本研究では、コーンスピーカ設計問題を取り扱い、その振動特性や音圧周波数特性 などに影響が大 きいコーン、エッジ及 びボイスコイルと磁気 回路の狭い空 間内 での空気 の粘性減衰の影響、及び振動と音響の強連成解析法 を中心的に検討を行った。
まず,コーンスピーカの特 性 検 討 実 験 を行 い、コーンスピーカの振 動 特 性 や音 圧 周 波 数 特性 を確 認した。次に、空気の粘 性の影 響を考 慮し、独 自 で開 発した音 響解 析ソ フトを用 いて、コーンスピーカの振 動 音 響 解 析 を行 った。 コーンスピーカの振 動 特 性 及 び音 圧周 波 数特 性について実 測値 と空気 の粘性 を考 慮した解 析値 の比 較 を行 い、本 解 析 法 の精 度 を確 認した。さらに、本 解析 法 を用いてボイスコイル周 りの空 気 の挙 動 を 検 討 した。最 後 に、コーンとエッジの物 性 値 の最 適 化 及 びコーンの形 状 の最 適 化 を行 い、それぞれ最適なコーンスピーカの構成が得られた。
各章の主な成果は、次の通りである。
第 1 章は序論であり、本研究の背景を述べ、コーンスピーカに関する従来の研究成 果を概説し、本研究の目的と研究内容を述べた。
第2章では、研究第一歩として 、コーンスピ ーカを取り扱い、コーンスピーカ の計測実験について検討した。電気機械音響変換器としてコーンスピーカの振動モード に着目し、2 種のスピーカユニットを用いて、インパルスハンマ及びインパルス信号による加 振実験を行い、スピーカの軸上の音圧周波数特性を評価した。まず、スピーカの振動系 部品の振動モードを測定するため、インパルスハンマによる加振実験を行い、振動 系部品のみの振動モードが確認できた。次に、ス ピ ー カユ ニ ット を 用 いて 、 ス ピ ー カ の 振動 特性 と 音圧 周 波数 特性 の 測定 を 行い , コ ーン スピ ー カの 振 動や 音 響 特性を確認した。最後に、コーンの形状の影響を検討するため、コーンの代表的形状 として、パラボリックコーンスピーカ、ストレートコーンスピーカとパラカーブトコーンスピー カを用いて、3 種類のコーンの音圧 周波数特 性を測定し、形状違いによるコーンスピー カの音 響特 性が確 認 できた。スピーカの主な性能指標であるコーンの振動特性や音圧周 波数特性について、検証実験を行い、コーンの振動特性や音圧周波数特性を正確に把握 し、評価することができた。次章以後の検討に必要な基礎理論と技術的な準備を与えた。
第 3 章では、従来の音響解析であまり考慮さ れてこなかった空気の粘性の影 響 を 考 慮し た振 動 と音 響 の強 連成 解 析手 法 を提 案 し た。 節点 変 位を 共 通な 未 知 数 と し て、 振動 と 音響 を 含ん だ系 全 体の 運 動方 程 式 が得 られ 、 振動 と 音響 の 強 い 連 成 解析 をで き るよ う にな った 。 また 、 スリ ッ ト モデ ルの 音 圧周 波 数特 性 の 解 析 を 行い 、理 論 解、 お よび 空気 の 粘性 を 考慮 し て いな い従 来 のF E M解 析 法
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を 用 い た解 析結 果 との 比 較 結 果よ り 、本 解 析法 は 良 い解 析精 度 を有 し てい る こ と が 確 認で きた 。 よっ て 、 本 研究 で 開発 し た空 気 の 粘性 の影 響 を考 慮 した 振 動 と音響の強連成解析プログラムの解析精度と有用性を確認することができた。
第 4 章では、コーンスピーカによる空気の粘 性を考慮した振動と音響の強連 成 解 析 を行 い、 実 際の ス ピー カの 振 動特 性 及び 音 圧 周波 数特 性 につ い て実 測 値 と 比 較 をし た。 空 気の 粘 性を 考慮 し た本 解 析法 を 実 際の コー ン スピ ー カの 性 能 特性解析に適用する場合、高い解析精度を持つことが明らかになった。さらに、
コーンの形 状の影 響 を検 討するため、コーンの代表 的 形 状 として、パラボリックコーンス ピーカ、ストレートコーンスピーカとパラカーブトコーンスピーカの 3 種類のコーンスピーカ を解析し、今まで解決されていないスピーカの 振動特性と音圧周波数特性の推定 精度の問題が改善されたことを示した。
第 5 章では、スピーカのボイスコイル周りの空気の挙動に対して、空気の粘性を考慮 した解析結果 では、従来の解析が確認できない空気の動 き方向 をはっきり確認すること できた。さらに、振動 と音 響の強連 成解析 を行 い、コーンとエッジなどの部 品の特 性がコ ーンの振動特性に与 える影響が明 らかになった。コーンとエッジを調整することで、意図 的 にスピーカの最初 のピーク位置など細 かい特性 をコントロールするできることを示 して いる。
第 6 章では、振動音響連成解析の延長線として、コーンスピーカのコーンとエッジの材 料の最適設計やコーンの形状の最適設計について検討し、コーンとエッジのヤング率 や密 度の最適設 計 を行い、最 適なコーンとエッジの物 性が得られた。その 最適 解はコーンの 分割振動で生じるピークやディップを抑え、振動 特性の平坦化が実現できた。また、スピ ーカ部 品 の形 状 を変 えて、音 圧 周 波数 特 性 の平坦 化 を実 現 するための最 適 解 が得 ら れた。
本論文の研究成果により、スピーカの主な性能指標であるコーンの振動特性や音圧周波 数特性を正確に把握し、評価することができた。空気 の粘性 を考 慮した振 動 と音 響の強連 成 解 析 手 法 を提 案 し、動 と音 響 の強 連 成 解 析 ができるようになり、実 際 のコーンスピー カを用いて、空気の粘性 減衰 を考慮した振動 と音 響の強連成 解析 を行い、実測値 と比 較しよく一致した結果が得られた。本研究の開発 した振動と音響の強連成解析 プログラ ムを用い、ボイスコイルの周 りの空気の挙動 やコーンとエッジなどの部品の特性に与 える コーンの振動特 性の影響 を初めて解明 することができた。また、所望な音 響特性 を持つ スピーカを設 計 するために、応 答 曲 面 法 を用 いて、コーンとエッジのヤン グ率や密 度 の 最適設計を行い、最適なコーンとエッジの物性が得られ、その最適解はコーンの分割振 動で生じるピークやディップを抑 え、振動 特性の平坦化が実現 できた。本 研究の成果 を 得ることによって、理想なスピーカの特性を近づける一歩前進することができた。
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今後の研究課題としては、実際の試作が困難であるスピーカが解析できるようになり、
コーンスピーカだけではなく、複雑な形状のスピーカの解析も検討する予定である。
本 研 究 はスピーカが常 温 状態 にある場 合 を想 定 し、解 析 を行 った。自 動 車などで使 用されるスピーカの場 合、様々な使用環 境が想定 されるため、温度 や湿度の変 化により スピーカの音響 特 性 も変わると考 えられる。 今 後 、温 度 や湿 度 も考 慮し、解析 を行 いた いと考える。
また、スピーカの性能に大 きく影 響するコーンの物 性値や形状に対して、本研究の解 析 プログラムと最 適 設 計 を活 用 し、振 動 や音 響 特 性 の改 善 に役 立 つ構 造 や新 材 料 の 開 発 も進めたいと考 えられる。さらに、スピーカユニットだけではなく、スピーカシステムと してエンクロージャーとスピーカユニットを組み合わせた性能も本研究で提 案した解析プ ログラムを用いて評価したい。
さらに現 状では、車内は再生 空間が限定された一 定した容 積であるから、この中にど うスピーカを配 置させるかも非 常に重要な課題 となっている。そのため、本 研究で提案し た振動と音響の強連成解析プログラムを用いて、深く研究を進めたいと思う。
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