第5章では、3章で作成したモデルの応答結果を基に、せん断部材のエネルギーを考 えた評価方法と、市販の地震応答解析プログラムで、地震応答解析を行うことができ るかについてその可能性を検討した。検討試験体の範囲は、せん断柱のパラメータの 範囲は、クリアスパンh0/D=3.0~4.0、横補強筋比pw=0.11~0.21%、主筋比pg=2.65%、
軸力比 η=0.18~0.30 である。一方、曲げ部材のパラメータの範囲はクリアスパン
h0/D=3.0、横補強筋比pw=0.24%、主筋比pg=1.29%、軸力比η=0.18~0.30である。
(3) せん断破壊後の下り勾配を考慮した場合の応答量は考慮しない場合より比べ て応答量は小さくなっていることが言え、安全率が存在する。
(4) せん断破壊部材を含む建物の応答量を曲げ置換モデルで予測する場合の安全 率は1.20が妥当あり、応答量は予測できる。
本論文では検討をなしえなかった事項および今後の検討課題を以下に示す。
(1) 作成したモデルと実被害との検討
作成したモデル(B モデル)の実被害との検証を行う必要がある。本研究では 実験データから作成したスケルトンカーブ用いて、提案モデルを作成している。
しかし、実被害との検証をしなければ提案モデルの実用には至らないためである。
(2) せん断抵抗機構に関する応力状態の把握
付録3-3に示す考え方を基に、重回帰分析し、実験データと照らし合わせるこ とで、せん断破壊後のせん断抵抗機構が解明できるのではないかと考える。
参考文献
第 1 章
1.1) 日本建築防災協会:既存鉄筋コンクリート造建物の耐震診断基準同解説2001年度改 訂版
1.2) 高稻宜和:鉄筋コンクリート柱の崩壊に関する研究 東京都立大学学位論文2006 1.3) 芳村学、上野裕美子、中村孝也:既存鉄筋コンクリート造建物のIs値と倒壊の関係、
診断基準における「せん断柱」からなる建物を対象として、日本建築学会構造系論 文集 第587号、197-204、2005年1月
1.4) 上野裕美子、芳村学:既存鉄筋コンクリート造建物の耐震診断基準における「せん 断柱」の靭性指標再評価に関する一考察、日本建築学会構造系論文集 第 609 号、
155-163、2006年11月
第 2 章
第 3 章
3.1) 日本建築学会:鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説 許容応力設計法 1999年 3.2) 安川郁夫、今西清志、立石義孝(2000):『絵とき 土質力学(改訂2版)』オーム社
pp.112-117
第 4 章
4.1) 江戸宏彰,武田寿一:鉄筋コンクリート構造物の弾塑性地震応答フレーム解析,日本 建築学会大会学術講演梗概集,pp.1877-1878,1977.10
4.2) RESP-MⅡ 利用者マニュアル ㈱構造計画研究所