加、P(s)

Pn(s)の場合のプラント モデルは、k120%増加させた。以下にシミュレーション結果を示す。

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図4.1.2 IMCシミュレーション結果

グラフから、0~0.1sの目標値に対する応答(目標値応答)は、P(s)=Pn (s)に比べ、P(s)

Pn (s)は、整定時間が遅れていることが分かる。また、0.1~0.2sの外乱に対する応答

(外乱応答)は、外乱が存在する場合、プラントに積分特性が含まれているので、定常偏 差が生じ、P(s)

Pn (s)のときは、さらに応答が劣化することが分かる。

ここで重要なのは、IMCは、ステップ外乱に対する補償ができないことである。

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2

-0.02 -0.01 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06

Time [s]

Position [mm]

P=Pn(外乱あり) P≠Pn(外乱あり)

P=Pn(外乱なし)

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4.2 外乱オブザーバ付き内部モデル制御系

uf : 直列補償器出力 (F・Pn -1) ud : 推定外乱

u : 制御入力 yd : モデル出力 (入力 : u) yn : モデル出力(入力 : uf) ed : 偏差 : yd - y

ey :偏差: y - yn

図4.2.1 外乱オブザーバ付き内部モデル制御系

上に示したのが外乱オブザーバ付き内部モデル制御[disturbance observer-based internal

model control (DIMC)]のブロック図である。1.1節で説明した通り、IMCは外乱に対する補

償が出来ない。そこで、外乱補償に対応できる、DIMCを本研究で使用した。黄色の部分 が外乱オブザーバであり、IMCにそのまま外乱オブザーバを付け加えた形になっている。

また、Fd(s)は外乱オブザーバ用のフィルタであり、F(s)=Fd(s)とする。

DIMCの特徴は、

・モデル化誤差および外乱が存在しない場合、フィードバック補償が働かないのでオープ ン駆動型であること。

・F(s)=Fd(s)という条件下では、設計パラメータは増加せず、制御帯域幅を指定するだけで よいこと。

・離散化は、IMCと外乱オブザーバで同一であるF(s)×Pn-1(s)とPn(s)を用いればよいので、

コンピュータでの実現が容易であること。

などが上げられる。

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