第5章 結論と展望
本章では、各章における結論を統括するとともに、木造軸組構法住宅の空間構成と架構 部材の配置規則、および、今後の展望を示し、本研究の統括とする。
5.1 各章の総括
第1章では、木造軸組構法住宅設計の現状と社会的要求から、工務店、ハウスメーカー、
設計事務所などにおける一般的な木造軸組構法住宅の設計に対して、木造軸組構法住宅の 空間構成に着目した設計を自動化するための支援システムの構築を行い、その過程を通し て木造軸組構法住宅の空間構成と架構部材の配置規則を明らかにすることを目的として示 した。次に、工学、生物学、計算機工学における研究の進展、および、建築学における設 計自動化支援システムに関する既往研究を提示した。研究の方法の第1段階として、木造 軸組構法住宅設計プロセスの分析、木造軸組構法住宅の分析から、設計プロセスを「空間 接続段階」「空間配置段階」「部材配置段階」の3段階に整理した。第2段階として、空間 に着目して木造軸組構法住宅を分析し、木造軸組構法住宅の空間を構成する「領域」「部材」
「機能」などを空間を構成する「空間構成要素」と定義し、「設計が完了している木造軸組 構法住宅は、全ての設計条件を満足している」という前提に立つと「設計が完了している 木造軸組構法住宅の空間構成要素とそれらの関係も全ての設計条件を満足している」と考 えに基づき、空間構成要素とそれらの関係を「空間構成要素モデル」と定義し、各設計段 階において、設計条件を満足する空間構成要素とそれらの関係を生成、言い換えると、設 計条件を満足する空間構成要素モデルを生成する設計自動化支援システムを構築すること とした。第3段階として、木造軸組構法住宅の各設計段階に対応する設計自動化支援シス テムに関する既往研究と構築方法の概要を示した。最後に、本研究で用いる用語の定義と 本論文の構成を提示した。
第2章では、木造軸組構法住宅の空間と機能の関係に注目し、一般的な既存独立住宅の 機能とそれらの接続関係、および、空間とそれらの接続関係を抽出し、分析することによ り、空間構成要素である機能とそれらの接続関係、および、空間とそれらの接続関係をモ デル化し、設計する住宅に必要となる機能とその接続関係およびその他の条件を入力する ことにより、それらの条件に適合する空間とその接続関係を出力する木造軸組構法住宅設 計プロセスの空間接続段階における設計自動化支援システムである「空間構成生成システ ム」を構築した。
システム構築後に、試行を行い、出力された空間接続の考察によりシステムの特徴を明 らかにすると共に利用法を提示した。
システム構築の過程にて、木造軸組構法住宅の機能とそられの接続関係、および、空間 とそれらの接続関係の表現方法に関して、また、空間接続に関して、多くの知見を得た。
第3章では、生物と住宅プランの構成と環境適応の類似に着目し、人工生命を用いて、
生物が細胞分裂を繰り返すことにより身体を形作る形態形成と生物の環境適応を模した単
第5章 結論と展望 位空間の分割増殖による空間構成要素モデルを用いた設計自動化支援システムとして「住 宅プラン生成システム」を構築した。システム構築後に、試行を行い、出力されたプラン について考察することによりシステムの特徴を明らかにすると共に利用法を提示した。
システム構築の過程にて、システムの特徴、および、木造軸組構法住宅の空間配置に関 するいくつかの知見を得た。
第4章では、木造軸組構法住宅の構成を、住宅(House: ハウス)は、構成単位(Unit: ユニッ ト)により、構成単位は、構成部材(Element: エレメント)により構成され、ユニットと エレメントを住宅の構成要素 (Constituent: コンスティチュエント ) とし、木造軸組構法 の特性を合わせて利用することにより、空間配置段階において、仮想3次元空間に空間を 配置、または、削除すると即時に部材配置段階に移行し、構成部材を生成する設計自動化 支援システムとして「構成部材生成システム」を構築した。
また、複数の屋根領域から構成される複雑な屋根形状と架構部材の位置を同時に決定す るために、2次元に高さを加えた3次元の情報から屋根形状を決定する考えを新たに導入 すると共に、構法、構造など複数の条件から架構部材の配置位置を決定する知見を架構部 材を生成する際の条件整理に関する架構部材の配置規則に関する従来研究を参考として、
開口と架構部材間の支持関係まで含めたより複雑な条件に対応するための架構部材の配置 方法を新たに導入した架構部材生成システムを構築した。
架構部材生成システム構築後に、試行を行い、出力された架構部材の配置について考察 することによりシステムの特徴を明らかにすると共に利用法を提示した。
架構部材生成システムの構築過程にて、架構部材の生成順序、配置規則の一部などを明 確に示すことができた。
5.2 木造軸組構法住宅の空間構成と架構部材配置規則
本研究では、一般的な木造軸組構法住宅の (1) 小規模、(2) 空間境界と構造体が同一、(3) 一般的な住宅の空間に対する要求が固定されているという特徴から、設計プロセスを従来 とは異なる空間接続段階、空間配置段階、部材配置段階の3段階に整理し、これらの設計 段階に対応した設計自動化支援システムを構築した。システム構築後、試行を行い、その 結果から、本研究における3段階の設計プロセスは、木造軸組構法住宅の設計プロセスの 1つとして有効であると考えられる。
また、本研究において、木造軸組構法住宅の空間を構成する要素である空間構成要素、
および、空間構成要素とそれらの関係である空間構成要素モデルを定義し、「設計が完了し ている木造軸組構法住宅は、全ての設計条件を満足している」という前提の基、「設計が完 了している木造軸組構法住宅の空間構成要素とそれらの関係も全ての設計条件を満足して いる」と考えを導入し、設計自動化支援システムは、設計条件を満足する空間構成要素モ デルを生成することとし、システムを構築し、システム構築後、試行を行い、その結果から、
これらの前提が木造軸組構法住宅の設計における概念の1つとして有効であると考えられ る。