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結論

ドキュメント内 STEP BULLETIN vol (ページ 192-197)

分析結果をもとに仮説の検証を行いたい。

仮説1「多読,書き出し訓練の結果,読書スピー ド,読書レベル,英文を書くスピード,ライティン グの正確さが向上し,日本語を介さずリーディング,

6 結論と考察

群 多量読書群 少量読書群

人数 読書量(千語) プリテスト(点) ポストテスト(点)

平均 標準偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差 195.4 70.95 449.5 47.05 485.1 56.42

81.9 20.67 449.5 46.77 474.4 53.88 35.6 24.9 差 61

61

■表9:読書量とプリテストとポストテストの結果(マッチング後)

■表10 :ライティングの正確さ(100語あたりの誤りの数)のプリテストとポストテストの結果 分野

群 プリテスト(%)

平均 標準偏差 平均 標準偏差 55.4 10.69 61.2 11.51 55.6 10.07 62.7 10.28 64.3 20.52 58.4 24.10 68.4 19.32 59.7 22.17 70.6 16.25 83.1 16.52 72.1 17.43 76.6 17.14 71.9 11.14 83.7 11.71 70.1 12.61 79.9 12.15

5.8 7.1 -5.9 -8.8 12.5 4.5 11.8

9.8 ポストテスト(%)

差 多量読書群

少量読書群 多量読書群 少量読書群 多量読書群 少量読書群 多量読書群 少量読書群 語彙正答率

文章正答率

読解正答率

聴解正答率

群 実験群 統制群

人数 プリテスト(点) ポストテス(点)

平均 標準偏差 平均 標準偏差 17.6 14.3 差 128.1 12.45 145.7 13.11 128.1 12.45 142.4 13.11 107

107

■表11:TOEIC Bridge の得点(マッチング後)

群 多量読書群 少量読書群

人数 プリテスト(点)

平均 標準偏差 平均 標準偏差 195.4 75.08 460.8 47.91

81.7 19.79 430.8 54.78 85

85

■表8:読書量とプリテストの結果

読書量(千語)

ライティングができるようになる」は,ライティン グにおける日本語の役割について以外は支持された。

日本語を介さずにライティングを行えるようになる には,もっと頻繁に英語を英語のまま書く練習が必 要であろう。

仮説2「総読書語数が多い生徒のほうが,総読書 語数が少ない生徒に比べて到達度テスト(英語能力 判定テスト)の総合点において,また分野別正答率

(語彙・熟語・文法,文章構成,読解,聴解)につい ても優れた成績を示す」については,まず総合点に ついては支持されなかった。多量読書群のほうがポ ストテストにおいて総合点の得点がより多く増えた が,その差は統計的に有意ではなかった。次に分野 別正答率については読解正答率への効果のみ支持さ れた。総合点についても読解以外の分野についても,

さらに長期的に研究を行えば統計的に有意な結果が 出る可能性はあるだろう。

仮説3「週に1コマ(授業時間の14%)の流暢さ のトレーニングを受けた実験群は,正確さ中心の従 来の教授法を受けた統制群に比べて到達度テスト

(TOEIC Bridge)において優れた成績を示す」は有 意傾向が検出されるにとどまった。

6.2 考察

本研究は,正確さのトレーニングと流暢さのトレ ーニングの両方をどのような割合で行うと高い運用 能力が身に付くのかについての知見を得ることを目 標に行われた。研究よりも教育を優先した実践研究 であったため,ここで導き出された結論の一般化に は限界がある。

例えば,実験1では計画に統制群がないため厳密 には結果が処遇によるものだとは特定できないし,

実験3については,処遇以外の変数が十分にコント ロールされていたかどうかは検証できていない。し かし,この研究で少なくとも流暢さのトレーニング が有効であることの可能性は示せたのではないだろ うか。

到達度テストに見る結果とは別に,生徒の書いた 英文や感想などからも,この流暢さのトレーニング により基本的な英語の運用力がついたことがうかが える。簡単な英語の本なら楽しんで読むことができ,

そしてその内容を間違いはあるがなんとか易しい英

語で伝えることができるようになったということを 多くの生徒が実感できたようである。

運用能力の向上という観点以外にも流暢さのトレ ーニングには良い効果があった。ライティングの研 究者であるLeki(1993)は,英語の授業がスキルや 言語を教えることに偏りすぎるために,実際に読ん だり書いたりする経験が奪われていることを指摘し ている。本研究の多読と書き出し訓練により,実際 に読む場,書く場を学習者に提供することができ,

それを彼らが習慣化する機会を与えることができた。

特に多読によって,第二言語での読書を生涯楽しめ るような習慣がついたとしたら,それは生徒にとっ て大きな財産となることだろう。

6.3 今後の課題

今後,この分野におけるさまざまな環境での実践 研究,または結論の一般化がより可能な実証研究の 報告が待たれる。それに加えて,「単純なことを簡単 にできる」状態から「複雑なことを簡単にできる」

ようになるために流暢さのトレーニングの割合をど のように増やしたり,または減らしたりしていく必 要があるのか,そしてどの段階でどのようなトレー ニング法をどのような頻度で行うのが有効なのかに ついてのさらなる知見を得ることが,よりバランス の取れたカリキュラムの開発には不可欠だろう。

今回は扱えなかったが,読みの深さやライティン グの複雑さの発達に流暢さのトレーニングが与える 影響についての研究,大量にリスニングを行う多聴

(Extensive Listening)の流暢さのトレーニングとし ての可能性についての研究などを,今後の具体的な 課題として挙げることができるだろう。

謝 辞

このような研究の機会を与えてくださった(財)

日本英語検定協会と選考委員の皆様,特に示唆に富 む助言をくださった大友賢二先生に厚くお礼申し上 げます。また,私の授業と研究に参加して課題に取 り組んでくれた生徒諸君,研究に協力し励ましてく ださった同僚の先生方,そして陰で支えてくれた家 族に心より感謝致します。ありがとうございました。

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参考文献(*は引用文献)

aEPER(=Edinburgh Project on Extensive Reading)

の出版社を超えた本のレベル分け表をもとに読書レベ ル(0〜7)を設定した(資料参照)。

sSSS 英語学習法研究会のホームページで教室利用のた

めに提供されている語数表を利用。

(URL: http://www.seg.co.jp/sss/)

この表は,EPER(= Edinburgh Project on Extensive Reading)Level(Day & Bamford, 1998, pp.173-218)をもとにして 作り,その後SSS 英語学習法研究会のホームページ(URL:http://www.seg.co.jp/sss/)のYL(読みやすさレベル)を参考 に修正を重ねたものである。表の中の「*」はEPER LEVEL に著者が付け足した,または変更を加えた項目である。

読書レベル* 0 1 2 3 4 5 6 7

G F E D C B A X

Starter Beginner Elementary Low

Intermediate Intermediate High

Intermediate Advanced Bridge 100-200 250-300 300-400 600-800 1000-1300 1400-1900 1800-2800 2200-3800

500

Reading Tree

Bookworms Starters

Bookworms Stage 1

Bookworms Stage2

Bookworms Stage 3

Bookworms Stage 4, 5

Bookworms Stage 6 − 1,500 4,500 7,000 10,000 15,000 20,000 25,000 EPER Level

語彙レベル 1冊あたりの

平均語数

Oxford

Easystarts Level 1 Level 2 Level 2 Level 3 Level 4 Level 5 Level 6 Penguin

− − Level 1 Level 2 Level 3 Level 4 Level 5 Level 6

Cambridge

Starter − Beginner Beginner ElementaryIntermediate Upper − Macmillan

■表12:読書レベル

Graded Readers 資 料

小学校高学年クラス英語学習にはさまざ まな問題点がある。本研究はそのような 問題点を克服するための1つのアプローチとして,

自作教材CD-ROMを作成し活用することによる児

童の習熟度に応じたきめ細かな英語学習指導法の開 発を目的としている。CD-ROMには,ダイアログ を中心とした語彙習得・リスニング練習及び模擬対 話形式によるスピーキング練習を盛り込み,必要に 応じてリーディング,ライティング練習も取り入れ た。また,ネイティブ講師と日本人講師によるスキ ットやネイティブ講師の発音練習などをビデオ録画 した動画データを利用し,児童の視覚と聴覚を刺激 するような内容も盛り込んだ。

自作CD-ROMを活用した個別学習は,① 個々の 習熟度に合わせることができ,② 児童が主体的に学 習しようとする態度を養い,③ 個々の児童の英語に 対する学習意欲を高めることに大いに役立ち得るこ とが示唆された。この個別学習を今後も続けていく ことにより,児童が自分で使える英語知識(自分の 中のデータベース)を増やし,さらに,自分自身の 弱点を見いだしフィードバックすることによって

「自分の中のデータベース」を強化し,口頭表現能力 を高めていくことが期待された。

1年生から英語教育を開始する私立小学校におい て,小学5・6年は将来の高度な英語学習の基礎能 力を身に付けさせ,中学英語へ円滑に移行させる大 事な時期である。しかしながら,高学年の指導に関 しては次のような問題点がある。① 高学年になると 児童間で習熟度が開いてくる。ある水準を設定して

授業を行う必要があるが,クラスの平均に合わせて 授業を進めていった場合,帰国子女や幼少から英会 話スクールなどで学習をしている児童は物足りない と感じてしまう。一方,習熟度の低い児童はこの時 期から英語に対し恐怖心を抱き始める。② 教師主導 型の授業においては,習熟度の高い児童や我先に英 語を発話しようとする児童に引っ張られて授業が進 んでいき,習熟度の低い児童やおとなしい児童はそ の中で埋もれてしまう傾向がある。③ 高学年クラス では,個人の興味,関心,学習方法の好みの違いが 拡大し,低・中学年の授業のように皆が一様に楽し むことができない。

また,山内(2002)も高学年児童の指導の難しさ を指摘している。調査該当私立小学校の低学年児童 にはゲームなどを通して「英語に親しむ」授業が好 評であるのに対して,高学年児童,特に男子児童か らは投げやりな反応があり,授業の上滑りが起きて いる様子がうかがい知れると述べている。

公立小学校での英語教育がたびたびメディアで紹 介されるが,高学年クラスの授業風景があまり表舞 台に出てこないのは,公にできない何らかの理由を 抱えているに違いないと想像される。小学校での英 語教育は英語の歌やチャンツ,絵本を用いた指導が 一般的であるが,高学年になるとこのような学習ス タイルに飽きてくる児童,恥ずかしいとか幼稚だと 感じる児童も少なくない(加藤,1999)。低・中学年 児童のようにどんな指導でも快く受け止めてくれる ほど高学年児童は寛容ではない。さらに,中学入試 を控えた児童は受験勉強で忙しく,受験とは関係の ない「英語」を軽視する傾向がある。受験というモ チベーションがなければ「楽しくなければやりたく ない」のだ。

以上の問題点を克服するためには,① 個々の児童

小学校高学年児童の個人の習熟度に応じた きめ細かな指導法の開発

―コンピューターを使った On-Demand な英語学習―

愛知県/椙山女学園大学附属小学校 非常勤講師 

加藤 佳子

概要

1 はじめに

ドキュメント内 STEP BULLETIN vol (ページ 192-197)