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構成部材生成システム

第4章 構成部材生成システム

 本章では、木造軸組構法住宅設計プロセスの部材配置段階における設計自動化支援シス テムである「構成部材生成システム」とその内部(サブ)システムである「架構部材生成 システム」を構築する。架構部材生成システム構築後に、試行を行い、生成された架構部 材について考察することによりシステムの特徴を明らかにすると共に利用法を提案する。

最後に、システム構築過程にて得られた空間構成、および、架構部材に関する構成規則に 関する知見を提示する。

4.1 木造軸組構法住宅の設計作業の分析

 木造軸組構法住宅は規模が小さく、空間を効率的に積み重ねるため、部屋空間の3次元 配置がボリュームとして外観デザインに大きく影響する。また、構法による部屋の天井高、

階高の制約がある。そのため、3次元の空間配置を2次元に表現する間取り図(プラン)が、

建物規模、機能的な空間配置と空間演出を同時に検討し、建物ボリューム、外観デザイン を決定する設計上重要な位置を占めている。また、住宅設計支援ソフトウェアの動作に見 られる様に、間取り図、屋根形状、仕様である使用材料、建具などが決定すると、使用部 材やディテール等の基本情報と構法により、住宅の大半の構成部材が決定する。以上のこ とにより、木造軸組構法住宅は、基本情報と間取り図(プラン)の決定および構法により、

構成部材の大半を決定することができると考えられる。

4.2 住宅のモデル化

 木造軸組構法住宅を計画・設計作業を考慮し、住宅全体の構成を検討すると、住宅全体 は「部屋(空間)」と「その他(開口、屋根、外壁など)」の付属物である構成単位で構成され、

構成単位は、構成部材により構成されている。本章では構成単位を Unit:ユニット、構成 部材を Structural Element、略して Element:エレメント、住宅を空間構成要素と構成部 材の集合と定義し、House:ハウスと呼ぶこととする。構成単位(Unit: ユニット)と構成 部材(Element: エレメント)を住宅の構成要素 (Constituent: コンスティチュエント ) と 定義する。住宅全体は、図 4-1 に示すように、住宅(House: ハウス)を頂点とした構成単 位(Unit: ユニット)、構成部材(Element: エレメント)の3階層ツリー構造を構成している。

住宅(House)

構成単位(Unit)

構成部材(Element)

構成単位(Unit)

構成部材(Element)

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

住宅の構成要素 (Constituents)

図 4-1 住宅構成

第4章 構成部材生成システム

計画段階

(意匠設計段階)

住宅生産の流れ

(構造設計段階)

施工段階 発注段階 設計段階

工事完了時

住宅生産の各段階に対応する工事費概算法と積算 単位床面積法

実例調整法

実績統計法 コストウェイト法 コスト指数法 積上概算法

基準積算

概算・積算に対応する部材数量

概算部材数量

施工計画積算

基準部材数量

計画部材数量 設計部材数量

組込部材数量

精算積算 使用部材数量

(その他設計段階)

設計完了時

(積算段階)

設計積算

見積積算

(施工準備段階)

完成建築物積算

(各工程施工段階)

概算積算

見積部材数量

〔建物延床面積に単位面積単価を乗じて工事費を算出〕

〔過去のプロジェクトデータと計画建物を比較調整して工事費を算出〕

〔コスト要因から予測式を導きその予測式を用いて工事費を算出〕

〔過去物件の積算データをコストウェイトにより配分して工事費を算出〕

〔建築条件とコスト要因の係数に基づき工事費を算出〕

〔計画建築物の仕様と数量を仮定し工事費を算出〕

〔設計完了時に設計図書に基づき建築物組込部材数量を算出〕

〔建築数量積算基準に基づく工事費を算出〕

〔生産組織が工事請負金額を算出〕

〔施工前において資材などの買付け数量、予算などを算出〕

〔各工程施工終了後に設計変更などに対応した工事費を算出〕

〔建築物、または、工事記録に基づき建築物組込部材数量を算出〕

図 4-2 住宅生産の各段階に対応する工事費概算法、積算、部材数量の関係 4.3 部材数量に関する考察

 コストコントロールに利用する工事費の概算手法は、図 4-2 に示すように、計画段階か ら設計完了時の各段階に対応する順に、建物延床面積に単位面積単価を乗じて工事費を算 出する「単位床面積法」、過去のプロジェクトデータと計画建物を比較調整して工事費を 算出する「実例調整法」、コスト要因から予測式を導きその予測式を用いて工事費を算出す る「実績統計法」、過去物件の積算データをコストウェイトにより配分して工事費を産出す る「コストウェイト法」、建築条件とコスト要因の係数に基づき工事費を算出する「コスト 指数法」、計画建築物の仕様と数量を仮定し工事費を算出する「積上概算法」がある。また、

設計完了時に行う積算とて、建築数量積算基準に基づく積算(以後、「基準積算」とする)、 発注段階において生産組織が工事請負金額を算出する「見積積算」、施工前と施工中におけ る生産組織が資材などの買付け数量を算出する「施工計画積算」、建築工事各工程終了後に おける不測の事態、設計変更などに対応した精算工事費を算出する「精算積算」がある。

 これらの概算と積算は、工事終了後に行われる正確な記録に基づく精算積算注 2)を除き、

全て建設する建築物に対する予測である。部材数量も工事費と同様に予測値である。

 工事費は、住宅全体を構成する材料、材料運搬、労務、保険などの数量に単価を乗じた 金額の総和から構成される。単価は、地域、施工時期、生産組織により異なる。

 仮設資材、端材などを除く建築物に組み込まれた最終的な部材数量を求める方法は、以 下に示す二つが考えられる。

(1) 工事に利用した部材の記録に基づき算出 (2) 工事完了後に建築物を解体して計測後に算出

本研究では、これらの積算を「建物組込積算」とし、この積算にて求める部材数量を「建 物組込数量」とする。(1)(2) ともに、建設中の材料使用誤差により、更に、(1) は、記録 誤差により、部材数量が異なることが考えられる。そこで、建設時の条件として、「設計図

書通りに建設する、かつ、設計変更なし」を加えることにより、材料使用誤差による差異 を排除することができる。この場合、設計図書通りに建設した建築物の部材数量は、設計 完了時に設計図書に基づき積算(以後、設計積算とする)した部材数量(以後、設計部材 数量とする)と同一であることから、記録誤差も排除することができる。また、コストコ ントロールに用いる仮設資材、端材などを除く建築物に組み込まれた最終的な部材数量は、

建築物が完成するまで、待つことはできない。

 図 4-3 に示すように、部材数量は、設計完了前の概算部材数量、設計完了時の設計部材 数量、設計完了時における積算基準部材数量、施工前と施工中における施工計画部位材数量、

建築工事各工程終了後における施工使用部材数量、建築工事完了後における建築物組込部 材数量の5つが考えられる。設計部材数量を除きそれらの全ては、設計部材数量に各種誤 差部材数量を加減することにより求めることができる。

 以上のことにから、本章では、構成部材を生成することにより、「設計部材数量」を求め ることとする。

4.4 構成部材生成システム

4.4.1 概念と概要

 構成部材生成システム構築のために、次の三つの概念を利用する。

(1) 木造軸組構法住宅から適切に抽出した独立性が高い構成単位(ユニット)の知覚と動作 を接触する構成単位(ユニット)のみに制限することにより動作の単純化を図る。

(2) 構成単位(ユニット)から生成された構成部材(エレメント)は、生成元の構成単位(ユ ニット)から得られる情報と構成部材(エレメント)別の配置規則に基づき、自らの配置 位置を探索し、決定する。

(3) 設計が完全に終了した住宅(ハウス)の構成部材(エレメント)は、全ての構成部材(エ

計画段階

(意匠設計段階)

(構造設計段階)

施工段階

工事完了時 発注段階

設計段階

概算部材数量

設計部材数量

基準部材数量

±概算誤差

(施工準備段階)

設計完了時 (積算段階)

(その他設計段階)

住宅生産 各段階 概算

・積算種類

概算法

見積部材数量

計画部材数量

組込部材数量 使用部材数量 設計積算

(建物組込部材のみ)

完成建築物積算

(建物組込部材のみ)

精算積算

設計変更と施工誤差がない 場合は、同一数量 施工計画積算

見積積算 +端材数量

+再施工数量

+端材数量

+予備数量

±見積概算誤差

+数量積算基準加算 基準積算

図 4-3 各部材数量間の関係

第4章 構成部材生成システム レメント)間の整合性が保たれているはずであるとの考えに基づき、構成単位(ユニット)

が、接触する構成単位(ユニット)との局所的な構成部材(エレメント)の不整合に対して、

接触する構成単位(ユニット)と連携して修正を繰り返すことにより、住宅(ハウス)全 体の構成部材(エレメント)を適切に生成する。

 本章において、建築の構成要素に着目したモデル化と構成要素のオブジェクト化に関す る既往研究は、システムの構成、主に住宅の構成要素を抽出する際に参考とし、構成単位 の独立性を高めるために、構成単位(ユニット)の分割線により架構部材を分割する考え を新たに導入する。

 構成部材生成システムの構築には、次の計算機工学の技術を利用する。

(1) は空間構成要素のオブジェクト化、(2) は空間構成要素のエージェント化18)を行い、(3) はマルチエージェントシステム17)の理論を利用する。

 以後、架構部材生成システムのエージェントである住宅は、ハウス、構成単位は、ユニッ ト、構成部材は、エレメントと記述する。

 本章における構成部材生成システムは、CADソフトウェアをマンマシンインターフェ イスとする。システム操作者と対話、情報の入出力、ユニットの生成、ユニットとの対話 を担当するハウス、ハウスにより生成され、仮想3次元空間内において、エレメントを生 成し、ハウス、接触するユニット、エレメントと対話するユニット、ユニットにより生成 され、生成されたユニットおよび近接するエレメントと対話するエレメントのエージェン トから構成する。システムは、エージェントが単体で順次動作するマルチエージェントシ ステムとする。同一種類のエージェントは、同一の装備(生成規則、配置規則、記録、ア ルゴリズムなど)を持つ。

 なお、システムは、汎用コンピュータを用いて作成する。OS は、Microsoft WindowsXP、

プログラムは、Microsoft VisualBacic.Net2005、図形の入出力は、informatix MicroGDS  Ver.7.0 を利用する。

4.4.2 住宅の構成要素の抽出

 本章において、木造軸組構法住宅からのユニット抽出は、以下の二つを目標に検討した。

(1) ユニットの独立性を高める (2) 計画・設計時の取り扱いの容易さ

(1) は、第一に、ユニットのエージェント化のため、第二に、ユニットの周辺環境を整理す ることによりエレメントの生成規則などを単純化するため、(2) は、第一に、計画・意匠設 計段階において一般的に行われている思考と手順等から可能な限り逸脱しないため、第二 に、ユニットの組み合わせを自由に行うためである。

 ユニットは、図 4-4 に示すように、木造軸組構法住宅の「壁=構造体」という、空間区 画と構造が密接な関係にある特徴を用いて、壁中心線で分割する。鉛直材(柱・小屋束な ど)と横架材(桁・梁など)は、部材を完全な建物組み込み部材ではなく分割線により 1/2 に分割されたハーフ部材、1/4 に分割されたクォータ部材などの不完全な部材とすることに より、ユニットの独立性を高める。本研究において、この分割された部材を不完全構成部 材、不完全構成部材を建物組み込み部材に合成したものを完全構成部材と定義する。ユニッ

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